第六十話「変化」
後書きにて重要(?)な説明がありますので、本文を読んだ後には是非読んでおいてください。
周辺諸国からは霊術大国と言われている広大な土地を持つ戀国。
中心には最大都市のアトラント。そして東西南北にはアトラントに次ぐ四大都市がある。その内の一つ、最西端にあるのが天ヶ咲家が統治するマースティアだ。他の三つの都市も十二天族のどれかが統治している。
戀国の地形は大まかに言って円環状をしている。
アトラントの中央には巨大な霊樹―――世界樹がある。その根本をグルッと囲むように、戀国において最重要一族の天照一族の本家がある。そこを中心にして何重もの円を描くように地形が高低を変えているのだ。
中心点である世界樹を含む天照本家の土地は高く、残る周辺のアトラントの町は低く、アトラントを囲む『迷いの森』の土地は高く、その次は低くといったふうに波続きになっている。
その天照一族の本家を北を正面として左右と裏側でコの字に囲むようにエクソシスト教育第一高校の私立蓮桜流蘭学園―――通称、蓮桜学園があった。
悪魔祓い師や対魔師といった、悪霊や怨霊等の霊や霊獣等から人々を守る者を育成する学園。
故に学生達は皆、周りの人から期待と羨望、哀れみや畏怖といったものが込められた眼を向けられ、注目を浴びる。
しかし今、
「ね、ほらあれ」
「昨日の・・・」
「あれだけの事をしといてよく学園に顔を出せたな」
「昨日の連中、全治1ヶ月だってさ」
「え、でもさっき久田己君達いたよ?」
「なぁ、なんであの人達はあいつと一緒にいるんだ? 特に彼女は被害者だろ?」
「あれが、本物の・・・十二天族の」
本来なら注目をされる側である学生が逆に、ある四人に注目していた。
後ろ髪を軽く結っていて金髪金眼が特徴の美少年と、やや小柄な背丈にセミロングの髪で、特徴的なのはなんといっても翡翠色の瞳。そして髪型が妙に猫耳に見える美少女だ。端から見ればなんてことはない美少年と美少女の組み合わせだが、この二人は違う。今一番注目を浴びているのは四人の中のもう二人の方だった。
一人は炎のように真っ赤な髪をポニーテールにし、目付きが少しきつそうに見えるが面倒見が良く優しいという出来すぎた女子で、美少女というにはあまりにも大人びている。大人の色香を帯び始めた美少女といったところか。
そして二人目、彼が一番視線を―――否、危険視されていた。
他の三人に比べてこれといった特徴があるわけではない。
しかし、この学園内で彼の事を知らない生徒はもはや誰一人としていない。
強いて特徴をあげれば、その首にはいつも、複雑な形をした銀色に輝くアクセサリーの付いたネックレスがかけられていることだった。
◇
「・・・凄い見られてるんだけど」
校門をくぐって校舎に向かっている中、そう言いながら金髪金眼の美少年ことオルスレッド=J・S=ヴェルはもう一度然り気無く周りを見る。
「うん。見られてるね」
オルスレッドの言葉を受けて美少女こと美永瀬 加菜恵も周囲を気にする。
確かに、学園内に入ってから妙に周りの視線がこちらに向いていた。いや、もっと言えばアクティナの端にある別荘から転移してきてアトラントに入ってから、特定の者の視線が向けられていた。
特定の者―――つまりはピンク色の桜と紺色の蓮の花が重なったイラスト。それが左胸辺りに描かれた朱色のコートを羽織った者達だ。
「う~、なんだかごめんね」
二人の一人言じみた言葉に今度は、大人の色香を帯び始めた美少女こと天蘭院 綾香がどこか申し訳なさそうに謝る。まあ、当然といえば当然だろう。
十二天族であることを差し引いても周りの視線を集めるくらいに綾香は十分に綺麗で、美永瀬もどちらかといえば美少女に入る部類だろう。オルスレッドはどこかの国の王子様的なキャラクターポジションでそれなりに人気が高い。
そんな者達が一緒に行動すれば注目されるのは必然というものだ。
・・・本当にそれが理由だとすればだが。
「・・・桜華。君、物凄く検討違いな事を考えてないかい?」
「別に。これだけの豪華な面子が揃っていれば注目を受けるのも頷けるなと―――」
「ちょっと天ヶ咲、それ本気で言ってるの?」
横から美永瀬が半眼で睨んでくる。
「まさか。ただ昨日、あれだけの騒ぎがあったんだ。その当事者達が注目を受けるのは当たり前だろうと―――」
「「君(あんた)が言うなっ!」」
