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第44話 逆転

 エリア1の『神々の黄昏』ギルドホーム。領地も獲得したのだけれど、まだギルドホームを移していないらしい。天空城も認識阻害をかけて、まだ上空に浮かんでいるようだ。


 そこに、前島さん…ユーマ率いる『新緑の騎士団』の面々が、『神々の黄昏』の面々と共に集まっている。前者は、拓也…ヘラルドと剣呑な雰囲気で。後者は、苦笑した表情で。…苦笑?


「はー、ついにこの変態集団(・・・・)にも知られちまったか…」

「えっと、ヘラルドは知ってたの? 『新緑の騎士団』が、前島さん…ユーマのギルドというより、その、ええと…」

「たりめーだ。姉ちゃんからユーマを紹介された後、俺がどれだけこいつのギルメン共からおかしな質問攻めを喰らい続けたか。ったく、リアル女子の連中が特に酷くて…」


 ああ、女性アバターがどうって話、本来はそういう意味だったのか。ごめんね、拓也、あの時『三流冒険者のテンプレみたい』とか言っちゃって。


 なんだろう、私が初めてふたりのギルドのことを知らされた時のイメージが、今では逆転している感じ? あれかなあ、剣士はお固くて魔導士は軟弱っていう、よくある先入観が影響していたのかな。いやもう、本当にごめん、拓也。


「よし、これから俺達『神々の黄昏』が、お前らの街に攻め入る。異論は認めねえ」

「え、ボク達、まだ街を手に入れたばかりで、体制が…」

「戦闘だけならできるだろうが。メイド集団の威力を思い知らせてやるぜ!」

「えええ…」


 ヘラルド、それもどうなのよ。


 もういいや。勝手にやって。



 勢力争いの結果は、火を見るより明らか。『神々の黄昏』側は、23人中9名の戦闘メイドさんの投入だけで、数十名の規模を誇るギルドを完膚なきまでに地を這わせた。『新緑の騎士団』の今後の健全な体制作りをお祈りいたします。


「と、いう感じでね。噂の方は訂正しておいて」

「いや? もともとそんなものだったぞ。珍しいな、アンタが認識を間違えていたなんて」

「あれえ?」


 バー『雨宿り』。ただし、今の私は、いつものミリアナ・レインフォールとしてではなく、偽装アバター『コナミ・サキ』としてマスターと話をしている。マスターは私が雇っているNPCだし、運営とも通じているから、当然、同一人物であることを把握している。


 なぜ、コナミとしてバーにいるか? どちらかというと、『霧雨美奈子』としてバーにいると言った方がいいかもしれない。


 からんからん


「ここか…。あ、ミナ」

「今の私は『コナミ・サキ』だよ? こっちで、マスターに何か注文して」

「いらっしゃい」

「あ、ああ。じゃあ、この娘と同じものを」

「ジンジャーエールね」

「えっ」


 えっ?


「でも、み…コナミ、慣れてるね。なんというか、バーとかよく行くタイプじゃないと思うんだけど」

「ああ、ミリアナと密会する時によく使うのよ、ここ。たぶん、拓也…ヘラルドがよく知っていると思う」

「そっか。またひとつ、ウチのギルメンに教えたくないことが増えたな…」

「ははは…はは…」


 もう、笑うしかない。特に、あの人達ってミリアナの中の人を男だと思っていそうだし。掲示板とかでもそうだけど、否定も肯定もできないのが難しいところだ。


「それで、話って? 公園やギルドホームで話せなかったってことは、『新緑の騎士団』やクラスメートには聞かれたくなかったことなの?」

「う、うん、まあ…。コナミ、いや、ミナ。その…明日の日曜日、ボクの家に…来てくれないかな?」

「…え?」

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