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第四十七話「乱入者」

桜華の武器(タクティカルアーツ)がどんな物なのかわかり辛かった方

こちらにイメージ画を御用意いたしました。

これはあくまでもイメージ画なので、

決まったわけではありませんが「大体こんなんなんだな」と思ってください


http://s10.bannch.com/bs/bbs/762133

 天蘭院が飛び立った教室では、当事者である志恵那に美永瀬が天蘭院の姿を目で追っていた。

 クラス全員、志恵那が入って来た時から一切声を発していない。誰も動いていない。天蘭院が桜華によって壁に叩き付けられ、心臓を貫かれそうになっても誰一人悲鳴を上げなかった。正確には上げる余裕すらなかった。

 思考がついて行かない。それが全員の感想だった。

 いきなり天蘭院が桜華を本物の天ヶ咲 桜華だと言い張り、志恵那が乱入してきて復讐やらなんやらの話が起こり、その復讐を開始した桜華が天蘭院の反撃で外に押し出され、その後を追って天蘭院が飛んで行った。

 現状を確実に把握しているのは志恵那と美永瀬、それにオルスレッドの三人だけ。

 だが誰も問おうとはしなかった。

 そして問う必要がなかった。

「志恵那さん、本当なんですか。天ヶ咲が復讐の為にこんな事をしたって」

 一言でこんな事と言っても、その中には『どうして身分を偽っていたのか』『どうして復讐などをしようと思ったのか』『どうしてあなたではなく綾香を狙うのか』などの意思が籠められている。

 美永瀬の言葉に、クラス全員の視線が志恵那に集まる。

「その話は後よ。二人を見に行かないと」

 そう言って教室を出て行く志恵那を追って美永瀬とオルスレッドが付いて行く。さらにその後を一組の生徒が迷いながら追いかける。

 志恵那を先頭に一組の生徒が移動しているのを、他のクラスの先生や生徒が何事かと質問を掛けるが答えなかった。代わりに生徒が教室に留まる様に先生方に指示を出す。困惑する先生に何があっても生徒を出してはいけないと強く言い聞かせて外に出た。

 志恵那が先生方に指示を出している中、教室を抜け出して一年から四年のクラスを回っていた生徒が多数いた。

 彼ら彼女らは壁が崩れるを音を聞き、そこから外に押し出された桜華とその後に飛び出した天蘭院の姿を見た時から行動していた。

 その様子を志恵那、美永瀬、オルスレッドの三者以外気づく者はいなかった。


                ◇


 天蘭院が宙を飛んでこちらに来る。

 飛行霊術は何も風属性系でしか出来ない訳ではないが、その中でも疾属性以上でないと飛行霊術は会得できないし、疾属性以上であっても会得できるかどうかも怪しい。それほどの高難易度霊術を使えるあたり、『炎天の女神』の名は伊達ではないようだ。

 天蘭院が俺から五メートルほど離れた場所に着地する。

「殺されるとわかっていて自分から来るとはな。それで? 俺の心を覗いた感想は?」

「・・・っ!」

 向かい合って対峙してから話し掛けると、天蘭院は一瞬だけ肩をビクッとさせる。どうやら自分が俺の心を覗いた事はばれていないと思っていたようだ。

 普通の奴らならばれなかっただろうが俺には自分が身分を偽っていたという事の他に、隠しておかなければならない事実があったので、俺の心を覗こうと侵入すると、わかるように訓練してきた。

 関上(せきがみ) 志岐(しぎ)に侵入された時は気付けなかったが。

 あれはあれで正直かなり焦った。もしあいつにもう少し霊核剥離の知識があれば確実にばれていたな。


 それはさておき、まさか天蘭院にまでばれてはいないはずだが。

「・・・ユエラ、ちゃん。お母さんがその子を滅したのが、天ヶ咲君の復讐の発端・・・なのね」

「さすが、と言うべきか。ならそこまで視たならわかるよな」

「私は、死なない。そして天ヶ咲君・・・あなたを救ってみせる!」

 意外にも戦いの火蓋を最初に切ったのは天蘭院からだった。

 無発言で無数の『炎の爆矢』を放ち、どこからともなく期末試験で使用した、赤く彩られた両手用長剣を片手で持って向かって来る。

 まずは様子見といったところか。全力で掛かって来ていない事は明白。だが眼は本気だ。天蘭院の瞳の奥にはまだ光が宿っていた。どうやら本気で俺を救う気らしい。そんなことは、もはや不可能だというのに。

