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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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36_暫しの別れ

「いよいよ明日だね」


明日にはエリックは王都に赴く。だから今日が終われば暫しエリックとのお別れになる。今日はゆっくり過ごすとのことで、セバスチャンさんによる勉強会はない。朝食のあとはエリックと一緒に私の部屋で過ごしていた。ちなみに、セバスチャンさんはエリックについていかず、この別荘に残るらしい。なぜだか私の勉強の継続と、あとは私が制作した魔道具や便利道具の管理をしてくれるらしい。エリック父が買い取ってくれる他、それらを見て欲しがっている人達がいるらしく、その全ての管理をとりあえずセバスチャンさんが担ってくれるという。ありがたい。


「私が居なくなったら、魔塔主がマリを拐いそうで不安だ」


魔塔の主が私の後見人に名乗りだしたらしく、エリック父が断ってくれたのだ。魔塔の主は「なぜだ!?この私が後見人になるというのに!」と言っては、ガイナスさんとエリック父を困らせていた。

魔塔の主の預かりになると国に属さないことになること、そうすると私がこの別荘で過ごせなくなることをエリック父が説明してくれたが「魔塔で暮らせばいい」と言い出した。ただ、私が今の生活を崩したくないと言ったら渋々引いてくれた感がある。

魔塔の主が来た時は教えてくれとエリックに言われたので、アポ無し訪問をされた時はエリックに伝え、その度に2人は言い合いをしていた。逆に仲良しに見えてきたほど、嫌味の掛け合いは見事なもので、コントを見ているかと錯覚するほどだった。


「大丈夫だよ。魔塔の主は無理強いする人じゃないよ。それよりエリックにプレゼントがあるんだ」

私は自分の体の後ろに隠していた、綺麗に包装した箱をエリックに手渡した。


「マリの体からはみ出して気にはなっていたが、まさか私へのプレゼントだったとは。嬉しい、ありがとう。開けてみてもいいか?」


「どうぞ」

エリックはリボンをほどいて包装紙を綺麗に外していく。箱が姿を表し蓋をはずした。


「新しいトランプにオセロ。あとは、このランタンは魔道具か?素敵なデザインだ。嬉しい。マリ、ありがとう」

エリックは本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべてくれた。喜んでもらえて、準備したかいがあったもんだ。


「喜んでもらえて良かったよ。ジェットさんと一緒に準備したんだよ」


「あの筋肉バカにも礼を言わないとな」


「エリック、体調には気を付けてね」


「マリこそ、私が居ないからと言って夜更かしはするなよ」


「手紙かくね」


「私もかくよ」


「……寂しいね」


「長期休みには帰ってくる。……だから良い子で待っていてくれ」

エリックは悲しそうな顔をしながら私の頭を撫でてくれた。なぜだか勝手に私の瞳から涙が零れ落ちた。エリックは「マリ、泣かないでくれ」と、親指で私の涙を拭ってくれた。


「これは涙じゃない。心の汗」


「そうか、心の汗か」

エリックは優しく微笑んだ。


その後も1日過ごせるだけ一緒に過ごし、夕食はセバスチャンさんをはじめ、バレットさん、サラさん、リザさん、サナさん、トム爺さん、ジェットさんもみんなで一緒にエリックを送る会をした。

エリックはまさかお別れ会があるとは思っておらず、驚いてはいたけれど「ありがとう。留守を頼む」と皆に頭を下げた。ジェットさんはそんなエリックの肩に腕を回し「今夜は無礼講だ!」と騒ぎだした。エリックは「いや、お前が言う立場じゃない」とは口で言っていても、皆と食事を楽しんでいた。


お別れ会が終わり、エリックと私は今日も夜の散歩に出る。エリックは早速、私がプレゼントをしたランタンを使ってくれた。


散歩も終わり、寝る時間となる。


「お休み」


「あぁ、お休み」

エリックとは私の部屋の前で別れた。明日の朝にはエリックとお別れになる。私はベッドに横になり、眠りにつく。そして、エリックとの別れの朝を迎えた。





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