↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/104

第10話 HR前の教室

 思いもよらないことがあった、その翌日。

 朝のHRまでまだ10分はあるかなという頃の教室で、元気よく話しかけられた。


「おはよー、ミナ!」

「おはよう、前島(まえじま)さん」

「相変わらず、硬いなあ。『ユッキー』って呼んでくれてもいいんだよ?」

「そ、それは、ちょっと…」


 クラスメートの、前島優希(まえじまゆうき)さん。自分からあまり話しかけない私にも、積極的に話しかけてくれる。私が図書委員タイプなら、前島さんはクラス委員長タイプだ。真面目な方ではなく、イベント好きのリーダー気質の方だけど…って思うのは失礼かな。


「ま、いっか。…ん? なんか、嬉しそうだね。いいことあった?」

「…そう、見える?」

「うん! あ、もしかしなくても、『ファラウェイ・ワールド・オンライン』のこと? ミナもやってたよね。えっと確か…『コナミ・サキ』だっけ? リアルの姿そのまんまのアバターだったよね!」

「う、うん」


 私の反応が鈍くても話がどんどん進んでいくのが、前島さんとの会話の特徴だ。まあ、これは私が相手でなくても、クラスの誰とでも同じ感じだ。男女問わず。私にはとても真似できないなあ。真似をするつもりもないけど。


「そういえば、弟くんとやってるんだっけ? ミナがドワーフの生産職で、弟くんがヒューマンの魔導士。仲いいよね!」

「い、いつも組んでいるわけじゃないけど…。ゆうべ、たまたま一緒にエリア76のボスに臨んで」

「あー、えげつないよねえ、あいつ! ボクもパーティ仲間と挑戦して、2回に1回成功するか否かって割合だよ!」

「そ、そうなんだ。私達も、結局昨日は失敗して」

「『ミリアナ』ほどじゃないけど、ボクもそれなりのレベルの剣士なんだけどね。んー、ヒューマンやめて、ロードでアバター作り直した方がいいかなあ」


 『ファラウェイ・ワールド・オンライン』内で一度会ったけど、その時の前島さんのアバターは、がっしりした青年ヒューマンという感じだった。アレがロード…魔人型になるのはだいぶ違和感ありそう。もっとも、アバターはいくらでもいじれるから、作り込めばいいだけだけど。…課金さえすれば。


「だから…あれ?」


 ガシガシと話しまくってた前島さんが、私の顔を見つめて、喋るのをふっとやめる。私の顔に顔を近づけ、そして…私の頬に、手を当てる。


「ま、前島さん!? いきなり、何!?」

「ミナ…綺麗に、なった」

「え!? え!? そ、そんなこと、ない…よ?」

「もともとかわいい顔だけど、なんか…より整った感じで」


 どきっ


 うーん、前島さんには違い(・・)がわかるのかな? ゆうべ、拓也(たくや)とのブルードラゴン討伐クエストが終わって別れた後、何時間かかけて偽装にだいぶ(・・・・・・)手間暇かけてみた(・・・・・・・・)んだけど。


 そう、今の私は、『ミリアナ・レインフォール』のアバターが現実世界に転移した姿だ。本体の私は、例によって自室のベッドで眠っている。今日が土曜日でお昼前には学校が終わるってことで、思い切って試してみたのだ。


 でも、えっと…そろそろ、頬から手を離してほしいんだけど。あと、じっと見つめるのも。周囲のクラスメートが、こっちを見てひそひそ話し始めている。


「あの、前島さん…?」

「ああ、ごめんごめん。本当に、キレイだったからさ。あ、そろそろ先生が来るね。じゃあ、また!」


 パタパタと自分の席に向かう前島さん。


 はー、ドキドキしたー。まあでも、バレてないよね。アバターだってことがわからないよう、残りの討伐報酬を使って『コナミ・サキ』の造形を徹底的に偽装し直したんだけど。もしかすると、作り込みすぎたかな?


 ひそひそひそひそひそひそひそひそ


 …本当に、バレてないよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。