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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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28/71

28_翻訳

厨房で朝食の続きを食べ終え、エリックと別れ私は部屋に戻った。いつ魔塔の主がくるかもわからないので、手書きとはいえ、いい加減に翻訳を進めないといけないと思ったのである。

ソファーに座り、どの本を翻訳するか選定する。鉱石について書かれているものは、私が無事にジェットさんと色々と成功してから翻訳するつもりだ。有益な知識だからこそ『この知識の使用禁止』とか言われたら困るから、先に使用しちゃう作戦だ。


ベッドの下に隠している愛読書は翻訳するつもりがないので、どれにしようかとテーブルの上に並べた本たちにもう一度軽く目を通す。愛読書と鉱石について書かれた本を除くと、料理について書かれた本、とある男性への一方的な愛と憎しみが綴られた日記、当時の時事ネタの三冊になる。

こんなの、私の興味は一方的な愛と憎しみの日記の一択である。


紙とペンを用意し、私は翻訳を開始した。

「なになに、婚約者がいたけど浮気されたと……。なんて屑な男なんだ」

翻訳を進めていくと、この男のクズっぷりは酷くなっていった。

「え、この男、婚約者の妹に手だしたの?最低じゃん」


「なにが最低なんだ?」

急に耳元で声がして驚いたら、魔塔の主が私の背後から私の手元を覗きこんでいた。


「いきなり現れるのは心臓に悪いんで止めてください」

事前連絡がほしいと言ったにも関わらず、魔塔の主はまたいきなり私の部屋にあらわれた。


「翻訳の調子はどうだ?順調か?」

魔塔の主は翻訳途中の用紙を掴みとり、目線をそれに向けた。「なんだ、痴情のもつれではないか」とその用紙をテーブルに戻すことなく指から離した。もちろん支えをなくした紙は落下する。私は慌ててそれをキャッチした。なんて野郎だ、魔塔の主。


「マリ、魔塔に来い。マリが直接に見たほうが優先して翻訳すべき本がわかるだろう」


「私、こうみえて忙しいんですよ」

ジェットさんと話をつめたいし、素材がギルドから届いたら加工もしたい。工房はエリック父がジェットさんの意見を聞いて作ってくれるみたいだし。工房ができるまでは本格的な道具は作れないが、それでもできることはあるのだ。


「あ、一つ質問いいですか?」


「なんだ?」


「魔獣からとれる魔石以外に、魔力を込めれる石なり宝石があったりしませんか?」

魔塔の主なら知ってるのではないかと質問する。魔獣からとれる魔石は希少だから数がないのだ。


「あるか無いかなら、ある」


「本当ですか?教えてください!」


「それなら魔塔に来い。それで翻訳を優先すべき本を選ぶぞ」

背に腹は代えられぬか。私は「行くからには本当に教えて下さいね」と魔塔行きを了承する。「では行くか」と私の腕を掴んで今すぐにでも行こうとする魔塔の主に慌てて「今すぐは無理です!」と声を大にして言った。

「なぜだ?」


「さすがに黙って行けません。私が居なくなったと騒ぎになるかもしれません」


「ふむ」

魔塔の主は一瞬考えたあと「では、明日のこの時間に迎えにくる」と言って、その場から姿を消した。あまりにも一方的すぎる意見に怒りが込み上げてきたが、深呼吸をして心を落ち着かせる。昼食のときにでもエリックに言おう。

痴情のもつれといったこの本は、翻訳が必要か聞いておけばよかった。もしこのまま続けて翻訳しても"いらなかった"と言われたら私の時間が無駄になる。そう思ったため、翻訳はいったんストップすることにした。私は愛と憎しみの日記をもち、ベッドまで移動し横になった。

本来、日記は絶対に見付けても読まないのだが、もしかしたら翻訳いるかもしれないし先を理解しとくのも大事だよねと建前半分、本音はこの先どうなったのか気になるため読もうと思ったのだ。


私はサラさんが部屋にくるまで夢中になって読んでいた。



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