サラリと流そうとしたが両方からツッコミが帰ってきた。
「桜華君、私もそれはないと思うな」
綾香までもが二人に便乗してきた。
確かに悪い(?)のは俺だが、謝る気などはこれっぽっちもなかったし、周りの奴等が俺の事をどう見ようと知った事ではない。
まあ、多少これから面倒臭い事が待っているかもしれないが。
例えば、俺の正体を知ったことで戦闘狂が勝負を仕掛けてきたり―――
「ぅおぉい、天ヶ咲! 俺と勝負しな!」
「・・・・・・」
戦闘狂とは言わないものの、純粋に強者との決闘を望む者もしかりで―――
「天ヶ咲よ、同じ十二天族として尋常な決闘を申し込みたい」
俺が起こした今回の事の理由をある程度知っている者が野次馬感覚、同情、あるいは好奇心でもっと詳しく知りたいと思い、学園内での自分の権力を使って連れていこうとしたり―――
「天ヶ咲よ。部活長として少しお前に話がある。少し付き合え」
「おい、天城臣。それはいくら何でもおかしいだろう。ここは風紀委員長である私に彼を連れていく権利がある」
他には俺に絡む理由すらないのに、もはや意味不明な事を言いながら絡んで来たり―――
「ようやく来たわね、天ヶ咲! この私を待たすなんていい度胸じゃないの。さすがは十二天族ね。やっぱり私の目にくるいはないのよ! いい? 天ヶ咲、私のものになりなさい!」
さらには俺の正体を知った頭のネジが数本どころか数十本は飛んでいそうなバイオレンスな変人が人体実験させろと言って来たり―――
「おお、ようやく来たか少年。悪いが少し私の実験に付き合ってくれないか? なに、心配するな。五体満足とはいかないかもしれないが命だけは保障しよう。私もヒトの子なんでな」
手がつけられなければ頭も上がらない少々やっかいな人など、そんな奴等が一度に現れないとも限らないわけで。
「・・・・・・」←(俺)
「・・・・・・」←(綾香)
「・・・・・・」←(美永瀬)
「・・・・・・」←(オルスレッド)
・・・はて。今なにか聞こえたような気がしたが、俺の気のせいだろうか。それとも、あまりの被害妄想から幻聴でも聴こえたのだろうか。
疲れているのかな、俺。
いくら今日が終業式だからといって、無理せずに休めばよかったと今さらながら少し後悔を覚えそうだった。
「・・・桜華君」
「言うな、綾香。俺だって受け入れたくない」
だが綾香の声で現実逃避気味だった思考が止まる。
いくら否定したとしても目の前の現実は何も変わらない。今までの短い人生で俺が学んだ数少ない教訓だ。
小さくため息をついてから俺達の行く手を阻むように立っている者達へと問いかける。
「・・・で? 俺にいったい何の用が?」
「俺と殺り合おうぜ!(上津)」「・・・・・・(関上)」「いざ、尋常な決闘を(天津神)」「同じ『天』の名を持つもの同士、話がしたい(天城臣)」「建前上、風紀委員長として話がある(隼美)」「私の元に来なさい(紅快天)」「私の長年の夢のためにその身体、実験に使わせてくれ(アティア)」
矢継ぎ早に出てくるそれぞれの要求。
いくつか人として道徳上問題のある要求があったがここは気にしないでおこう。
「よしわかった・・・おまえら全員帰れ」
「「「わかってないだろ(でしょ)!!」」」
どうやら俺の答えはお気に召さなかったようだ。
そもそもわかってたまるか。
これ以上ここにいたらもっと面倒事が大きくなりそうだった。周りの視線が先にも増して痛い。まるで奇妙なものを見るような視線だ。
どうやってこの場を切り抜けようか考えていると、今まで妙に静かだった関上が一歩前に出てくる。
「天ヶ咲。放課後に『大地の鋼剣』の性能テストをするつもりだが、付き合う気はないか」
「よしわかった、付き合おう」
「「「それは付き合うんかい!!」」」
さすが関上。だてに普段ストーカー並みに他人を観察してるだけはある。つい二つ返事で了承してしまった。
関上が後ろの上津達にどうだ、としたり顔を向ける。
乗せられた感は否めないがそれでも貴重な古代武器の情報を入手出来るのだ。ここは目を瞑っておこう。
そういえば、現れたのはこいつらだけか? と思い、辺りを見回した時、
―――キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン・・・
