新たな敵
絋人の試合終了から1時間後、第四学園では。
この日の第四学園でも第三学園と同じく太陽剣舞祭の学内予選が行われていた。
こちらでも本戦出場に向けて特に3年生達は気合いを入れて激闘が繰り広げられていた。
午前の部を観戦し終わった焔と奏は会場から出ると一目散に食堂へと向かった。
「あ~お腹空いた。奏ちゃん、何食べる?」
「私は何でも良いよ?どうせ学食行くんだし。て言うか焔午後から予選なのにお腹が空くなんて随分と余裕があるのね」
「違うよ奏ちゃん。緊張しすぎて逆になんか食べたくて仕方ないの」
「それって……大丈夫なヤツ?」
「分からないけど……多分私の能力的にカロリー消費は激しいはずだから身体が本能的に蓄えようとしてるのかも」
「あー、そう言うヤツ?」
「実は昔からそんな感じだから」
食堂に着くと焔は手早く食券を買う。
一足早く食堂に着いたこともありまだそれほど並んではおらず、すぐに食券機の前まで来ることが出来た。
到着するまで散々悩んでいたとは思えないほどスムーズに買っていた。
券を提出し数分待つと商品を受け取り、席に着いてテーブルに大盛りのラーメン唐揚げセットを並べる。
勿論ライスも大盛りだ。
「結局ラーメン?」
「うん、やっぱりこれが一番食べやすくカロリーがあるし美味しいから。……あれ?メッセージが来てる?誰からだろ」
マナーモードにしていて気付かなかったが端末に通知の光が点っている。
「ひ、絋人くんからだ!!」
思わず声量が増してしまう。
「何?愛しの絋人から何て?」
「い、愛しのって……。えーっと、あ!第三学園も予選やってるみたいで絋人くんは無事に初戦を勝利したんだって」
「へぇ?まぁ、絋人なら大抵の学生なら余裕でしょう。それこそ第三学園の生徒会長とか【天下五剣】クラスでも無い限りは」
「それでも勝ったのは凄いことだよ」
「それはそうね。じゃあ今日の試合気合い入れて頑張りなさい。本戦で絋人に会いたいなら」
「うん、そうだね。えーっと……何て返信しよう」
「まぁまぁ、まずはラーメン食べるのが先じゃない?麺が伸びたら勿体無いし」
「そ、そうだね。
じゃあ、いただきます」
豪快に麺を啜る焔。
見ていてとても気持ちの良い食べっぷりだ。
豪快でありながら不快感は一切無い。
そういう一挙手一投足に育ちの良さが見え隠れする。
「相変わらず美味しそうに食べるね。絋人にも見せてやりたいね」
「そ、それは……まだ恥ずかしいよ」
そういう焔の頬は湯気によるものとは異なる理由で紅くなっていた。
「所で午後の対戦相手だけど、2年生の水守さんらしいけど作戦とかは?」
「うーん、無いかな?」
「そうなの?多分相性悪いと思うけど気にしてないの?」
「何となくなんだけど、多分関係ないかな」
あっけらかんと言う焔に対して奏は眼を見開く。
「焔にしては強気な発言だね。絋人の良くないところ影響受けた?」
「ち、違うよ。……昔からそうなんだけど、水属性の能力に苦手意識が無いの」
「へぇ~珍しい。じゃあ益々試合楽しみになるね」
「ほどほどで見て欲しいけど……私なりに頑張るよ」
そう言って焔は一気に麺を啜りラーメンを食していく。
この食べッぷりを見る限りはさほど心配は要らぬと感じた奏も自分のペースで食事を進めた。
10分ほどで二人とも食べ終わり食堂を後にして焔の控え室の方に揃って向かう。
控え室では奏は焔のアップに付き合い試合開始10分前になり退室する。
「じゃ、頑張ってね。応援してるから」
「ありがとう。じゃあ後でね」
焔と笑顔で別れると客席に向かい歩みを進める。
(結構良いコンディションだけど、流石に水守さんには分が悪いだろうな)
奏は分析することが半分趣味のようなものであり事前に自分や焔が対戦するであろう、そして苦戦するであろう相手についてはリサーチを済ませている。
その中でも対火神焔を想定した場合一番相性が良いのは水守だった。
水守最大の武器は放出系の術式。
