【01-03】料理魔法の神髄
翌朝。
交代で火の番をしつつ、軽く睡眠をとった私たち5人。
日の出らしき時間に起きたのはいいが、未だに雪が降り続いている。というか、今移動を開始すると、絶対に遭難することになるよね・・・・・寝床の外は1m先も見えないほどの猛吹雪である。
所謂、ホワイトアウトだ。
現在・・・・というか、昨日の夜中かからだけど。パラパラと降っていた雪が急に吹雪いてきたんだよね。そんな時間帯から私たちは、必死で出入り口を確保するため、数時間おきに寝床の拡張を行っているのだ。そうでもしないと、雪に埋もれてしまうからね。
そんな感じで、今朝は全員寝不足気味である。
「さて、外はこんな天気だし、今日はここから動く事ができないね。」
「まあ、別にいいんじゃないか。この天候の中移動して遭難するよりは、ここで天候が落ち着くまでじっとしている方が安全だ。こういった場合、最も懸念される食糧問題については、俺たちには関係のない問題となっているからな。」
日向ちゃんの呟きに、ユウト君がこう切り返す。
確かに、この猛吹雪が何日続こうとも、私達にはさして問題となる事はない。ユウト君も言っていたが、最も問題となる食糧問題は、私さえ健在ならばどうとでもなってしまう問題でもある。
「それじゃあ、こんな天候だから暇を潰す目的も兼ねて、ここにいる5人が今現状出来る事・出来ない事を明確にするための検証を兼ねた実験をしていこうよ。」
「アリサちゃん、どんな検証実験をするの?」
「例えば、現在このメンバーで共有できている事は、次の3つの項目だよね。
1つ目。現在私たちが着用しているこのセーラー服や下着としている体操着は、着用しているだけで自然環境や天候によるダメージを受ける事はない。
2つ目。私達の身体能力や感覚能力が、地球にいた頃よりも明らかに上昇している。
3つ目。私に関してだけど、料理に関するモノならば何でも取り出す事ができる。また、レイナさんに対して言えば、どんな怪我も手をかざせばたちどころに治癒してしまう。
そのすべてが、理由は不明な不可思議現象だけど、これから先の事を考えると、しっかりと検証していかないといけないと思うの。」
私の説明に納得したのか、全員が暇潰し目的にいろいろな事を検証実験する事になった。
「じゃあ、まず言い出しっぺの私から行くね。これまでの料理の時間から、食材や調味料、料理器具は”イメージ通りのモノ”が取りだせることが解っている。つまり、ここで分かっているのは、私の料理に関するあらゆる”イメージ力”という事になる。
それを踏まえて、私は1つだけ疑問点が出てきたの。
それは、『”イメージ次第”で、どんな器具や食材等が取り出せる事ができるのならば、”イメージを拡大した場合”、どんな現象が起こるのか』という疑問。」
「どういう意味なのかな?アリサさん」
私の考えた事に、レイナさんが質問をしてくる。その質問に対し、私は考えている事を実行に移してみる。
「例えば・・・・そうね。」
少し考えた私は、実家にダイニングテーブルに敷いてあったテーブルクロスを思い出しながら『料理魔法』を唱える。ちなみに私が使用しているこの不可思議な能力は、昨晩おふざけで出す事に施行したわっしのステータスに、『料理魔法』としっかりと明記してあった。
全員のステータスについては後程詳しく話すとして、今は、この料理魔法でできる事を詳しく解明していきたいと持っている。
なお、このステータスにあるように、私たち5人は全員平民(それぞれのステータス上では全員が平民だった)であり、家名を名乗る事は禁止されているみたいだ。そのため、今後はそれぞれの呼び方を、私は『御堂愛理沙』から『アリサ』に、日向ちゃんは『霧島日向』から『ヒナタ』に、東條君は『東條優翔』から『ユウト』に、白鳥君は『白鳥夏樹』から『ナツキ』に、玲菜さんは『白鳳院玲菜』から『レイナ』に呼び方を統一する事になっている。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【名前】御堂愛理沙/アリサ〔Lv.15〕
【性別】女【年齢】16歳【種族】純人族(異世界人)
【現在の身分】平民【所属国家】XXXXX
【生命力】12000【保有魔力量】8000
【称号】
異世界転移者・勇者召喚に巻き込まれた者・放浪者・覚醒者
創造神の寵愛・世界神の寵愛・技能神の寵愛・魔術神の寵愛
