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第11話 少しだけ近づく距離


夕方、レイヴェルが戻ってきた。

私を一瞥して、椀が空になっているのを確認して。


「……食えたか」

「食べたわ」

「全部か」

「……半分」

「足りない」

「うるさい」


レイヴェルは椅子を引いて、向かいに座った。

昨夜より、少しだけ近い場所に。


「……セインが来たか」

「来たわ」

「……何か言ったか」

「色々と」

「……」

「スープ、美味しかったわ」

レイヴェルの動きが、ぴたりと止まった。


「……セインが」

「あなたが作ったって言ってたわ」


沈黙。

長い沈黙。


「……首にする」

「やめてあげて。正直なだけよ」

「正直すぎる」

「いい副官だと思うわ」

レイヴェルは、深く息を吐いた。


「殿下! 北の陣から急使が!」

テントの外から、セインの声が飛んできた。


二人の視線が、絡んだまま止まった。

レイヴェルは小さく舌打ちをした。


「……スープ、残りも食え」

テントの外から、セインの声が聞こえた。


「殿下、五人前は作りすぎだと申し上げましたのに」

「うるさい、歩け」

「はいはい。……まったく、うちの殿下は捕虜の姫君に甘すぎて困ります」


「セイン」

「はい」

「明日、草原の見回りを一人でやれ」

「……善処します」

遠ざかっていく声を聞きながら、私はそっと笑った。


声には出さなかった。

でも。

久しぶりに、笑った気がした。


毛布に顔を埋めると、また、かすかに知らない匂いがした。


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