朝のHRが始まる五分前を告げるチャイムが鳴り響き、俺達の事を見ていた周りの連中を含めたこの場にいる全員が急いで教室に向かい出す。
上津達も何か言いながら去って行ったが、ある疑問が浮かび上がった俺は聞き流していた。
「・・・・・・」
「ほら、桜華君。私達も行こ」
「あ、あぁ・・・」
綾香の言葉に釣られて歩き出す。しかし、浮かび上がった疑問は消えなかった。
どうしてこの場に、あの人がいないのか。
いろいろと手を回してくれていたみたいなので、ここ最近会っていなかったこともあって現れるかと思っていたのだが・・・。
それだけがどうしても腑に落ちなかった。
◇
予鈴のチャイムが鳴り響く中、蓮桜学園にある三つの校舎の中央棟の四階、つまりは四年生達の教室の一つでは、校門から校舎までの道で起こっていた一部始終を自分の席から眺めている女子生徒がいた。
「あら・・・ふふ、皆朝から元気ね~」
優しい笑みを浮かべながら彼女はその中の一人、銀色のネックレスをかけた少年からずっと目を離さずにいた。
本来なら彼女はいの一番に彼の元に行き、自分が彼のためにした数々の事を労って欲しかったのだが、いつでもそう出来る彼女はあえて行かず、この恩の大きさを彼に再認識させてさらにはどう逃げ道を塞ごうかと考えていた。
「・・・ふふ」
「随分機嫌が良いみたいだな、咲恵」
あまりの楽しみさに自分が思わず笑っていたことを知る。
「あら、千慧じゃない。今日は遅いわね」
「見ていたくせに」
苦笑しながら隼美 千慧は天上院 咲恵の側に寄る。
この二人、学園では誰が見ても仲の良い学生同士だがその実、主と従者の関係である。どっちがどっちかは言うまでもない。
意外とこの事実を知る人間は多い。
そろそろ本鈴のチャイムが鳴ろうかというとき、天上院は席から立ち上がった。
「どうしたんだ、咲恵? 何処かへ行くのか?」
「会室によ」
「会室? 何のために? もうすぐチャイムが鳴るんだぞ」
「ふふ、お・し・ご・と♪ 私の可愛い可愛い弟を逃がさないためのね♪」
唇に人差し指を当てながらウインクをする天上院。
お互い長い付き合いである。天上院の笑みの裏側にあるものを察した隼美は、自分の中で該当するその『弟』に向けて「頑張れ」と、心の中で声援を送る。
歩き出した天上院だが数歩ほど歩くと立ち止まって隼美へと振り返った。
「そうそう、千慧。手紙が来ると思うから、悪いんだけどこっちに来るときついでに持ってきてくれる?」
天上院の机の上に小さな霊術陣が広がり、すぐに消える。
それだけ言って天上院は教室を出ていく。
手紙が『来る』じゃなくて『届く』の間違いじゃないのか? と検討違いの疑問をする隼美だったが、教室から出ていく天上院の姿を見てため息をつく。
彼女の長い髪の右側にだけ結られているサイドテールがその足取りで軽やかに跳ねる様は、まるで嬉しさのあまりに踊っているかのようだった。
◇
教室について自分の席に座る。ただそれだけの事なのに今日は物凄く居心地が悪かった。理由はわかっている。昨日のあれが原因であるのは。
ただ―――
「ね、ね、天ヶ咲君。天ヶ咲君が本物の十二天族の天ヶ咲 桜華君って本当!?」
「この国を騙してたとか天ヶ咲、やるなぁ」
「あなたが使っていた認識阻害の霊術ですが、是非教えて頂きたい」
「うちのクラスに十二天族が二人だよ! すっご~い♪」
「くっ、うぅ~。天ヶ咲よ~・・・ぐす、綾香様の事は、んっく、頼んだぞ~・・・ひぐ」
席に着くと同時に始まったクラスメイトからの質問や感嘆の数々。何かあるだろうと思ってはいたがここまで好意的(?)だとは思ってもいなかったので面を食らってしまっていた。
「・・・・・・」←(俺)
「・・・・・・」←(綾香)
「・・・・・・」←(美永瀬)
「・・・・・・」←(オルスレッド)
正直言って、どうすればいいのか迷っていた。恨み妬み畏怖恐怖などなら簡単だったのだが。
いつまでも呆けていてはいけないと思ったのか、綾香とオルスレッドが対応を始める。美永瀬は早々に自分の席に戻っていた。
「お、桜華君も相手してよ」
「君が巻いた種なんだから責任は取ろうよ」
巻いた覚えはないんだがと思いつつ視線を上にあげる。相手をする必要はないのだ。何故なら・・・、
―――キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン・・・