武闘神の加護・剣術神の加護・盗賊神の加護
【称号所有技能】
|神衣装備(体操服・ブルマ)〔-〕・|神装装備(セーラー服)〔-〕・神武装備〔F〕
五感超越〔D〕・概念顕現〔E〕・耐性強化〔A〕・料理魔法〔A〕
エンド=レキナス言語〔E〕・専用異空間倉庫〔F〕・パーティリンク〔E〕・転移〔F〕・世界樹の知識〔F〕
経験値倍加〔F〕・能力成長〔F〕・生産補正〔A〕・魔眼〔F〕
魔法知識〔A〕・極大魔力〔E〕・魔力回復〔E〕
格闘補正〔F〕・剣術補正〔F〕・盗賊補正〔F〕
格闘乱舞〔F〕・剣術乱舞〔F〕・一見模倣〔F〕
【獲得所有技能】
異世界知識〔C〕・XXXXX・拡大解釈〔E〕
礼儀作法〔C〕・料理〔SS〕・家事〔SS〕・第6感〔C〕
統率〔C〕・捜索〔D〕・発掘〔D〕・悪路走破〔C〕・建築〔E〕
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ちなみにこれが、私のステータスだ。今現在のモノであるため、これから先どう変化していくのか楽しみで仕方がない私がいる。
閑話休題。
『私の実家にあったテーブルクロスよ、出て来い』
まあ、それはいいとして、とりあえず、料理には直接には関連していないが、台所用品としては関係しているテーブルクロスを呼び出してみた。その結果、私がイメージした通りの大きさ、色で染められた”何処にでもある普通の”テーブルクロスが何もない空間から出現する。
これならば、たぶん行けるかもしれない。
私は、より明確にイメージするためと、皆に何をしたいのかを伝えるために、イメージする内容を口に出しながら、改めてテーブルクロスを取り出す事にする。とりあえず安全を確保する目的で、隣に新しく作ったカマクラの中で実験をする。
「・・・・・。第1段階の実験は成功ね。」では改めて。
『大きさは、この部屋の中と同等の10m四方、長い起毛を持つ動物の皮でできた、そんなテーブルクロスよ、出て来い』」
さて、どうだ?
私の体内から、何かが大きく吸われる感覚が起きる。この感覚は、いろいろな食材や料理器具を出した際も起こった感覚である。
そして、カマクラノ床が光り、その光が来あた時、私がイメージした通りの”テーブルクロスという名の絨毯”が出現していた。
「・・・・・成功みたいね。」
カマクラの雪の床の上に現れたふかふかの絨毯を見て、目が点になってフリーズする4人。いち早く再起動したのは私の突発的な行動になれているヒナタちゃん。
そして私にこう問いただしてきた。
「ア・リ・サ・ちゃ~~~ん。なんで絨毯が出てくるのかな?」
「あれは絨毯じゃないよ。『長い起毛を持つ動物の皮でできたテーブルクロス』だよ。」
「えっと、アリサちゃん。どういう意味かな?それは?」
「まず初めに、普通のテーブルクロスを出したよね。」
「うん、あれって、アリサちゃんお家にあったテーブルクロスだよね?」
「そうだよ。実家にあったのがこの世界に召喚されたのか、それとも何かを素材に改めてこのテーブルクロスがここで作成されたのか。
そのあたりは全く不明だけど・・・・。
あれは間違いなく私がイメージした通り、実家にあったテーブルクロスだね。」
「うん、うん。それで、どう見てもふかふかな絨毯なんだけど、これもアリサちゃん曰くテーブルクロスなんだよね?どうしてなの?」
私との会話で、さらなる疑問がわいたらしいヒナタちゃん。そんな会話をしているうちに他の面々も再起動したらしく、「せっかくだからと」会議の場を私の出した絨毯の上に移行する。
とりあえず私は、木でできたまな板(という名の卓袱台)を料理魔法で取り出し、その上にお茶と茶菓子を並べていく。
こんな事をしているおかげかどうか知らないが、この世界に来た闘茶はたぶん〔Lv.F〕だったであろう料理魔法も、いつの間にか〔Lv.A〕に、料理自体も、地球でやっていた経験もあるんだろうが〔Lv.SS〕という大台になっている。また、なんでか知らないが私自身のレベルも〔Lv.15〕となっているので、これはゲーム的に言えばどんな行動でもいいのでやっていれば自然に上がっていくモノなんだろうと推測。実際ほかのみんなも、昨日の時点で〔Lv.5〕~〔Lv.10〕になっていたしね。そして、それぞれやっていた作業に関連するスキルもレベルが結構上だったり・・・・。
