【01-02】生存者を探せ(その2)
私と日向ちゃんは、二手に分かれて作業をすることになった。
さっさと寝床だけは確保しておかないと、雪が降り積もる中、夜通し寒い思いをしないといけない。
後は、周囲にいる者たちの捜索だ。こちらもおろそかにできない事案である。人では増えれば増えるだけ、問題も多く抱えるというデメリットがあるが、作業を分担できる分だけ、1人当たりの疲労度が減っていくというメリットもある。
今は、デメリットよりも、メリットを優先していきたい。もしも手伝ってくれない時は、その人はコロニーから追い出してしまえばいいのだ。
ここにいるという事は、みんな『巻き込まれ異世界転移』の被害者なのだ。そんな中で、『被害者だから、おれは何もしない』なんていう考え方を持った者など、今後の活動には邪魔である。
さて、周囲を探索していけば、ヒナタちゃんがいた場所から15mほどの場所に発見、雪をかき分けて掘り出してみれば全裸の男の子がいた。
彼の名前は、東條優翔君。17歳で、現在の剣道部主将である。
もう死んでいるのかなを思いながらも、心臓付近に耳を宛がえば、鼓動が鳴る音が聞こえてくる。とりあえず意識を覚醒させないといけないと思い、頬を思い切りひっぱたいてみる。
「うっ!」
「貴方、名前は?」
少し意識が戻ってきたところで、完全に覚醒させるために呼びかけを行う。私の呼びかけに彼は、『東條優翔』と答えた。意識は少し混濁しているが、しっかりとした受け答えだったので、命に別状はないようだ。
しかし見た感じ、周囲に彼の着用したいたであろう服がない。だけど、私の手元には、セーラー服と何故か体操服・ブルマだけど一応服はある。
「東條君、一応服はあるんだけど、セーラー服と、ついでに女子用体操着なんだよね。それでもいいのなら、・・・・・着用する?私もそうだけど、この服装でいれば、こんな天気の中でも平気になると思うんだ。」
東條君は、私の言葉に少し逡巡したが、『何か着用できるのならば、何でも構わない』という返事を返してくれた。少し冷たくなってきている東條君は、自分で服を着る事も困難なほどになっている。そのため、私は2つあるナップサックの1つの中身を空けて、順に東條君に着させていく。
一応誰のかは知っているが、ここにはいないため勝手に使用させてもらう。何処にいるのか解らない人の事を考えるよりも、目の前にいる人の事を考えないといけない。この服を着れば、とりあえずこの寒さをしのぐ事は出来るのだ。・・・・・使わない手はない。
さて、まずは下着から。
もちろん女性モノのショーツを履かせる。ブラジャー・・・・・までは着用させるのは忍びないかな?
それにしても、不思議だね。まるっきりサイズが合わないはずなのに、東條君の下半身に、ぴったりとフィットしてしまったショーツ。ちなみに水色と白色のボーダー柄である。
「ちょっと、ごめんね。」
と、断わりを入れてから、東條君の息子さんを、小さなショーツの中にセッティングする。真っ赤な顔になりながら・・・・・。
次にブルマをはかせてから、下着代わりのキャミソールを着せたうえに半袖体操服を着せ、まとめてブルマの中に裾を入れ込む。ちなみにどうでもいい事だが、体操着のゴムとブルマの色は私と同じ赤色なので、この服の本来の持ち主は1年生という事になる。
ここまで着せた段階で、東條君の唇が、紫色から健康的なピンク色に変化し、冷たかった体に熱が戻ってくる。
次は、紺色のニーソを履かせ、ボックススカート、黒色のローファーを履かせる。
ちなみに、スカート丈は最大サイズの55㎝、ニーソの丈は膝丈サイズだった。
で、最後にセーラー服を着せて、胸元にスカーフを結べば、東條君INセーラー服バージョンの出来上がりである。
当然、このサイズになるように、セーラーブレザー、スカートとニーソの丈が勝手に変更したのはお約束?・・・・なのかな。
本当に、不思議である。
セーラー服に着替えた東條君は、その後10分ほどで動ける程度まで回復。事情を説明して日向ちゃんの作業を手伝ってもらう。私は次の人の救助?だ。
東條君のいた場所から約50m先を掘ると、そこには私達とは違う学校の制服を着た女の子がいた。