圧倒的な水量にて物理的に圧殺する代物だ。
その上昨年度は一年生ながら太陽剣舞祭にも出場した実力者だ。
現状の戦績で言えば十分世間的には天才と評されるだけのものはある。
火を操る焔からすれば実績や能力的に天敵に他ならないのだが、焔の妙な自信は引っ掛かった。
そんな考察をしながら着席する頃には両者入場しており立ち会いが始まる所だった。
奏の目から見ても、水守の仕上がり具合としては昨年を上回るように感じられた。
それに表情からは確かな自信を感じとることが出来た。
それらを加味して焔はああ言っていたが流石に厳しいと思っていた。
せめて大怪我はしないで欲しいくらいに思っていた。
そして試合開始の合図がなされる。
焔が動くより早く水守は先手必勝とばかりにいきなり圧倒的な水量を解き放った。
瞬く間に焔を飲み込むように覆い尽くした。
水守は放出系の魔力操作を行い災害レベルの量の水を放出する。
大雨で氾濫した河川のごとく質量と激しさをはらんでいる。
それこそちょっとした集落なら壊滅するほどのだ。
舞台と客席では物理的に距離があるため直接の影響はない。
だが舞台の壁などにぶつかる水の威力は十分に振動や轟音と共に客席にも伝わった。
いくら騎士候補とはいえどもこの規模の災害クラスに飲み込まれればひとたまりもない。
あっけなく勝負は決したと思われた。
だが、眼前で繰り広げられた光景に奏は絶句した。
「…………は?」
その全てが焔には届いていなかった。
いや、正確には焔に届く直前で全て蒸発しまるでミスとを浴びた程度しか焔は濡れていない焔が姿を表した。
「……ッ!なら、これはどう」
今度は膨大な水量を凝縮させて一気に放出する。
所謂ダイヤモンドでも切断できるような勢いの水を人体に向けて放っている。
だがそれも焔の眼前でまるでバリアに阻まれるかのように霧散していく。
すると次第に焔の身体から蜃気楼のようなものが発生する。
途端に会場の気温湿度が跳ね上がる。
要するにサウナ状態だ。
焔から放たれる熱によってすぐに彼女の前髪や制服は湿り気をなくし元通りに乾いていく。
何度も何度も強度や規模を変えながら放つが全く主導権を取れない。
それどころか彼女が1歩進む度に水守から放たれる水は蒸発しどんどん会場を暑くしていく。
「な……なんで」
相性的には自分に利があり、学年も自分の方が上。
そして昨年は太陽剣舞祭も出場したという事実が水守のアイデンティティであった。
しかしその全てが音を立てて崩れていくのがはっきり理解してしまい、絶望といった表情を浮かべていた。
焦りや恐怖から汗が染み出るが、焔が一歩近づく度にその汗すら蒸発してしまう。
「ごめんなさい先輩。これは私もちゃんと制御できてないんで、ちゃんとガードして下さい。
━━━燃え盛れ【不知火】」
そう言うと焔は日本刀型のデバイスを顕現させる。
「ひっ!」
水守は思わず恐怖を隠しきれない声を漏らす。
普段よりも僅かに紅く染まった瞳と視線が合った瞬間に全細胞が警鐘を鳴らしたのを理解した。
本能がヤバイと感じた結果として、今日一番の水量を放つ。
しかしそれは焔を倒すためじゃない。
自分の命を守るための策だ。
分厚い水の壁を作り専守防衛に努めるハメになった。
振りかざす刃には紅蓮の魔力が覆われ始める。
焔は一切を意に介すことなく正中位に真っ直ぐ刀を振り下ろす。
すると水を蒸発させながら文字通り凄まじい熱量の斬撃が水守に差し迫る。
斬撃が迫る度に、先程の比じゃない速度で水が蒸発していく。
つまり防御は不能。
そう理解した水守は逃げるようにして辛うじて攻撃を回避すると追撃の前にすぐに宣言する。
「こ、降参します!!!」
それを聞くと焔は刃を下ろしデバイスをしまった。
それと同時に試合終了を告げるブザーが鳴り響く。
どよめき半分、歓声半分といった様子で兎に角今起こった出来事に対して観客達は反応する。
それは奏も同様である。
(焔……強すぎない?)