「たぶん、みんなの持っているスキルにも対応しているとは思うけど、『〇〇に使用するモノ』として家庭をすれば、それに準じていればどんなモノでも取り出し可能だと思っている。例えばこの絨毯なんかは、『長い起毛を持つ動物の皮でできたテーブルクロス』としてイメージしたら出てきたからね。この卓袱台は、まな板としてこの場にあるし。
ただし、料理魔法と付いている以上、あまりにもその定義が元の定義とかけ離れていくと、どうも魔力がそれに比例していくみたい。まあ、私の場合は持っているスキルの影響で、消費した魔力が多くなればなるほど、回復した際の魔力量が増大するからね。なるべくこうやって無理やりこじつけて、料理魔法を使っていくつもりだよ。」
「ん~~~~。それって、私の持っているスキルも、・・・・・同じ事ができるのかな?」
「たぶん?そのあたりも含めて、それぞれがスキルを使用して実験していかないとね。」
それからは、私の私見でスキルについていろいろと語った。私しかできない方法から、他のみんなもまねのできる方法までいろいろとだ。
そして、外の天候が落ちゆくまでは、各自スキルについての見識を深めて、できる事をより多く増やしていこうとする時間に費やしていく。
・・・・まあ、戦闘関連については、相手がいないためできない・・・・・・・事もないかな?
それをするためには、少しばかり私が無理をしないといけないとは思うが。
さて、考えた事を実行するため私は、現在棲み処となっているこのカマクラを改造すべく、行動に移すのだった。
現在、私達の棲み処となっているこのカマクラは、3つのカマクラを、通路となるトンネルで繋げた形になっている。
1つ目はリビングとして、全員が集まるカマクラで、3つの中で一番大きなモノだ。残りの2つは、それぞれ男女別に眠る部屋として使っており、昨日は雪でできた床の上に直に横になって眠っていた。で、現在じゅうたんが敷いてあるのは、女子部屋として使用しているカマクラであり、私は、ほかの2つのカマクラの床にも同様に絨毯を敷いていく。
あとは、布団をどうにかしたいけど。それとお風呂だね。昨日の晩は仕方のない事だったけど、2日以上もお風呂に入らないのは、・・・・・・ちょっとね。
という事で私は、お風呂と布団をどうにかしようと、いろいろと考える事にした。
まずは、簡単そうな布団の方から。
ベッドと毛布については、料理魔法でどうにかなると思っている。ベッドは、言い換えれば『足のついた台』だ。なのでベッドは、『木でできたまな板という名の卓袱台』の応用で・・・・・・。毛布については、テーブルクロスという名の毛布として・・・・・。
できたね。
現在、私の目の前には、何処からどう見てもベッドが鎮座している。その上には、敷布団・枕・毛布に羽毛掛布団という黄金セットも鎮座している。
敷布団と枕、羽毛掛布団については、古き良き昭和の時代の日本の食卓で使用していた座布団をどうにかしたら出す事に成功した。シーツに至っては、もちろんテーブルクロスとして出している布である。
いったい、料理魔法とは何なんだろうか?私がまな板だと思えば、板状の物体ならば何でも出す事ができるような気がする。
まあ、料理魔法でいろいろとできる事が解っただけでも、この実験は大成功と言えるね。
まあ、それはいいとして、1セットだけのベッドを、5セット作ってそれぞれの部屋に配置。だけど、これだけで部屋が少し狭くなってしまった。まだまだ快適な生活空間を作っていきたいので、この際だからちょっといろいろと改造していこうかな。
まずは部屋の大きさを広くしたいので、この空間をどうにかしたい。魔法を使うとなると、空間魔法になるのかな?
まだ、まともな魔法は何1つ使った事はないけれど、私のスキル的に何とかなるような気がしている。まあ、やってみればわかるかな。
そうと決まれば、実験あるのみ。
・・・・・。
失敗した時が怖いから、カマクラの外で実験をしようか。それとも新たにカマクラを、魔法の訓練がてら増築していこうか。
いろいろな魔法の訓練もしたいから、新しいカマクラを、増築していく方向で行こう。
そう結論付けた私は、ホワイトアウトしているカマクラの外へと出ていくのだった。ただし、棲み処となっているカマクラを見失う距離ではない場所に。どうせ増築するのためのトンネルを作るから、ほぼ隣になる場所で実験をする私であった。




