↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔神と呼ばれた元傭兵のトンデモ開拓スローライフ 〜裏切られて引退したおっさん。一人で生きると決めたのに、最強種族が集まってくる〜  作者: 犬斗
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/100

第85話 隕石が落ちる理由

 俺は地上に着地して、巨大隕石を町から離れた場所に下ろした。

 実際に地上へ置くと、町の隣に突如として山ができたという感じだ。


「ア、アレファスさん! お願いがあります!」


 珍しくフェルムが興奮しながら、隕石を研究したいと言ってきた。

 もちろん好きにすればいい。


「ふう、ひとまず温泉にでも浸かるか。ははは」


 特に疲れはないが、一仕事終えた後は温泉と決めている。

 シルヴァが微笑みながら、俺を迎えてくれた。


「お疲れ様。心配して損しちゃった」

「損って何だよ」

「何の危険もなく、あの隕石を止めちゃうんだもの」

「いやいや、結構危なかったぞ?」

「どこがよ。それよりも、どうやって空を飛んだの?」

「分からん」

「もう。本当にデタラメね」

「なんせ魔王だからな。はっはっは」

「全く……。ねえ、一緒に温泉入る? 背中流そうか?」

「い、いいよ! 一人で入るっつーの!」


 温泉に向かおうとすると、アクアスが俺を手招きしていた。


「アレファスちゃん、ちょっといい? 話があるの」

「ん? 話? なんだ?」


 後をついていくと、そのままアクアスの自宅に入った。

 アクアスの自宅に入ることは滅多にない。

 工事や作業で入ったくらいだ。


「いい匂いだな」

「香木を焚いているのよ。うふふ」


 壁には大量の本が並ぶ。

 アクアスは本に触った瞬間読み終えるという、とんでもない能力を持っていた。

 ここにある本は全て読んだのだろう。


 リビングに入ると、ソファーに座るグラキャスの姿があった。

 今この町にいる魔竜の中で最年長の二柱だ。


「アレファスちゃん。隕石を止めてくれてありがとう」

「止めなきゃヤバかっただろ?」

「そうね。あの大きさなら、星の生物のほとんどが死に絶えたでしょうね」

「そ、それほどなのか?」

「ええ。上位への進化(エヴォリオル)をしていれば大丈夫だけど、普通の人間や動物たちは危なかったでしょうね」


 アクアスがティーセットをテーブルに置く。

 魔獣のエレトゥスが作った美しい陶器製だ。

 エレトゥスはこの町で最も身体が大きいのに、意外にも繊細な陶芸が得意だった。 


「この星はね、過去何度か巨大隕石が落ちてきたの。巨大隕石ともなると、その被害は尋常ではないのよ。地表はめくれて大地は溶ける。溶岩の星になっちゃうの」

「それじゃあ確かに生物は死ぬな……」

「星が元に戻るまで、数万年から数百万年はかかるのよ。私たちにとっては短いけど、生物にとっては進化のやり直しになるほどよ」

「ん? 溶岩の星?」


 俺はアクアスの言葉が気になった。

 溶岩になれば冷やせばいいというのは安易な考えだろうか。


「溶岩か……」


 俺は以前聞いた話を思い出しながら、グラキャスに視線を向けた。


「そういえば、グラキャスって過去三回世界を凍らせたんだろ? もしかして……」

「ええ、そのもしかしてよ。グラキャスちゃんが星を強制的に冷やしてくれたのよ。うふふ」


 星を冷やすために凍らせたのであれば、理由は納得できる。

 とはいえ、溶岩になった星全体を凍らせるなんて、どれだけの力が必要なのか想像もつかない。

 やはりグラキャスは化物だ。


 突然、俺の左腕から白い冷気が漂う。

 ピキピキと凍り始めた。


「お主、何を考えておった?」

「な、何も考えてねーよ! 簡単に人を凍らすんじゃねーよ!」


 アクアスが微笑みながら、俺の左腕に触れる。

 すると、凍結が解除された。

 この二柱の能力が恐ろしすぎる。


「アレファスちゃんもハーブティーでいいでしょ?」


 アクアスがハーブティーを淹れてくれた。

 この香りは最近栽培を始めたラベンダーだ。

 心が落ち着く感じがする。


「ねえ、アレファスちゃん。ルクロスちゃんとの会話を覚えているかしら?」

「会話? ほとんど話してないけど、まあ一応な」


 ルクロスとの会話で覚えている内容は四つだ。


『これから少し大変になる』

『アクアスとグラキャスは理解している』

『事象の地平面』

『私はまだ出られない』


 もちろん、覚えているだけで理解はできない。


「ところで、アレファスちゃん。隕石が落ちる理由って知ってる?」

「理由? この星の近くを通った隕石が引き寄せられて落ちてくるんだろ。さっきの隕石だってそうだろ?」

「その通りよ。あれほどの大きさになると数千万年から数億年に一度のレベルだけどね。でも、小さなものは頻繁に発生しているわ。それこそ毎日ね」

「毎日?」

「それが流れ星よ。地上に届く前に、大気で燃え尽きるの」

「なるほどね。そう聞くと儚いな」

「うふふ、ロマンチックでしょ」


 それにしても、まさか俺が生きている間に、数億年に一度レベルの隕石に遭遇するとは思わなかった。


「流れ星や隕石は自然現象だけど、それとは別にね、意図的にこの星に降りてくるものがあるのよ」

「意図的だと? いやいや、そんなバカなことがあるわけ――」


 アクアスが右手を上げ、俺の言葉を制した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。