いや、強いという言葉で片付けて良いのか。
普段はややホワホワした可愛らしい少女なのだが、今の彼女はどうであろうか。
言ってしまえばとんでもないギャップがあり本当に自分の知っている親友なのかと疑いそうになるほどだ。
デバイスをしまうと瞳の色も元に戻っていた。
奏はいても立ってもいられず急いで控え室の方に向かう。
ほぼ無人の廊下を奏の足音と呼吸音が反射し響いていた。
息を切らしながら控え室に入ると焔はドリンクを飲みながら片付けを始めていた。
「あ、奏ちゃん。どうだった?」
「あ……えーっと……凄かったよ、お疲れ様」
奏の姿を見ていつも通りの明るい笑顔を向ける焔。
そんないつも通りを見たことで色々言いたいことがあったのだが言葉が詰まってしまった。
「これで絋人くんに良い報告できるから一安心だよ」
ややご機嫌な様子なのだが、やはり気になるものは気になる。
意を決して質問をする。
「……ねぇ、焔。あの力って、何?」
「……!」
それを聞いた瞬間、焔はピタッと動きを止めてしまう。
そのまま数秒悩む素振りを見せると一度頷く。
「別に隠すことでも無いんだけど……奏ちゃんならいいかな?じゃあ寮に戻ってから教えて上げる。だから絋人くんへの返信を一緒に考えて欲しいな」
そう言って見せる焔の表情などはいつものそれと相違はなかった。
何となく安心した奏はそれを了承し客席へと戻った。
客席に戻ってからは試合の合間に絋人へのメッセージの返信を考えて貰ったりなどし無事に送信できた。
ちなみに第四学園は第三学園とは異なり重度の負傷など無い限りは原則的に試合の見学が求められる。
そのため残りの3試合を見てから寮へと帰っていった。ちなみにいつもの調子なら男子生徒達に囲まれていただろうに、焔の戦いを見て何を感じ取ったのか奏を除く全生徒から声はかけられず遠巻きに見られているだけだった。
焔は気付いていない様子だが、奏だけは理解できた。
その感情の名前が━━否、【畏怖】であるということを。
寮に戻り夕食前に少し早めのシャワーも済ませた二人は自室のテーブルを挟み改めて向かい合い話をする。
「じゃあ、焔。試合後に言ってた話、教えて?」
「うん。……って言っても大したことじゃないけどね。奏ちゃんは私の家が所謂【エレメンツ】だってことは知ってるよね?」
「勿論」
「だからなのか分からないんだけど、根源的に命に関わるような危機が訪れると私の意思は関係なく力が溢れるの」
「意思は関係なく?コントロールも出来ないの?」
「出来ないことはないけど、精々対象を定めるとかその程度。威力の調整とかは今の私じゃ不十分なの」
「なるほどね。命に関わるような危機ってことは、今日で言えばあの圧倒的な水の襲撃なんかは」
「うん。めちゃめちゃ力が溢れてたね」
「私初めて見たから驚いたんだけど。あんな量の水が次々と一瞬で蒸発する所なんて。ああ言うこと?お昼に言ってた水属性に苦手意識がないって話は」
「まぁ……概ねそう言う感じだね」
「でもあんな力が使えるなら負けることが難しいと思うけど」
「そう思うかもなんだけど、そうもいかないの。例えば絋人くんや【剣聖】みたいなタイプの人とかだと私の知覚より速く攻撃が来るだろうし私の熱量程度じゃ防ぎきれないと思う。だから逆に私からすれば水属性の方が相性は良いから結果的に圧勝できたってことだね」
「今はまだ未完成だからって感じか。じゃあ楽観視して次戦は出来そうにないね」
「そうだね~。だから次は奏ちゃんのデータも貸して欲しいかな」
「はいはい。そういえばアイツから返信あった?」
「そういえばまだなの。試合終わりで疲れてるのかもだし仕方ないよ」
「ま、それもそうか。別にあいつはその辺マメって訳でも無いから気長に待てば良いよ」
━━━同時刻。
月島絋人とはと言うと━━━何者からか襲撃されていた。
寮に戻ってからは夕刻までは仮眠を取り、その後商店街の方に足を運んでいた。
いつも通りに買い物をしていたのだが、商店街に足を踏み入れたタイミングから誰か分からぬがつけられていたのに気付いていた。
幾度角を曲がっても気配は消えない。
商業施設にも入り少し撒こうとしたが四方八方から気配を感じるためほぼ確実に黒だし一人じゃない。
そこで探りをいれるため少し入り組んだ場所に足を踏み入れたところ放出系の魔力を用いた攻撃が飛んできた。
攻撃を回避すると相手の姿を認識する。
限りなく一般人のような格好はしており立ち居振舞い的にも恐らく素人。
だが手にはいつぞや目にした改造デバイスというものを使用しているようだった。
(あれは改造デバイス?ってことはこの間の連中の報復か?)
