【01-04】魔法を使ってみよう
カマクラの外に出た私は、まず作業しやすいように、直径200mのほどのドーム状の透明な結界を張る事にした。初めて魔法を使うが、ノリと勢いだけでうまく使う事ができると信じている。
まずイメージするのは、透明な幕を持つ結界で、結界内部に雪を通さない事。結界の膜に当たった雪は、そのまま解けて積もる事がない事。私たちに危害を加える動物が、結界の中に入ってこない事。結界の膜の中の気温については、外側の気温に準じる。
こんなところかな?魔法名は英語で・・・・、と行きたいところだけど、まあ日本語でも大丈夫だろう。
というか、私が持っているスキル【世界樹の知識〔F〕】によれば、魔法を使うには、『しっかりとしたイメージ』と『イメージを体現した魔法名』の2つのみで魔法が発動できるとなっていた。なお魔力とは、『魔法を使用する際、魔法の威力に比例して使用魔力も増減する燃料のようなモノ。また、一部特殊な魔法においては、その魔法が主とするところの現象より、どれだけ剥離するかによって使用魔力も増大する』となっていた。
なので、魔力についてはおいておくとして、魔法を使用するためには、特段専用の言語というものはない。また、イメージさえしっかりしていれば、別に詠唱を伴う事もなく魔法を発動できるのだ。
ということで、早速・・・・・。
『指定排除結界設置』
私の中から結構な量の魔力が抜けて、指定した範囲に結界が張られる。足元には雪が積もっているが、これ以上降り積もる事はなく、結界の境界線上との積雪量がどんどん広がっていくのが確認できる。上空を見上げれば、結界の幕に降り積もるはずだった雪が瞬時に溶けて、降り積もる雪の上に流れ落ちていく。そして、結界の外側数メートルの位置まで、何故か雪がなくなって地面が見えており、そこに結界の幕ン¥で溶けた水が、小さな池を形成していた。
いろいろと突っ込みたいところはあるけど、とりあえずは成功とみていいのかな?
まあ、いいや。外の事は後で考えよう。
さてと、次は・・・・・・・。あそこに生えている大木を使って家でも製作してみようか。そう考えた私は、現在棲み処となっているカマクラから、10mほど離れた場所に生えている大木を目指す。
この大木の直径は約20mくらいなので、仮に四角形ならば一般住宅くらいの大きさになるのかな?高さについては、100m以上はある。
まずは、2mくらいの高さの場所に、玄関にするために玄関ポーチを構築。とりあえず、玄関ポーチへと続く階段は造らない。あとで、根っこから50㎝位上を水平に切断して、高床式みたいにする予定だからね。階段は、その時に製作する事にしている。
この大木を掘って?彫って?・・・・いや、魔法で刳り貫くから・・・・。
大木を刳り貫いてみてわかった事だが、外皮はレンガのように硬いのに、中身は檜みたいな香りのする軟らかい素材だった。そして、刳り貫いた場所から瞬時に乾燥し、レンガのように固くなるのに香りはそのままと言う、建築資材にはベストな素材である。ついでに刳り貫いた素材に火をつけてみれば、全く燃えることのないという不思議な木である。
なお、刳り貫いたモノは、専用異空間倉庫のレベル上げがてら、一生懸命中に格納していくのだった。
2m四方、高さは3mほどの玄関ポーチを造り、その先に同じ大きさで玄関部分を刳り貫く。その先には壁を造り、90度右に曲がった場所を25㎝ほどの断裁を2段造る。つまり、玄関にある上がりこまちを造ったわけだ。なお、壁の部分には、下駄箱にするための棚を造っておく。
玄関に直行する形で2m幅の廊下を、外壁いっぱい(外皮から30㎝厚+軒部分50㎝を造る厚さも確保)になるまで刳り貫いていく。なお天井までの高さは、すべての部屋で2.5mとして設計していく。さて、廊下のそれぞれの端は、明り取りの窓を設置。
とりあえず窓や扉関係は後回しとし、部屋割りだけを決めてサクッと大木の中身を刳り貫いていく。
現在大木の中身は、廊下部分を中心に左右非対称な構造になっている。具体的に言えば、左側が広く右側が狭い構造だ。
まずは、玄関に裏側・・・・・つまり廊下を挟んで左側にLDKを設置するための空間を確保する。広さはおおむね長方形になるように約10m×15mとし、端っこの部分は外壁に沿ってアール形状になっている。部屋の中は、玄関側に対面キッチンを配置し、玄関横のスペースには、食器などを格納するためのスペースを造る。キッチンには、料理魔法でのごり押しでシステムキッチンを設置。カウンター越しに対面して、(料理魔法でのごり押しで)ダイニングテーブルと椅子を設置する。テーブルの上には、実験で作ったテーブルクロスを敷いておく。