確かこの制服・・・・、某キリスト教系の修道会が設立した女子高、私立修道女学園高等学校の制服だ。この学校の制服は、修道女が着用する修道服を基本とし、セーラー服の要素も取り入れているちょっと変わったデザインをしている。
実はこの女子高、内部(修道院で生活しており、そこから通っている者)と外部(自宅から通っている者)の生徒は、若干の制服の違いが存在している。
なお、内部学生と外部学生の違いは、ガチで誓願を行い修道女として生活している者か、この女子高に通う間のみ短期間の請願を行い、修道女(仮)となっている者かの違いでしかなく、校内では『神の下に平等』の精神の下、所謂特別待遇などは一切ないという。
東條君と同じように意識を覚醒させ名前を聞くと、白鳳院玲菜という名前で、現在が3年生だという事だ。ちなみに外部学生であり、1期前の生徒会長さんだったみたいだ。本当に、(噂では知っていたけど)特別待遇はなかったんだね。
そんな玲菜さん(本人から名字読みではなく、名前呼びでお願いと言われた)とともに、次のお仲間を探しに雪を掘り進めていく。あちこちの雪を掘り15人ほど掘り出してみたが、全員が何故か全裸になって死亡していたから不思議である。それも、全員が男性ときている。
ここまで来ると、何か大きな力が働いて、男子は全員全裸だという推論に達してしまう2人。
そんな中、時間的にもここが最後という雪を掘ってみれば、そこには初めて服を着ている男性・・・・・、いや、この場合男の娘といったほうがいかな?
そんな男の娘が横たわっていた。
この子が着ている制服は、オタク御用達の学校で有名な、私立御託狭間学園高等学校。そこの女子制服である某アニメに出てきたピンク色のセーラー服だ。
そんな男の娘を皆と同じようにたたき起こし名前と年齢を聞けば、『白鳥夏樹、17歳』と答えてくれた。
閑話休題。
夜もどっぷりと更け、轟々と燃える焚き木を明かり代わりに、焚き木の周囲に腰かけた私たち生還組5名。この5名で、当座は共同生活を送りつつ、この人跡未踏らしき森を脱出する事になった。
生存者の相殺ついでに、食材になるだろう木の実や果物、草やキノコなどを収穫してあり、また、近くにあった小川において、東條君が魚を捕ってきてくれていたので、今晩の夕食はとりあえず確保できている。
なお、生還した面々の荷物については、掘り起こすのをあきらめた。すでに焚き木の周囲以外は真っ暗闇であり、さらに雪も降り続いている。何処のあるのか解らないモノを掘り起こす環境ではないのだ。そのため全員、荷物については諦めている。私と日向ちゃんは、たまたま運が良かっただけである。
なお、全裸のために死亡してしまった者たちは、今は掘り起こしたままの状態になっている。明日の朝にでも、何処かの木の根元に大きな穴を掘って埋葬する予定である。木の根元なのは、ただ単純に墓標代わりにするためだ。
さて、生還したメンバーで改めて自己紹介を行いながら、夕食を摂っていく。
「では夕食を食べながらでいいので、自己紹介をあらためてしていきましょう。でゃ、言い出しっぺの私から。
私の名前は、御堂愛理沙。元私立鏑木学園高等学校の1年生なので、歳は16歳です。よろしくお願いします。
自分でも不思議なんですが、何故か料理に関する機材や調味料、そして食材すらも、何処からか取り出す事ができるみたいです。」
まず1人目は、私事、御堂愛理沙。16歳。
”元”私立鏑木学園高等学校の1年5組、陸上部の所属している。”元”と頭にわざわざ付けたのは、今の状況ではどこの学校に在籍していたかというのは些細な事だからだ。実際、元の世界に戻れる保証など、何処にもないのだから・・・・。
なお、私の現在の服装は、半袖体操服にブルマをアンダーとして、その上に学校指定のセーラー服を着用している。髪の毛は腰まであり、サラサラの黒髪ロングである。現在はポニテに纏め、髪ゴムで縛っている状態だ。
そして、自己紹介でも話したが、私は何処からともなく料理に関する機材や調味料、そして食材すらも取り出す事ができる不思議ちゃんに進化?してしまった。そのおかげで、今晩の夕食もとても豪華に仕上がっている。なお、夕食を作ったのも私である。
「次は、あたしだね。あたしの名前は、霧島日向、16歳。愛理沙ちゃんと同じ、元私立鏑木学園高等学校の1年生です。よろしくお願いします。」