いつの間にか囲まれており数は数十を越えている。
これだけの数がいたならそこら中から気配がしたのも納得した。
しかし見れば改造デバイスだけではなく拳銃など単純な飛び道具などもある。
いくらなんでも一般人にしては重装備。
「……何者だ。俺を襲撃する理由は?」
尋ねてみるが誰一人として答えようとはしない。
それどころか改造デバイスに力を装填などしており戦う意思を示している。
「今ここで帰るなら見逃してやるが、この人数で改造デバイスってやつを使ってくるなら容赦はしない。あと普通に武装してるやつも別に容赦なく叩きのめすけどいいよな?」
そう宣言の後【狐月】を顕現させる。
絋人が戦うモードに入ったと分かり向こう側の緊張も伝わってくる。
相手の一人が銃型のデバイスの引き金を引いた。
弾丸には氷系統の術式が付与されている様子。
その瞬間に絋人は加速をし弾丸を回避すると撃った相手に肉薄し瞬く間に刀をふるいデバイスを切り落とす。
「………ッ!?」
声にならないが驚きは隠せていない。
改造デバイスとやらを使っても所詮スペックは一般人のそれと相違ない。
加速をした絋人の姿すら認識できぬまま武器を破壊され、死なない程度のダメージを打撃中心に負わされる。
銃撃の乱射が起こるものの誰一人として絋人の姿を追うことが出来てない。
壁や地面に穴を空けるだけで、徐々にその数が減っていく。
近接武器も扱いが素人であれば、絋人からすれば非武装に等しい。
立った1分足らずで数十人を一方的に制圧しこの場を支配した。
「よってたかって何がしたい?この間の連中の報復か?だったら止めておけ。騎士でもないお前達が俺に勝つのは無理だ」
「━━━やはり、強いですね」
「━━━!?」
思わず声の方から身を翻し距離を取る。
背後から拍手と共に現れたのはスーツを着た男。
年は30代くらいだろうか。
黒髪にパーマがかかっており、その顔立ちは俳優を思わせるほど整っている。
(俺が背後を取られた?何者だコイツ)
警戒心を最大限まで高める。
敵意は感じ取れない。
だが、その立ち居振舞いには隙がない。
間違いなく相当の強者であることは十分に感じ取ることが出来た。
無意識に【狐月】を握る力が強くなったのだが、それに気付いた男は少し笑いながら告げた。
「言っておきますが、私は今この場で君と事を起こすつもりはありません」
「あんたがこいつらの親玉か?だとしたら説得力がないけどな」
「これは失敬。少し君を試してみたかっただけで命を狙ったわけではない。第一君も気付いているだろう。ここにいるものでは君に傷一つ負わせることは出来ないって」
「……そうだな。今俺の正面に居るあんた以外は、な。マジで何者だ?」
鋭い視線をその男に向ける。
飄々としている様子も、絋人が一切引く気の無い視線を受け観念したのかため息を漏らす。
「……はぁ、そこまで買っていただけているのであれば正体を隠す理由もないでしょう。
私は【革命軍】の犬飼晴彦。誰もが平等に不条理に抗える世界を欲する者です」
「ご丁寧にどうも。第三学園一年首席・月島絋人だ」
「勿論知っていますよ。私の邪魔をした人間ですから」
そう言う犬飼の眼光は一層鋭くなる。
「邪魔?悪いが俺はあんたとは今日この場が初めましてだが?」
「………遡ること数週間前、この付近で君は人助けをしましたね?」
「人助け…………って、もしかして」
「ええ、君の友人となった第四学園の火神焔です」
