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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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35/71

35_そばにいる

魔塔の主は「私はこうみえて子供がいてもおかしくない年齢だぞ」と言ってきた。


「え、何歳なんですか?」

私が質問すると意外な答えが返ってきた。


「85歳だ」


いや、それなら娘より孫の方が正しいじゃんとか、そもそもなんでそんなに若く見えるの?とか衝撃すぎて言葉が出なかった。しかしエリックは違ったみたいだった。


「魔塔主はよほどの若作りなんだな」


「なんだとクソガキ」


また2人の間に火花が散ってみえる。なぜエリックは魔塔の主に噛みつきにいくのか。

私は「エリック、言葉遣いが悪いよ」と言うと、魔塔の主にではなくなぜか私に「すまない」と謝ってきた。なぜ、私なのだ。


「てっきり二十代くらいかと思っていました」


「まぁ、私くらいの魔力もちになると色々あるんだ」


魔力がありすぎて寿命が長くなる的なものかな?と勝手に邪推してみるが、言いたくなさそうな雰囲気を感じとったため話題をそらす。


「ちなみに、今日の用事はなんです?まだ翻訳は終わってませんけど」


「魔塔にいると私付きのアホがうるさくてな。逃げてきた」


"私付きのアホ"とはガイナスさんのことだ。ガイナスさんもたまに私のところに顔を出してくれる。もちろん、事前に連絡をくれてから。


「ガイナスさん泣いてますよ、きっと」


「泣かせておけばいい……が、ちょっと用事が出来たから帰る。またな、マリ」

魔塔の主は私の頭をポンポンと撫でてから、その場をあとにした。


「本当に突然なんだな」


「事前連絡がほしいって何回言ってもダメだから諦めた。その点はお嬢様と同じだね」

私が苦笑いすると「どちらも厄介なタイプだな」とエリックは深いため息をついた。


「エリック、私のことはいいから執務室に行かないと。セバスチャンさんが待ってるよ?」


「今日はマリのそばにいよう。一度、執務室に行ってくる。良い子で待っているんだぞ」

エリックは私の頭を撫でて椅子から立ち上がり、部屋から出ていった。私は座っていたベッドから立ち上がり、ソファーへと移動した。しばらくするとエリックが戻ってきて、私の隣に座った。それからは他愛もない会話をした。


「学園に通いだしたら毎日お嬢様と顔を会わせるね」


エリックは「せめてクラスが違うことを祈る」と心底嫌そうな顔で言った。


「学園に通いだしたら、私以外にも友達を作るチャンスだよ」


「友達というより、家同士の繋がりのための付き合いだよ」


「冷めてるね」


「事実だからな」


「……エリック、……私の話をきいてくれてありがとう」


「いつでも聞くぞ」

エリックは優しく私に笑いかけてくれた。本当に、本当にエリックと出会えて良かった。私は泣きそうな気持ちになってしまうのを誤魔化すため「エリック、トランプしよう!」と言っていた。エリックが王都にいくまで残り僅かなのだ。その残された時間を大切にしたい。


昼食まで一緒にトランプをして、午後も散歩をしたりして一緒に過ごした。夜は夜空を一緒に見て、そのあとは私が眠るまでエリックはベッドの横にある椅子に座り、私の手を握りしめてくれていた。


「寝顔を見られるの恥ずかしいよ。よだれが出たらどうしよう」と冗談目かしていったら「大丈夫だ。よだれを含めマリなんだから」と斜め上の返答が返ってきた。それもそうなんだが、なんか言い方がいやだ。


「おやすみ、エリック」


「あぁ、おやすみ」


気づけば私は眠っており、起きた時には朝で、もちろんエリックは部屋からいなくなっていた。


寂しい……


そんな感情が胸の中を占める。その後はいつもの日常を過ごし、とうとう明日、エリックが王都に行く日となった。



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