廊下を挟んで右側には、所謂水回りを設置。手前側から洗面所とトイレスペース。なお、洗面所の入り口は、廊下の端っこを曲がった先にある。
洗面所の隣には、男女別にお風呂&脱衣所を設置。洗面所と扉同士で行き来できるように、脱衣所と洗面所の間には、ランドリースペースと乾燥室(使うかどうかわからないが)を設置する。今は設置できないが、洗濯機などの家電関連については、いろいろとあてがあるためこういう構造にしてあるのだ。
さて、脱衣所の先にあるお風呂は、大きな窓越しに外が見える形になっている。・・・・今は、窓すら入っていないけどね。
浴槽は、大木を刳り貫いていく際に、ついでに作りつけておいてあるため、所謂檜風呂が楽しめる。
廊下の一番端っこを右に曲がると、外壁に沿って2階へと上がる階段がある。
この会談を2階へと上がれば、個室スペースがある。これが3階にも同じ構造で存在している。なお、個室の数は、2階と3階を併せて10部屋となっている。各階の構造は、廊下を挟んで左側には、手前から個室が2つ並び、一番奥に洗面所とトイレスペース。右側には、個室を3つ用意、個室の広さは全部同じでだいたい8畳間くらいの広さだ。
さて、各部屋の備品を順に用意していかないとね。
まずは、先ほど作ったベッドと絨毯をそれぞれ配置していき、足りないベッドもついでに作って配置していく。魔法などで作れるものは自作で賄いつつ、作れないモノに関してはスマホに存在していたアプリを利用して購入していく。この時つい井出に、何故か商品としてラインナップされていた各種扉とガラス窓も購入して設置する。
このアプリについては、また後程詳しく説明するとして、こうして家を自作していくのは、なんだかちょっと楽しくなってきた今日この頃。
ついでと言っては何だが、『ライオンの湯出口』という温泉が出てくる魔導具を、男女別に作ったお風呂に設置する。この魔導具から流れ出ている温泉は、この世界に存在する何処かの温泉の源泉から、直接温泉を日替わりで汲み出しているらしい。また洗い場には、使用者の魔力に反応して、適量のお湯が出るシャワー付きカラン(という名の魔導具)を設置。
なお、各水回りの給排水に関しては、この世界の何処かからか持ってきて、何処かに配水しているんだとは思うけど、詳しい事は解らない。水はとてもきれいな水(場合によってはお湯)が出てきているので、しっかりと浄化されているとは思うけど、排水に関してはこの世界の下水に準拠しているはずなので、浄化しているかどうかは知らない。
こうして、すべての設備と各部屋の備品等を造り終えた私は、家の外に出て最後の仕上げに取り掛かる。
そう、今のままでは持ち運びできないので、家の部分のみを大木から切り離す作業がいるのだ。そうしないと、専用異空間倉庫に格納できないからね。
まずは、屋根をなる上の部分から取り掛かろう。
風魔法を利用して、(いろいろと計算して割り出した)建物の高さよりも1mほど多く斬り倒し、それ以上の大木については、2mほどの大きさに輪切りにして、専用異空間倉庫に突っ込んでおく。もちろん、葉っぱや実も含めてだ。
屋根を円錐状に風魔法で加工し、軒部分となる50㎝を屋根部分に残し、それ以外をすべて削り取っていく。なお、玄関部分にも屋根+ポーチの階段を取り付けたいので、その部分は、そうなるように計算して削り取っていった。これで、家らしくなってきたので、後は下を切り取って高床式みたいにすればとりあえず完成である。
現在中に浮かんでいるこの家を地面に設置するため、少し離れた場所を平地に加工。その上に家を設置した後、残っていた大木の切り株を掘り起こして専用異空間倉庫に突っ込んでおく。
なお、この大木の一部は、この家の設備や備品を購入する際のポイントに消えていったことをここに記しておく。
「頑張って作ってみました!」
私は、カマクラの中でそれぞれのスキル上げの作業をしているみんなを引き連れて、先ほど建設した新築ハウスを案内する。
皆は私の作った家を見て、「ウオォ~~~~~~」と声にならない声を出している。まだ家の外観だけなので、それは中も見てからの方がいいと思うよ?とは、口に出せない私である。