「……あれは計画的だった、と?だとすれば焔にちょっかいをかけた理由は?」
「今は語るべきではないのでヒミツです。ですが、我々の悲願には彼女の力が必要だ。だから彼女の本能を目覚めさせようとしたのですが君の横槍が入って頓挫したと言うわけです」
「焔であろうと無かろうと、目的が何にしろ黙って見過ごすことが出来るシチュエーションじゃあ無かったからな。それで、俺の前に姿を表してわざわざ名乗った理由は?俺のことを無視して焔だけを狙う方が楽じゃないか?」
「彼女に何かあれば君は我々の事を勘づくでしょう。そうなれば遅かれ早かれ君と刃を交えることになる。それも君のとても強いお仲間と一緒に。それは我々からしても望んではいない展開だ。だから提案をしにきたんです。まぁ有り体に言えばスカウトってやつです。月島絋人━━━君も【革命軍】に入るんだ。その強さは我らの指揮の元で更に輝きを放つでしょう」
「悪いが、やってることが現状怪しい団体にほいほい付いていくほどバカじゃない。リクルートしたいなら良いところを見せて騎士協会の求人ページなり説明会開くなり正規の手順を踏むんだな」
「……ま、そうなりますよね。
皆さん、帰りますよ」
その一声で後ろに控えていた連中は何とか身体を起こしデバイスも回収すると逃げるように走り去っていく。
「さて、月島くん。この事は協会と共有して対策をしても良いし、気が変われば我々に声をかけても良い。そう君が望んだとき、必ずや我々は君の前に姿を現すだろうからね」
「待て!」
絋人の制止を無視し、それだけ言い残すと懐から取り出した銃型のデバイスとおぼしきものを地面に向かって放つ。
破裂音と煙が上がり、それらが消える頃には犬飼は姿を眩ましていた。
「…………特撮かよ」
誰もいなくなった眼前にツッコミをいれる。
しかし流石に先程の件をスルーするわけにはいかない。
すぐに以前聞いていた凛の兄である水戸部切嗣に連絡をいれる。
「お疲れ様です切嗣さん。今お時間よろしいですか?」
『久しぶりだね月島くん。丁度僕も君に話があったから好都合だ。そちらの用件は?』
「実は先程襲撃を受けまして」
『襲撃!?一体誰から、大丈夫なのかい?』
「大丈夫です。が、問題と収穫がありました」
『聞こうか』
「まず、この間俺……というか焔が巻き込まれた件の背後にいる存在が分かったかもしれません」
『……ひょっとして、それは【革命軍】と言っていなかったか?』
「既にご存知でしたか」
『僕からしたいと言っていた話はそれについてだ。痕跡はかなり少なかったけど何とか追跡できたんだ。それでどうして君はその事を知れたんだ?』
「襲撃の実行犯とは別に多分そこそこ偉い立場の奴が現れてご丁寧に自己紹介をしてくれたんです。名前は犬飼晴彦と言っていました」
『犬飼晴彦!?確認だが、彼と戦闘は?』
「向こうから来れば反撃もしたでしょうが、彼自身に敵意はなかったので何事もなく」
『それは良かった。しかし犬飼が出てきたと言うことはことのほか大事かもしれない。月島くん、明日の放課後は本部に来れるかい?直接会って詳細が聞きたい』
「分かりました。明日は試合もないので見学が終わり次第向かいます」
『了解した。そちらの現場の後処理についてはこちらでしておく。ではまた明日連絡を待つ』
通話を切り帰路に着く。
チラッと現場を見ると壁や地面はボコボコしており戦闘の形跡は残るものの、壊したものを含めて改造デバイスとやらは一つも残っていなかった。




