↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/104

第43話 いつものこと

 前島さんと、公園を出ようとした、まさにその時。


 キキキキっ


 がちゃっ


「前島優希だな! 捕まえろ!」


 白いバンが急に止まったと思ったら、サングラスとマスクで顔を隠している男達がわらわらと出てきた。叫んだ言葉から言って…前島さんの誘拐!?


「…っ! 顕現せよ(セットアップ)、アイスフィールド!」


 ぶおんっ


「ぐおっ」

「かはっ」


 なんの迷いもなく『現界』させた聖盾(アンサイル)アイスフィールドで男達の猛襲を防ぐ、前島さん。本当に、本当になんの迷いもなく。というか、慣れてない?


「や…やろうっ!」


 アイスフィールドに叩かれなかったひとりが、手にナイフを構え、前島さんに突っ込んで行く…!?


「遅い…遅いよ!」


 ナイフを再度アイスフィールド(聖盾)で防いだ前島さんは、いつの間にか手に持っていた剣で、ナイフの男を横薙ぎする…って、ええええええっ!? 


 ガシッ


「ごふっ」


 あ、峰打ちだ。ほっ。


「ふう…」


 くるっ

 チンッ


「ミナ、怪我はなかった!?」

「私は、離れていたから…それよりも、前島さんは?」

「この通りだよ! どうだった? ミリアナの剣さばきを真似してみたんだ!」

「えええ…」


 なんだろう、前島さんから漂う、この『いつものこと』感は。何から何まで非日常的なんですけど。少なくとも、現実世界では。


「えっと…この人達に心当たりあるの?」

「うん、ボクを身代金目的で誘拐しようとしたんだね。今月に入って3回目かな」

「えええ…」


 なんですか、そのセレブな状況は。ユリシーズさんから聞いた、ミリアナのそれとはまた違う別世界感。


「だから、ミナを巻き込んで、本当にごめん。…でも、ミナもこういうの、気をつけた方がいいかもよ?」

「こういうの? 身代金を期待できるような家じゃないけど」

「だけど、ミナ…『コナミ・サキ』は、ミリアナの事実上の専属鍛冶・調合師なわけだし。広く知られていないとはいえ、さ」

「あ、ああ、そう、ね。ミリアナも割と有名人みたいだし、ね」


 むしろ、本人だけど。うわあ、自分が有名人とか、言ってて恥ずかしいというか、イタいというか。むずむず。


「「「「「そうだったの!?」」」」」


 うわっ、何、今の!?


 声がしたところに振り向くと、男女取り混ぜて10人以上のウチの生徒が、公園の木々の間で佇んでいた。ほとんどが『新緑の騎士団』のギルメン? 三人娘もいる。っていうか、多いよ!?


「ああ、やっぱり、後をつけてきてたんだ…」

「え? え?」

「拓也くんところと違って、ウチのギルメンには知られたくなかったんだよなあ…『現界』絡みのこと」


 え、そうなの? なんで?


「と、とにかく、前島くん、全部ちゃんと説明しなさい!」

「そうよそうよ! 特に、ミナち…霧雨さんとミリアナのことを黙ってるなんて!」

「あ、あと、さっきふたりで食べてたハンバーガーのこと、詳しく教えて!」

「優希様のいけず! 卑怯者! おととい死んじゃえっ!」


 もう、なにがなにやら。特に、最後のセリフ。いつものあの娘だよね。

 というか、この人達って結局、『現界』した聖盾アイスフィールドや剣のこと、そして誘拐騒動にはなにひとつ驚いてないよね? 普通、まずそっちに言及するよね? ね?



 そんなこんなで、警察を呼んで事情聴取されて、すっかり時間が経ってしまった。いいかげんそろそろログアウト(・・・・・)しないと、私の本体が床ずれしそう。なんてことなの。


「じゃあ、夕方向こうで『神々の黄昏』と合流ということで」

「その前に、ギルドホームで話を聞くよ! ギルマス、逃げないでよ!」

「そうよそうよ、最近何かというと単独行動してるんだから!」

「のーもあ、ひとりじめ!」

「はあ…」


 相変わらず話が見えないけど、ようやく帰れる…。


 ん?


「前島さん、ごめんなさい。私はここで別れるから。寄りたい店があるんだ」

「え、そうなの? それなら、ボクも…」

「ギルマスは、こっち!」

「そ、そんな…。ミナー、またねー…」


 ずるずるずる


 うん、まさにドナドナ。


 さて…。


 ひゅんっ



 たったったったっ


「はあはあ…よし、これを週刊誌サイトに持ち込めば…ごふっ」


 どさっ


 安心しなさい、これも峰打ちよ。

 ああでも、『コナミ・サキ』の体格で魔剣レインフォールの長さは辛いなあ。


 峰打ちをした男の人の近くに落ちているそれを、拾い上げる。


「小型のビデオカメラか…再生アプリに組み込んでっと」


 かちっ


『顕現せよ、アイスフィールド!』

『遅い…遅いよ!』

『だけど、ミナ…「コナミ・サキ」は、ミリアナの事実上の』


 ぴっ


 ふう、危ない危ない。

 きれいサッパリ消してしまおう。記憶は消さなくていいよね? 『見たと言って、誰が証明できる?』ってね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。