すべての部屋を探検した後、各自の個室を割り当てる。ちなみに、全員が3階の部屋を宛がい、2階の部屋は、ゲストルームとして使用する事になっている。
2階と3階で、男女別のフロアーにしてもよかったんだけど、私たち5人に関してはそれは無意味だとの判断だ。理由としては、男2人が持っている【男の娘〔A〕】というスキルの存在である。このスキルを持っていると、(ステータス上では職業というものはないが)女性しかなる事ができない職業も問題なく就職する事ができる。さらに、結界などによって男性が侵入できないスペースにも、スキルのランクがB以上あれば、問題なく侵入できるのだ。
ただし、各部屋ごとには、魔力認証の鍵が付いている扉を設置してありますが・・・・。
私たち5人に限って言えば、男女別に分ける必要がないのだ。さらに言えば、スキルランクがSになれば、性別すらも変更可能という事なので、今さら男女で分けても仕方がないという理由もある。
そんな理由で、お風呂についても一応男女別で作ってあるが、『まあどっちでもいいよ。女子と一緒に入りたければ、ご自由に』とは、女性陣の総意である。
ただしこの場合は、弄られる覚悟だけはしておいてほしい。女性陣3人は何故か、腐った方向の趣味を持っているからね。
さて、そんなこんなで、『ライオンの湯出口』という魔導具から流れ出ている温泉を湯船に溜めて、さっそく2日ぶりのお風呂を堪能する事にする私たち。ちなみに男の娘2人は、今日は男女別で入浴するらしい。
とても残念である。
ちなみに、男子風呂の方には、赤茶色で少し肌に引っ付く漢字の温泉が、女子風呂の方には、乳白色でつるつるの温泉が湯船に溜まっている。
まあ、それはいいとして。
私は、お風呂ができるまでの時間を利用して、お昼ご飯を作る事にする。他のメンバーは、先ほどのスキル上げの続きをLDKに設置してあるソファーに腰かけて行っている。なお、特段暖房器具踏破設置されていないが、建物内は快適な気温・湿度に(とある魔導具を使用して)自動で設定されている。すべてをオートで設定しているため、初夏並みの室温になってしまっている。
なお、この家の所有者は私になっているらしく、こういった設定はすべて私の手の内にあったりする。
マニュアルでも設定可能だが、オートで任せてしまっている私である。マニュアル設定にすると、すべての部屋(廊下も含めて)の設定をいちいちやらなければいけないので面倒くさいのだ。
そのため、あまりにも快適すぎて、・・・・・。
というか、セーラー服を着ていると、汗ばんでくるほどに温かい室内。その結果、5人全員がセーラー服を脱いで、体操服・ブルマという薄着になってしまったほどだ。当然この家は日本式なので、玄関で靴を脱いでいる。
なお、このために脱いだセーラー服とスカートは、温泉堪能の後に使用するので、とりあえずはダイニングチェアー(それぞれが決め、食事の際に座る場所)の背もたれにかけてある。
あと不思議なのは(理由は先ほど【魔眼〔F〕】の力で鑑定したので理解しているが)、体操服にしろセーラー服にしろ、1日中着用していてもこれといった汚れなどがないところだ。下着であるショーツやブラ、キャミソール、そしてニーソは、それなりに(いろいろな)汚れも目立ってきているけどね。
まあ、下着関連については、解決策もすでに発見しているので、特段気にする必要はなかったりする。
閑話休題。
本日の昼食であるミックスサンドと牛乳、フルーツヨーグルトを食べた後、私達はせっかくだからと温泉を堪能する事にする。もちろん食事については私製作であり、キッチンは私の牙城なので、誰であろうと入室禁止である。
なお、先ほど決めた事柄で、この家の中の掃除は、各個室はそれぞれの占有者が、キッチン周りを含めたLDKは私が、LDKを除く共用部分はヒナタちゃんが、トイレやお風呂などの水回りは男の娘2人が、2階にある部屋(とりあえず客間としている)はレイナさんが担当となっている。
さて、昨日は結局入る事のなかったお風呂である。
異世界に来て2日目、それもこんな森の中でお風呂に入れるとは夢にも思っていなかったのだ。ゆっくりと温泉を堪能してほしい。
私も、その中の1人だけどね・・・・。
とりあえずはまだ新築?なんだけど、(汗を掻いた後のお風呂は格別という理由で)一通り各自の担当個所を掃除した後、皆でお風呂場へと突入したのだった。