「は~い、皆。席について~。HRを始めるわよ」
ナイスなタイミングでチャイムが鳴り、担任のメアーユ・アル=ラナサが入ってくる。両サイドに結った短いツインテールと小学生じみた教師の肩書きには不釣り合いな体躯。
だからだろうか。
この学園では生徒と一番距離が近いように思えた。いろんな意味で。
「先生。私達には今、HRよりも重要な事があると思うんです!」
「クラスメイトとのコミュニケーションという名の一大イベントが!」
メアーユ先生の言うことを聞かずに質問を再開する。
ようやく救いの手が来たかと安堵していた俺達だがクラスメイトの異常なやる気のせいで再び困惑する。
「あ、あぅ~。皆が私の言う事を聞いてくれない。これが世に言う学級崩壊ってやつなのかな? ・・・先生達ですら天ヶ咲君については何もするなって上から言われているのにぃ」
いじけモードに入ったメアーユ先生を宥めるためか、何人かの生徒が向かうが質問の勢いは弱まらなかった。
一方的な攻めにだんだんと溜まって来た苛立ちがそろそろ限界に達しそうなその時、
―――キェェェェェェェ・・・
「「「?!」」」
何処からともなく鳴き声が聞こえた。別段動物の鳴き声などは珍しいわけではないのだが、その鳴き声に無理やり意識を向けられる。そんな通常ならざる事情が含まれているとその限りではなかった。
何処から聞こえたのかとクラスの連中が騒ぐ中、自分の席に戻っていた美永瀬が窓際へと駆け寄り指差す。
「綾香、あれ!」
全員が外を見る。すると、美永瀬が指差す方向から五つの何かが飛翔していた。
「あれって・・・」
「鳥、だよね? 鷹かな? それとも鷲?」
オルスレッドがそちらを見ながら首を傾げる。
俺も視線を外に向けると、確かに翼を広げて飛んで来る五羽の鷲が見えた。ただ、その飛び方に妙な違和感を覚えた。
規則正しすぎる。
横一列にきっちりと並んだその飛び方は、いくら野生の鷲でも『く』の字になることはあってもあそこまで綺麗に横一列にはならないだろうと思えるほどだった。そして何よりもその五羽から霊力を感じたのだ。
だとすれば・・・。
「桜華君。あれって・・・」
「・・・オルスレッド、窓を開けろ」
「え? う、うん」
戸惑いながらも窓を開けるオルスレッド。綾香に向かって静かに頷き、人差し指を曲げて口に当てて軽く銜える。綾香も同じように指を口に当てる。
そして、
―――ピィィィィィィィィィィィィィッ・・・
指笛が鳴り響く。数は―――四つ。
俺と綾香以外に二人、同じように指笛を鳴らした生徒がいた。どうして五つじゃなくて四つなのかと疑問が過る。
―――キェェェェェェェッ・・・
指笛に答えるかのように五羽の鷲が鳴き、降下し始める。
一匹は俺達の教室よりも上に、二匹が下に、残りの二匹の内一匹は窓の外に手を伸ばしていた綾香の手に止まり、最後の一匹は窓から入って来て俺の腕に止まった。
腕に止まった鷲はしばらくこちらを見ていたかと思うと突然光だし、まるで糸で編まれていたかのようにその身体が解れ出す。そして中から筒状にまかれた手紙が出て来た。
手に取り紐を解いて中に書かれている事を読む。
この鷲は霊術で創られた化生体で、十二天族の者に緊急の連絡をする時に使われる。つまりこの手紙にはそれだけ重要な事が書かれている事になる。
この学園にいる十二天族の数は五家。
だから五羽の鷲が飛んで来たのだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺と綾香が手紙を読む中、クラスの全員が固唾を呑んで見ていた。
どれくらいそうしていただろうか。俺はそこに書かれている内容が最初理解出来ず、何度も読み直していた。
「桜華君。これって・・・」
どうやら綾香も困惑しているようだった。
これを読んで困惑しない奴がいればそいつは単なるアホだろう。いや、言い直そう。十二天族でこの内容をすぐに受け入れる奴は何も考えていないただのバカだ。
それだけ重要なことが書かれていて、それだけ理解しがたい内容だった。
「何て書いてあるんだい?」
覗き込むように訊いてきたオルスレッドに手紙を渡す。
「読んでも?」
黙って頷く。
クラス全員が知りたそうな顔をしていたのでそう訊いて来たのだろう。なら教えてやればいい。その判断は手紙の受取人の自由だ。しかもクラスの奴に全く関係がないわけではなかった。
