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第26話 説明

 『ファラウェイ・ワールド・オンライン』運営会社、フォークロア・コーポレーション本社。


「では、近いうちに『現界』したミリアナにも会っていただくということで」

「は、はい、よろしくお願いします」

「俺も会ってみてえ!」

「ええまあ、そのうちに」


 下手に隠すとアレということで、『聖盾(アンサイル)アイスフィールド』の現界機能を手に入れてしまったクラスメートの前島(まえじま)優希(ゆうき)と、その様子を目撃した私の弟の霧雨(きりさめ)拓也(たくや)、拓也と同じ目撃者…のふりをしている私、霧雨(きりさめ)美奈子(みなこ)の3人が、こうして召喚されて説明を受ける。


 さすがに、私がミリアナであることは伏せられた。あと、なんとか救助隊みたいなことを頻繁に繰り広げていることも。いつか話すことがあったとしても、時期尚早というやつだろう。


 ところで拓也、もうちょっと落ち着きなさい。


「特に前島さんには、御家族の方々にもそのうちお伝えする必要があるでしょう。なにしろ、まだ高校生ですし」

「あれ、じゃあ、ミリアナの中の人って成人してるんですか?」

「え、ええ、まあ。詳細はお教えできませんが」


 ははは、お宅の高校生の娘さんが人外になったので正義の味方やらせてます、とは言えないよね。えっと、こないだは、燃え尽きずに落下する人工衛星の回収だったっけ。ファンタジー装備で大気圏外に転移することになるとは思わなかっよ。

 ははは、正義ってなんだろ。壮大な雑用係?


「そ、そうそう、霧雨さん達の御家族にも、そのうちお話をさせていただく予定です。特に美奈子さんは、ミリアナと懇意にしている唯一のユーザですから。今後、何が影響するかわかりませんし」

「父さんと母さんかあ。びっくりするだろうな!」


 うまく使ったよね、私が考えた設定。これで、もし万が一家の中で変な現象が起きても、だいたいミリアナのせいとか言えそう。


「よし、次は俺がユニークウェポンを手に入れる番だな! 他にないのか? ミリアナが関わっているユニークウェポン!」

「ないわね」

「ないですねえ」

「おう…」


 あっても教えないわよ。まさかこんなことになるとは思っていなかったから、前島さんには普通の(・・・)ユニークウェポンを手に入れてもらおうと思っていたわけだし。


「ところで前島さん、他のユニークウェポン所有者のように、アバター名を変えますか? まあ、それも元はミリアナが慣習的に始めただけなのですが」

「はい、変更する予定です。『ユーマ』ってアバターは他にも結構いますし、それに、ギルドメンバーも喜ぶと思いますから」


 ギルドメンバーかあ。あの日の翌日の学校は盛り上がったなあ。メンバーのほとんどがウチの生徒だったとは。んでもって、女性アバターの多くが本当に男子高校生だったとは。


「けっ、リアルでも女子のギルメンも結構いるんだろ? くそう、くそうくそうくそう!」

「拓也、見苦しい」


 まあ、結構黄色い声もあった。でも、私が近くにいることに気づいたら、そそくさと去っていった。あれ、なんだったんだろ。


「ところで、現界した『聖盾アイスフィールド』は結構役立ちそうですね」

「「「え?」」」

「キーワード設定すれば一瞬で呼び出せますし、我々が作り込んだ仕様通りなら、トラック1台程度は跳ね除けられると思いますよ。装備限定とはいえ、ログインしていなければならないミリアナよりも強力かもしれません」

「そっか、『バリア』か! くっ、カッコいいじゃねえかよ!」

「えええ…」


 拓也、私達はもう中二じゃないのよ?

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