 四年前の襲撃事件の時に、既に俺の本命の武器が知られている。

 故に隠す必要もないし、隠す気もない。

「ハッ!」

 どうやら先の『炎の爆矢』は囮だったようだ。体を逸らすだけで避ける。天蘭院が気合の一声と共に長剣を振り下ろす。

 俺は右手を下に一度振り下ろし、右腕のコートの下、常にそこに隠して持ち歩いていた愛用の武器を取り出し、振り下ろされる長剣の一撃を受け止める。

―――ガキィィィン

 金属同士がぶつかり合う音が鼓膜を響かせる。

「・・・っ!」

 自分の一撃を受け止められた事か、それとも俺が持つ武器を見てか・・・はたまたどこから取り出したのかという事にかはわからないが、天蘭院が目を見開く。

 俺が手にするのは見るからに禍々しい形をした鎌のような武器だ。鎌のようなと言った通り、これは正確には『鎌』と言う武器ではない。


 一見『槍斧(ハルバート)』に見えなくもないが、一般的なハルバートは相手を『突く』ために用いられる槍に似た短い刃。『両断』するための斧。その反対側には突起があるのが本来のハルバートだ。

 だが天蘭院の目の前にある物には決定的に違うものがある。


 全体が黒色に染まるそれは、死神が死者の魂を刈り取る時に使うとされている『鎌』がついている事だ。しかも、先端の槍の部分の刃が、片手剣並みに長く片方に反っている。


 農機具の大鎌がオモチャに見えてしまうような鎌で、幅広の刀身に刃渡り一メートルはある正真正銘の大鎌―――そこだけ見ればまさしく『死神の鎌(デス・サイス)

 先端には長さ七十センチ。両刃で反りがあり、まるで片手剣のような刃は槍、時として剣の役目を果たす。

 鎌の反対部分には、斧と見受けられる刃。

 この武器の名は『鎌槍剣(レンソウケン)

 棒の長さは先端の刃先を入れると全長二メートル半。これ一つで鎌、槍、剣、斧の四つの形態をしており、それぞれの特徴である四つの攻撃方法はもちろん、これ自体の攻撃方法も使えると言う、もはや言語道断な武器だ。

 分類的にはハルバートと同一視されることもあるが、明らかに違う形状を持つ故にわかる者が少ない。


「何を驚いている。始めてみたわけでもないだろ。俺を救うんだろ? なら、本気で来い!」

「きゃっ!」

 鎌の部分で受け止めていた天蘭院の剣を左へ受け流し、槍剣の部分で斬りかかる。天蘭院はすぐさま後ろに跳んでかわすが頬に軽く傷がつく。

 態勢を整える時間を与えないように今度はこちらから前に出る。

 天蘭院がこちらに手を翳すと、手の平から拳大の炎が広範囲に放たれ、それらが地面に当たると同時に爆発する。一つ一つの爆発の威力が予想以上に大きく、直接当たれば無事では済まないだろうが、俺は迷わず爆発が続き燃え盛る炎の中に飛び込む。

 衝撃波が身体を襲い、熱波が身体を焼く。領域干渉で防いでいるにも関わらずこの威力。炎属性を完璧に使いこなしてやがる。

 だがっ!

