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襲撃の共有

会話多くてちょっと短め

あと近々作品のタイトルを変えると思います

━━━翌日。

この日は試合がないため会場にて学内予選を見学している。

しかし試合のレベル、昨日の件とあり正直心ここにあらずと言った雰囲気で試合を見ていた。

もしかしたら試合で戦うかもしれない相手もいると思うのだが、それでも集中は欠いている。

寝不足な部分もあり欠伸を必死に噛み殺していた。

その様子に気づいた刀士は静かに声をかける。

「月島、何かあったな。アドレナリンが出過ぎて睡眠不足……なんてことはお前に限ってないか」

「……“あったか”ではなくて“あったな”、か。まぁ刀士なら言っても良いか」

チラッと周囲を見て誰も居ないことを確認する。

凛と小夜子は飲み物を買いに行っており文字通り刀士一人だけという状況となっている。

刀士にだけ聞こえる声量で伝える。

「━━━実は昨日、商店街で襲撃を受けた」

「━━━!?怪我は……なさそうだな」

一瞬驚いた表情を浮かべる刀士だったが、何らいつも通りの様子であることから無事を確信する。

「相手は?目的は?」

「相手は【革命軍】という組織?を名乗っていた。目的は……多分俺のスカウトだ」

「………。【革命軍】か。名前くらいは聞いたこともあるが国際的な組織ということ以外実態は良く分からん」

「詳細は今日の予選が終わったら本部に行って水戸部のお兄さんに聞く事になっている。刀士も来るか?」

「いや、俺が行っても出来ることはないぞ」

「奴らは多分刀士達の事も知っている。そうなればお前にも関係してくるかもしれないし来て欲しい。それにこちら側の戦力は多い方がいい」

「まさか、戦う気か?国際的な組織だぞ」

「俺のスカウトとは別でちょっと漏らした情報では焔の事を狙っているらしいからな。場合によっては殺してでも焔を守りたい。刀士はちゃんと人を斬れるやつだから万が一の時は力を貸して欲しい」

「分かった。月島がそこまで言うのであれば俺は力を貸そう。……だがその事は火神に伝えなくていいのか?もしかすると第四学園の方に襲撃に行く可能性もあると思うが?」

「そうなんだが、下手にこういう情報を伝えると不安を煽りすぎて良くない気もしてな。向こうも向こうで太陽剣舞祭の学内予選やってるし」

「なら本人にはそれとなく注意してもらって何か気になることがあれば共有するようにするのはどうだ?その上で本質的な部分は誰か信用できる人にだけ伝えておけばいい。それこそ月島の幼馴染みで火神とも仲の良い的場とかは適任だと俺は思うが?」

「なるほど、奏ならアリかもな。ありがとう、参考になった」

「早めに二人には伝えておくんだな」

刀士のアドバイス通り二人にメッセージを送ろうとしたときにあることに気付いた。

(あ、焔に送ってたメッセージに返信来てる。ヤバ、昨日の事で頭一杯で抜けてたな。ここは素直に謝罪した上で注意喚起とするか)

回りくどいことは苦手なためまずは誠意をもって謝罪の一文を入れた。その上で【革命軍】の事は伏せて、先日の輩から報復があった、というように注意のメッセージを入れた。

奏でには他言無用という前提を伝えた上で【革命軍】の事を含めた確度のより高い情報を伝達した。

メッセージを送信し終わると、間も無く最終試合という所であった。

この日特段目玉になるカードも無いが、少し吹っ切れた事もあり集中して見学することが出来た。



放課後になり刀士と共に協会に向かう公共バスに乗り込んだ。

一応電話ではなくメッセージの方で刀士も同行しているという旨を水戸部桐嗣にも共有する。

すると短く『了解した』と返事が返ってきた。

協会本部に到着すると受付にて水戸部桐嗣とのアポイントを伝え上の階へと案内された。

以前焔と一緒に入った部屋に通されるとしばらくしてノートパソコンとビニール袋を抱えた桐嗣が入ってきた。

「すまない待たせた。二人とも呼び出しに応じてくれてありがとう。それとこれは好きに食べ飲みしてくれ。好みが分からないから幾つか買ったし残ったものは持ち帰ってくれ」

そう言って桐嗣はビニール袋をテーブルの上に置く。

中身を見るとコーヒーや清涼飲料、菓子類が入っていた。

桐嗣なりの気遣いだろう。

桐嗣は缶コーヒーを取り出すと一口飲み、パソコンを開き本題を切り出す。

「さて、今日呼んだ理由だが先日月島くん達が巻き込まれた件についてに進展だ。真田くんも月島くんから聞いているかもしれないが、あの時火神さんを襲ったのはただのチンピラじゃない。下っ端であることは間違いないが、バックは相当デカイ組織が付いていた」

「月島から【革命軍】とは聞いています。しかし本当に表に奴らが介入するんでしょうか」

「何か目的があるのは間違いない。その理由の一端は月島くんが知っているそうだが」

「その話の前にすみません。【革命軍】と言うものについては俺は全然知識がないんで教えて欲しいんですが」

「そうだったね。そもそも多くの事はまだ不明と言う前提があるんだが、いわゆる裏世界の組織って認識でいいかな。構成員は不明だが、世界各地に拠点があるとされている。特に騎士制度先進国では数万人規模で構成員が居るとされている。それは本来騎士でない者も含まれる」