2人目は、私の大親友である霧島日向ちゃん。
私と同じ1年5組で、陸上部の所属する16歳。家もお隣さんという幼馴染で、幼稚園から今まで、同じクラスで離れた事がないという腐れ縁の仲でもある。これが男の子だったら、(物語的には)確実に将来の結婚候補だよね。現在の服装は、私と同じなので割愛する。髪の毛は肩甲骨のあたりまであり、現在はそのまま流している。髪の毛が短いのは、ただ単純に長距離走では邪魔だったからだ。
「俺の名前は、東條優翔。先の2人と同じ、元私立鏑木学園高等学校に通っていたが、学年は1つ上の2年だから歳は17歳だな。どうぞ、よろしくね。
剣道部主将(部長)を務めており、日本古来から伝わる剣術や武術にも精通しているから、戦闘関連の事なら自信がある。」
3人目は、東條優翔君。
私と同じ学校の2年1組に在籍していた、現在剣道部主将(部長)を務めている男の子・・・・いや、今の服装だと完全に男の娘である。服装は私と同じ半袖体操服にブルマをアンダーとして、その上に学校指定のセーラー服を着用している。これしか持ち合わせがなかったので仕方のない事だが、結構似合っており昔からこれが普段着だったと言わんがばかりである。
なお、この話し合いの中で知った事だが、東條君の趣味(と言っても隠れ趣味の方だが)は、女の子よりな顔つきを利用した女装という事だった。当然学校以外の普段着は女の子物であったため、今の服装も問題なく受け入れているそうだ。なお、学校にいる際の下着は男性者だが、家の中では半袖体操服にブルマが下着であり、その上にスカートとかを重ね着していたそうだ。ぶっちゃけて言えば、|この服装(セーラー服)に憧れていて、いつかこの趣味も大っぴらげにしたかったそう。
なお、この服装異なるのに戸惑ったのは、私の反応が気になったみたいだ。
ちなみに、ここにいるメンバーは、全員がそういった事には寛容(お堅そうな玲菜さんも、実はそういった事は大好きらしい。私と日向ちゃんはご飯のおかずである)だという事で、東條君の服装は(この世界にいる限り)今の服装という事で決まっている。ちなみに今は短髪なので、ちょっと”ボーイッシュな女の子”に見えているが、東條君曰く本当は腰を超えた(私のような)長髪が好みという事で、このまま髪を伸ばしていく事になっている。
「ボクの名前は、白鳥夏樹、16歳。元私立御託狭間学園高等学校に通う1年生です。よろしくお願いします。
優翔君とは、趣味が同じなので仲良くできると思います。しかし、優翔君は隠れ女装みたいですが、ボクは、常日頃から御あんおこの恰好をしているガチな男の娘です。」
4人目は、白鳥夏樹君。
元私立御託狭間学園高等学校の1年5組に在籍、部活はコスプレ研究会の所属だったらしい。今の服装は、今年度の学校の制服として採用されていた、某アニメに出てきたピンク色のセーラー服となっている。髪の毛の腰まであり、顔つきも女の子よりなので結構似合っている。
なお、下着として身につけているのは、学校指定の女子体操服である半袖体操服にブルマである。ちなみに、前にも話したとは思うが、私達の暮らす2200年代には、半袖体操服にブルマ以外の女子用体操着はすべて駆逐されている。
「最後は、わたくしですね。わたくしの名前は、白鳳院玲菜、18歳。元私立修道女学園高等学校の3年生で、1期前の生徒会長を務めていました。ちなみに部活動は、聖歌隊に所属しておりました。よろしくお願いしますね。
なお、皆さんから見れば年上になりますが、わたくしの事は、苗字ではなく名前の『玲菜』で呼んでいただけると嬉しいです。」
最後は、白鳳院玲菜さん。
元、私立修道女学園高等学校の3年生で、1期前の生徒会長さんだったらしい。服装は、修道女が着用する修道服を基本としたセーラー服。この服装なので外部から通ってはいるが、卒業後は誓願を行ってガチな修道女になる予定だったという。
そんな玲菜さんは、本人から名字読みではなく、名前呼びでお願いと言われたため、今後このメンバーは全員『玲菜さん』と呼ぶ事になった。さん付けはたぶん抜けないとは思うが、玲菜さん自身は『呼び捨て上等』という事なので、今後に期待と言っていた。