 この程度の威力、あの人の修行に比べればどうと言う事はない。

 一気に炎の中を突っ切り、炎を抜けると目の前に驚く顔の天蘭院がいた。鎌槍剣の柄を右脇で挟み、そこを起点にして槍剣の部分で下から斬り上げる。

 それを天蘭院はステップを踏んで避ける。この状況でもその動きは優雅だった。

 だがこれで終わりではない。

 隙の出来た俺に天蘭院が斬りかかろうとするが・・・甘い。

 こいつはまだ知らない。鎌槍剣が持つ攻撃手方法は一般のハルバートや鎌、槍に剣の攻撃方法だけではないと言う事に―――斬り上げた鎌槍剣の鎌が下を向き、頭上で自分の命を狙っている事に。

 振り上げた右手ごと鎌槍剣を振り下ろす。

―――キィンッ

「っく!」

 完全に隙を付いた一撃だったはずだが、天蘭院は剣の身で鎌を防ぐ。防ぐが・・・、

「そんな模擬剣で、凌げると思うな!」

「・・・えっ」

 鎌槍剣に闇属性の霊力を流し込む。

 すると、鎌槍剣全体が黒いオーラに包み込まれ、天蘭院が持つ剣をバターのように刀身の真ん中から真っ二つに折る。

 鎌が剣に食い込むのを視た瞬間、天蘭院は剣を捨てて後方に大きく跳んだ。

「本気で来いと言ったはずだ。まさか、そんな模擬剣で勝てるとでも思ったのか? それともまさか、使いたくないとでも言いたいのか?」

 その言葉に、天蘭院は苦い顔をする。

 まったく、こいつはどこまでお人よしなんだか。自分の命が狙われているのだぞ。俺を救うのだろ? なら本気で来なくてどうする気なのだ。

「・・・そうか。『炎天の女神』の名の力を最後に見てみようと思ったが、もういい・・・死ね」

 脚に霊力を集中させ、十メートルはある距離を一気に縮めようとした時、


「お下がりください! 綾香様!」


「「・・・っ!?」」

 どこからか声が聞こえてくる。

 声のした方を向いた時、向くよりも先にその場から離れるべきだったと痛感した。

 氷の礫と冷気を発して足元が爆発する。足と地面が氷で襲われてしまう。規模は小さいがこれが『氷爆』だと気づいた時には遅かった。

 天蘭院の後ろから五源属性の『水冷榴弾』『電撃榴弾』『風威榴弾』に五冠属性の『炎の爆矢』『氷の凍矢』『地の硬矢』が視界一杯に飛んで来る。基本技ばかり飛んで来るが、これ程の量だと中級の霊術数十個分の威力はありそうだ。

 直撃する分の霊術を鎌槍剣で叩き落とす。

 そして叩き落としてから気づいた。これは・・・囮だ。

「「「<氷搭の墓(フリーズン・グレイヴ)!>」」」

―――パキィンッ

 俺を中心に計十二本の氷柱が地面から生える。十二本の氷柱がまるで蓋をするように一つの大きな氷柱になり、俺を氷漬けにする。

 『氷搭の墓』は内側から力ずくでは破れない。

 身体強化に長けた者ならば出来なくもないが、三人での重ね掛けだ。どう考えても力での脱出は不可能。仕方ない。ここは『深淵の虚空』で・・・、

「「「<大地の進撃(アース・シンク)!>」」」

「「「<地を這う霆(アース・ボルト)!>」」」

―――なっ・・・

 俺を覆っていた氷が地面に沈んでいく。

 二十メートル程の氷が全て沈むと穴の壁にスパークが発生する。地属性と雷属性は相性が悪いはずなのにスパークの勢いはどんどん増していく。どうやら反転霊術が掛けられているようだ。

 溜まりに溜まった電撃は、嵐のごとく氷柱に覆われている俺へと襲い掛かって来た。

―――グァッ!

 霊術コンビネーションか。

 全身を雷撃が駆け巡る。

 内側から身体を焼くような痛みが貫く。普通の奴なら焼き死んでるぞ。

 さすがにこれ以上はヤバくなって来たので本気で脱出しようと霊力を練り始めた時、

「「「天の光 地の災厄 我が身を焼し紅き灯」」」

 視界が土の壁以外何も見えない状態で何人かの声が聞こえる。それはまるで詩を読むような言葉。

「「「心を燃やせ 魂を燃やせ 意思を燃やせっ―――天より落ちし火の光 地より生えし災厄の光!」」」

 これは、まさか・・・詠唱か!


