第6話 アクシデント
お昼の後、午後の競技が始まる。もちろん、拓也の活躍を見るために、体育館に直行したよ!
「ふんっ」
「あっ…!?」
たんっ
拓也、カッコいいーーー! さっきから、ボールを打ち込みまくってるよ! きゃー!
おっと、クールダウン、クールダウン。なんだかよくわからないけど、あまり派手に応援しちゃいけないらしいから。
「拓也くん、運動全般得意みたいだね。なんで『ファラウェイ・ワールド・オンライン』では魔導士アバターなんだろ?」
「でしょ! 拓也、運動すごいんだ!」
「え? ああ、うん…」
100m走もすごかったからね、きっと今日のVIP賞は拓也だよ!
「もうダメかもしれんね、ウチのギルマス」
「ねえ、賭けない? どこまで残念領域が下がるか」
「汚名返上どころか汚名挽回したギルマスわろす」
「キミ達、そろそろ今日の定例ギルド会議が楽しみになってきたよ?」
たんっ、たんっ
がっ…!
「…! 姉さん、あぶねえ!!」
「え?」
ぱしっ
「「「「「「「………………え?」」」」」」」
え? えっと…。
何が起きたか、説明しよう!
(1)バレー会場の隣でやっていたバスケットの試合で、シュートが入ろうとした。
(2)結局入らなかった球が強く弾かれ、直線的な軌道であさっての方向に飛んだ。
(3)その方向にちょうど私がいたので、そのまま手を球の方に向けてキャッチした。
以上である。じゃないよ、私、ダメじゃん!?
「えっ…今、球の方に顔を向けてなかったよね…?」
「しかも、手を向けて弾き返したわけじゃなくて、ちゃんとキャッチした…」
「霧雨くんのお姉さん、スポーツもすごいんだ…」
ああ、やってしまった。今の私ってアバターだから、パッシブスキルで索敵魔法に近い警戒モードが発現してしまう。簡単に言えば、目から入る情報だけでなく、勝手に入ってくる索敵情報によって、俯瞰的に周囲の様子を把握できてしまうのである。
「姉さん、大丈夫か!? …大丈夫みたいだな。あんな球、よくキャッチできたな」
「ええと…。たまたま、だよ。うん、たまたま。やー、びっくりしたー」
「そうだよな。ミリアナが美奈子姉さんを『現界』したって、こんなには…」
「あ、当たり前だよ。うん、ミリアナは今日もどっかに行ったみたいだし」
「また『緊急クエスト』なのか? まあいいや、姉さんが無事なら」
「うん、ありがとう、拓也、心配してくれて」
な、なんとかごまかせた…。ああでも、こんなに心配してくれる拓也を見ると、ものすごい罪悪感が…。ごめんね、拓也。
「霧雨くん、たまたま、だったの?」
「そりゃそうだろ、ゲームじゃないんだし。って、並木、お前なんでこっちに来てるんだ?」
「クラスメートの応援に来ていただけ。でも、そうか…霧雨くんも知らないんだっけ」
「ん? 何の話だ?」
「ううん、こっちの話」
あれ、リナちゃんが拓也と何か話をしている。拓也はそっけない態度だけど、リナちゃんは…なのかなあ。