「そういう連中は改造デバイスで戦う力を得ている、と?」

「そうだ。しかし前提として正規デバイスの作り方は世界でも一部の人間しか知らない。あくまで量産されているものは作り方のノウハウは開示せずとも組み立てるだけで作れるようになっている。だが魔力の制御とかそういうのを取っ払えば仕組みはとてもシンプルだ。だから危険を省みない連中によってそのような危険な物が作られているんだ」

「いよいよテロリストでしかないですけど、本当に何がしたいんですか?」

「一つは、誰しもが平等に力を得る機会をと言っているね。一部の人間だけが秩序を守るという状況を面白く思って無いんだろう」

「少なくとも学園都市内では【革命軍】以外も含めてそう言う勧誘などへの注意喚起はずっと行われている。お前は気にしてなかったかもしれないが学内の掲示物にもその旨が記載してある」

「それくらい協会も警戒はしている。特に【十二神将】クラスが万が一そちら側についたとなれば発展途上国くらいなら単騎で制圧できるだろうからね。事実、残念なことにこの数年そちら側に行ってしまう若者がが増えている。若者を狙う理由としてはそのレベルを自分達の手で造り上げる、という目的もあるんだろう。そして、そこが今回の件に大きくか変わる気がするんだけど月島くん。説明を頼む」

「刀士には少し伝えたんですが、犬飼が言うにはヤツの……というか【革命軍】の狙いは焔にあったようなんです」

「火神さんに?具体的には?」

「そこまでは。ただ、この間の件は偶然ではなく意図的に仕組まれていたようなんです」

「恐らくだが、恐怖と言う感情から火神さんに秘められた何かを覚醒させようとしたのではないかな?彼女自身、エレメンツの家系である以上何かしら秘められた力があってもおかしくはない。この事は火神さんには?」

「【革命軍】のことは伏せて注意喚起はしています。それと信用の出来る共通の友人にはある程度開示して伝えてます」

「それが良いだろう。下手に不安を煽るのも良くない」

「…………。桐嗣さん、もしも俺が【革命軍】と正面を切って戦うことになり命を奪うとなれば俺はどのような扱いになるんでしょうか?」

「それは火神さんを護るため、かな?」

「はい。一応どこまでなら俺が対処して良いのか知りたいんです」

そう言う絋人の瞳には強い意思が垣間見える。

桐嗣は少し悩んだ素振りを見せてから回答する。

「原則としては殺すという行為は非推奨とされている。それは君たち学生騎士に限った話ではなく僕たちプロやクニさん達のような【十二神将】などであってもだ。しかし、相手が【霊禍】そのものを悪用するようなヤツであったり、【革命軍】のような国際テロ組織などであればその限りでないとされている。ただ、君はあくまでまだ学生だ。いくら実力者とはいえ積極的に首を突っ込むのであれば大人としてこちらは止めるつもりだ」

「分かりました、ありがとうございます」


その後は対【革命軍】及び万が一再び犬飼が現れた時の対処についての話が行われる。

「そしてだ。恐らく君達でも【革命軍】の下っ端は難なく制圧できると思っている。問題は犬飼を始めとした幹部連中だ」

「犬飼以外も当然強いと」

「単純に正面からぶつかり合うなら正直大したことはないだろう。しかし彼らは環境だったりを上手く活用するから一筋縄じゃいかない」

「であれば焔の周りに限らず警備体制を強化をして貰えると助かります。恐らく太陽剣舞祭は狙ってきます」

「当然だ。全国の支部に伝達はするし本戦に関しては恐らく【十二神将】も観覧に来る。有事の際は剣を抜くと誓うよ」

「ありがとうございます。俺たちの方でも無理せずに探ります」


話がまとまり解散となった絋人と刀士は帰り道で互いに対策を検討しあっていた。

「どうする。さっきの話、水戸部達にも伝えた方がいいのかな」

絋人の危惧としては友人たちが大事に巻き込まれぬかという点にある。

「巻き込まれる可能性はゼロじゃない。お前の話がその通りなら火神に対して深い負荷をかける行動を取る可能性はある。例えば━━友人を殺す、とか」

【革命軍】は既に標的である火神焔周辺を把握しており、彼女の覚醒のためなら何をして来るか分からぬという恐ろしさがある。

そういう手合いである以上警戒するに越したことはない。

「当然ながら巻き込まれる可能性はゼロじゃない」

「……ってなると水戸部と荒川には伝えるべき、だな」

「最低でも的場に伝えたものと同等の情報は伝えるべきだ。申し訳ないが、火神には伝えない方が良いだろう。魔力はそういう揺らぎに弱いしその方が多分上手く立ち回れる」

「焔に引け目を負わせるわけにはいかない。警備強化をお願いしたけど何かあれば俺は剣舞祭を放ってでも焔を守る。だから刀士。もしもの時は俺を絶対に止めないでくれ」

「……なるほどな。止めても無駄だろうしそんなことはしない。が、一つだけ俺からも言わせてくれ。

もしもの時は俺もお前と共に一切躊躇い無く剣を抜くと誓おう」

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