 無詠唱霊術と違って詠唱霊術は発動までに時間が掛かると言うデメリットがあるが、威力が三割ほど増す。

 今のように相手の動きを止めている場合は効果覿面だ。

 随分と統率のとれたチームだな。『連合』の試験を受けても余裕で採用されるだろう。いやまったく、いいチームだ。

 ・・・って、呑気に賞讃してる場合じゃない。詠唱は詠唱でもこれは合唱だ。同じ霊術を何人かで詠唱して発動する事を合唱と言い、威力は詠唱の倍―――つまり六割増しだ。

 いくら俺でも非常にヤバい。

―――<深淵の虚空(アビス・ボイド)

 氷柱の中に黒い点が無数に現れる。

 それらは氷を食らって大きくなり、一つに結合していく。

 やがて俺の身体を覆っていた氷が内部に球の形を造って全て黒い球体に飲み込まれる。直径三十センチ程の球体は俺を覆う様に伸び、大きな球体になって視界が完全に闇に閉ざされた。光も音も届かない。完全隔離の空間が俺を覆ったのだ。


                ◇


 誰かが私を呼ぶ声がした。

 そう認識した時には私は転移霊術で元いた位置から二百メートルほど離れた場所に転移させられていた。

 霊力を感じて上を向くと、無数の基本属性霊術が天ヶ咲君目掛けて飛んでいき、その後に中級霊術が発動。そして何人かの詠唱が聞こえてきたと思うと、霊術はすぐに発動した。

「「「<降臨せし爆炎(デスコンド・フレイム)!>」」」

 私の後ろから突然現れた生徒が炎属性上位霊術を三人がかりで発動する。

 氷柱の真上に煌々と赤く輝く巨大な球体が現れる。

 太陽と思える程の光量と熱量を持った爆炎の球体はゆっくりと降下していく。氷柱は莫大な熱量のせいで一瞬で蒸発する。

―――ゴゴゴゴゴゴォォォ・・・ドゴォォンッ!

「キャッ!」

 土煙と衝撃波が襲って来る。

 熱波が届く寸前、私の前に氷の壁が幾重にも現れて熱波を防いでくれた。

 隕石が落ちたと言われても信じてしまうほどの爆発と爆炎が起きる。爆発は大地を揺るがし、爆炎は氷と土を蒸発させる。

―――ゴゴゴゴゴォォォォォォン・・・

 しばらくして爆炎が止み、土煙が消えて視界が晴れた時、信じがたい光景が見えた。

「う、嘘・・・なに、これ?」

 そこには、巨大なクレーターが出来ていた。

 クレーターの中心地は三十メートル程まで掘り下がっていて、そこから半径二百メートルほどの大きさで窪んでいた。あれだけの威力の霊術がこの程度の規模で済んでいる所を見ると、領域干渉の霊術が使われていたことは確実。