「じゃあ、読むよ・・・」
オルスレッドが持つ手紙に書かれている内容は次のようなものだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【十二天族緊急会議の結果について】
先日、急遽行われた十二天族緊急会議の結果を伝える。
既に報告が行っていた此度の件に関して、その当人である天ヶ咲 桜華には以下の命を下す。上記の者は戀国における神族である天照一族の命に従い、神族、ひいては戀国の助けとなるべくその責務を果たすことをここに命ずる。なお、天ヶ咲 桜華の存在が故に、命を下すことが可能な者は直接、間接を問わず神族の者のみである。
つきましては神族当主代理、天照 紫音の名のもとに以下の命を下す。
戀国は友好関係にある国から、以前より頂いていた『まつりごと』への招待を受けることを決定した。天ヶ咲 桜華は私立蓮桜流蘭学園と共に彼の地へおもむき、さらなる友好関係を築くよう努めよ。これに伴い同学園に在学する十二天族の天上院 咲恵、天ヶ咲 桜華、天蘭院 綾香、天津神 真志、紅快天 朱雀の以上五名には特別に以下の事を許可する。此度の期間内に限り、国外での家名受領を許可する。この特別措置については正式な手順を踏んだものと同じ扱いとするため、この意味を十分に理解し自らの言動には十分に注意されたし。
『まつりごと』の詳細については天上院 咲恵に一足先に伝えているため、彼女の指示を仰ぐように。
急な決定ではあるが、理事長の天蘭院 志恵那には既に了承を得ているため、私立蓮桜流蘭学園には是非ともご協力をお願いしたい。
以上が十二天族緊急会議の結果である。
上記の内容を他者に知らせるかどうかは受取人の自由である。
諸君らの健闘を祈る。
十二天族総括、天麟 匝嶄
神族当主代理、天照 紫音
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そこにはそう書かれていた。
あけましておめでとうございます、アリッサです。
新年です。元旦です。御節料理です!(←新年最初の楽しみです)
はい、という事で第四章始まりました。始まったんですが・・・まだしばらくは戀国内でのお話です。何話後になるかわかりませんが、作中にも出てくる『まつりごと』の方へと話が進む予定です。いえ、進ませます。
前回の後書きで何かやろうかなと書いてあったのですが、今回はそれを止めさせていただき、本文の補足説明をさせて頂きます。
桜華達が受け取った手紙に書かれていることで疑問に思われた人もいるのではないでしょうか。そうですね、中盤、もしくは中盤やや下あたりでしょうか? 「国外での家名受領を許可する」の部分なのですが、この「受領」について補足させていただきます。
「じゅりょう」と読むこの字ですが、辞書などで調べると「受けること」「受け取りおさめること」といった意味が書かれていると思います。しかし、その他に「江戸時代、優秀と認められた職人や芸人が、国名を付した一種の官位を名乗ることを許されること」という意味があるようです(断定出来ずに申し訳ありません)
それでですね、本作品では十二天族に選ばれた家は、十二天族という位を得ます。そして自国だけではなく他国においてもその名だけで優位に立てる、と言っていいのでしょうか。お前は他国の者だけどその偉大さは伝わっているからその名は我が国でもある程度通用するぞといった、ある種の「名の権力(?)」が備わっている、という設定なんですよ。一応。そしてその権力を乱用しないように、それぞれの家の当主に認められるまで他国で名の権力を使ってはいけない決まりになっているんです(本作品ではそのような内容を語る部分がなかったため書かれていませんが)
それらを踏まえてですね、受領と言う言葉を使用しました。
要約すれば、「あなたはまだ認められていないけど、他国に行くのにそのままは不便でしょう? ですから、自分は当主に認められている立派な天の名を持つ家の者であると、名の権力の行使が必要であれば、それを特別に許可します」となります。
以上が作者が考えて自分で判断した事です。
他に適切な言葉や言い回し、まだおかしいなと思うところなどがあればお知らせください。
それではまた次話でお会いしましょう。