 これほどの実力を持ったチームはこの学園でも少なくない。

 それに、私のことを「綾香様」と呼ぶチームは一つしかない。 振り返ると、私の予想が当たっていた。

「御無事ですか、綾香様」

「え、ええ・・・ありがとう」

 青色のネクタイをした少し大柄な生徒が頭を下げながら近づいて来る。

 先輩であるはずのその人が後輩であるはずの私に頭を下げるのは正直止めて欲しかったが、彼の後ろで整列している人たちも皆頭を下げていた。

「ご存知かと思いますが、我らは綾香様の楯であり、矛であります。ご自由にお使いくださいませ」

 格式張った言い方だが、要はファンクラブの人たちだ。以前加菜恵から聞いたことがある。最初は半信半疑だったけど、この状況を見て納得した。

 一年生から四年生までの生徒が計三十人ほど。恐らく他にもいるはずだが、実力の上位者を連れて来たのだろう。中には顔見知りの生徒もいれば、意外な生徒も混じっていた。

 この状況について説明を要求されたが、どこから答えてどこまで話していいのか迷っている時、一人の生徒がクレーターの中心を指させて叫んだ。

久田己くだみ会長! あそこ!」

 久田己会長と呼ばれた、最初に近づいて来た四年生の先輩がその声を聞いて指さす方に首を動かす。それにつられて私もそちらを見ると、そこには明らかに異質なものがあった。

「なん・・・だ、あれは」

 視線の先、クレーターの中心。地表から十メートル程の場所に、真っ黒い球体が浮かんでいた。

 その球体が地表付近にまで下がると、まるで皮を向くように形を崩す。

 最終的には直径三十センチ程の球体になった。

 だが驚くべきことはそんなことではなかった。小さくなった球体の傍に、彼が立っていた。傷一つない状態で。

「・・・化け物め」

 久田己先輩が奥歯を噛みしめる。その表情は驚きと怒りで満ちていた。

「お前ら! 前衛を二グループに後衛を一グループの構成だ。綾香様に刃を向けるあいつを絶対に許すな!」

「「「ハッ!」」」

 久田己先輩の命令を聞いて他の生徒が天ヶ咲君に向かって駆けて行く。

「だ、駄目よ! 皆戻って!」

「大丈夫です、綾香様。我らにかかればあっという間です。そこで見ていてください」

 そう言って久田己先輩自身も前衛に加わって走り出す。

 確かにこれほどの実力を持ったチームならばそこかしこのチームや霊獣の群れ、はたまた『連合』の隊相手でも申し分ない強さだ。

 でも相手はそんな比ではない。相手は正真正銘の十二天族であり、四年前の襲撃時、私達が手も足も出なかった相手。敵うはずがない。私自身、心のどこかでそう思っていた。また、心のどこかでもしかしたらと思っていたのかもしれない。私は呼び止めることを止めてしまった。

 結果的に言えば、この時の私はその『もしかしたら』の可能性に賭けていた。しかし、それは間違いだった。


―――十分後。

「嘘・・・そんな、ありえない」

 目の前に信じられない光景が広がっていた。


「ぅ・・・あぁ」

「ぐっ、ガハッ・・・ち、きしょう」

「ぁ、痛い・・・痛いよ~」

「脚、俺の脚・・・ど、どこいった?」

「腕が・・・腕がっ」


 そこはまさに地獄だった。

 血だまりの中に浮かぶ人影。

 腕や脚が肘と胴体の付け根からなくなっている者。はみ出した腸をかき集めてお腹を押さえている者。胸を貫かれ口から大量に血を吐いている者。五体満足だが霊術で地面に磔にされている者。はたまた身体にまるで噛みつかれたような傷跡があり、抉られている者など・・・。

 たった十分で三十人の生徒が、たった一人の生徒によって―――いや、正確には一人と一匹の狼によって壊滅状態に陥ってしまった。

 彼らが召喚した霊獣や精霊は真っ黒い狼によって現在、再生不可能なまでに食い尽くされ、身体は一人の生徒によって無残にも斬りつけられていた。

 こんな、こんなこと・・・ありえない。

 そう言い聞かせるが、目の前で起こっている事は事実だ。否定しようがない。

「く・・・そっ。放し、やがれ。この・・・化け物」

 まだ威勢のある声が聞こえてくる。

 声の方を向くと、地面の影から生えている黒い触手のようなものに身体を絡み取られている久田己先輩がいた。

 その正面には、禍々しい鎌を久田己先輩の首に添え、今にも首を刈り取ろうとしている天ヶ咲君の姿。

「もう、嫌だよ・・・駄目、だよ。それ以上は・・・駄目ぇぇっ!」

 私は左腰を右手で軽く叩く。

 何もない所から霊術陣が現れ、中心から出てきた『柄』を握る。

 脚に霊力を集中させ、地面を蹴ると同時に霊力を放つと、生身では不可能な速さで地を駆け天ヶ咲君の持つ鎌の柄の部分を上部に弾く。

「これ以上はやらせない。私が止める・・・私があなたを、救ってみせる!」

 そう言って天ヶ咲君を睨むと、微かに、ほんの微かだけど・・・笑っていた。


遅くなってしまい、

申し訳ありませんでした

なかなか執筆に集中できず、手抜き感があるとは思いますが

すみません

ご了承くださるとありがたいです

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