012
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「もう一時間半しかないじゃん。」
どうしよう、どうしよう。
いや、ここはまず落ち着け。クールになるんだ。
「さて、どうしたものか。」
・・・とりあえずクールに困ってみたけど状況は当り前のように変わらないな―そりゃそうだ。
「夢花ちゃん、お母さんが行きそうな場所とかって心当たりないの?」
「ん~、お母さんはスーパーとか行くけど、変わった場所とかは行かないよ。」
「そっか。なら、お母さんと一緒に行ったところを行ってみるか。」
しらみつぶしみたいになってしまうが仕方ない。
だが、時間が心配だ。
「それじゃあ、とりあえずスーパーに行ってみるか。」
「うん。」
返事はいつも元気がいいな。
返事とともに元気よく出発する僕達―・・・だがしかし着いてみると僕達は元気を一瞬のうちに無くした。
「・・・ここでいいんだよね?間違いないよね夢花ちゃん。」
「うん。ここだよ・・・。」
潰れてるよな完全に・・・いや、そもそも着く前から潰れている雰囲気はあった。
「ここも無駄足だったか。」
次はどこへ行こうか・・・。
「う~ん。こうなったらもう所縁のある所に片っ端から行くしかないな。夢花ちゃん、お母さんと行った事のある場所とか行きそうな場所をどんどん言ってくれ。」
「え~と、それなら次はね・・・。」
こうして僕は夢花ちゃんが言ったところを片っ端から行き続け、結局どこもかしこも全て的外れだった。
なんて無駄足だろう。
・・・・・・。
いやいや、そんなこと思っている場合じゃないよ。
「やばいよ・・・もう四時だよ。このままだと僕は殺されて夢花ちゃんは無理やり成仏させられちゃうよ。」
本当にやばいな・・・人生相談が失敗で終わってしまう。
「それは・・・いや。」
夢花ちゃんが泣きそうな顔で僕の手を握る。
「夢花ちゃん・・・。」
それはダメだよな。諦めるわけにはいかないよな。
「お兄ちゃん・・・。」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんは絶対に見捨てないし諦めないから。」
「うん。」
考えろ。考えるんだ。頭をフル回転そしてフル稼働させろどこに母親がいるか考えるんだ瀬々良輝彼方。
つまり僕自身!
近くのスーパーにも公園にも母親はいなかった。
じゃあどこにいる?もう遠くの方に行ってしまったのか?
可能性はあるが決めつけるな。
まずは今までの事を整理してみよう。
まず夢花ちゃん家は半年前に取り壊されている。
・・・ん?何で取り壊されたんだ。
やっぱりもう遠くの方に引っ越したのか。
いや待て。その前に夢花ちゃんはお母さんが余命一年って言われたのが理由で、それから毎日のように泣いて、それで元気付けるために、お母さんと遊園地に行ってその帰りに、お母さんとはぐれて迷子になって死んだんだよな。
ん?そういえば夢花ちゃんが死んだのって二年前だったよな・・・・・・!?
「そうか、そうだったんだ・・・。」
僕は何てバカだったんだろう。
「それなら、あそこしかないよな。」
僕はそう呟き咄嗟に夢花ちゃんの手をつかむ。
否―手を繋いだ。
そしてかなり早い速度で走った。目的地まで。
何分くらい走ったのだろう。それすらもわからないくらいに無我夢中で走った。
「着いたよ。夢花ちゃん。」
「お兄ちゃん、ここって・・・。」
僕達が着いた目的地、そこは墓地だった。
「お墓だよ。ここに夢花ちゃんのお母さんがいる。」
そう言って僕は夢花ちゃんと一緒に夢花ちゃんのお墓を探す。
「ほら、やっぱりあった。夢花ちゃんのお墓。」
「うん。でもお兄ちゃん夢のお墓探しても意味ないよ。」
「意味ならあるさ。だって―」
そう言って僕はお墓に指をさす。
そこには―夢花ちゃんの名前とお母さんの名前、紗江花の文字が刻まれていた。
「お母さんの名前・・・。」
「うん。夢花ちゃんが死んだのは二年前。その時に、お母さんは余命一年って言われてたんだよね。それなら今はもうお母さんも死んじゃって夢花ちゃんと一緒のお墓に入ってると思って。」
「そうだったんだ。」
「うん。だから探す必要なんて無かったんだよ。」
そう、だっていつも一緒にいたんだから。
一年も前からずっと―
だから僕達は探さなくてよかったんだ。
ただ夢花ちゃんが地縛霊ではなくどこにでも動ける浮幽霊だったがために、数か月もの間に自分が霊だと気付かずにずっと、お母さんを探していたがために、そして気付かずうちに周りに多大な影響を与えていたがために、それが原因で霊媒師に追いかけられるはめになり僕の町まで逃げて挙句の果てに迷ってしまったがために、こんな事になってしまった。ただ、それだけだった。
「う、ああ」
隣から夢花ちゃんの嗚咽が聞こえる。
僕は、そっと夢花ちゃんの方を振り向く。
夢花ちゃんは泣いていた。
眼にいっぱいいっぱい涙を浮かべて泣いていた。
目の前を見る・・・そこには、お母さんが立っていた。
もちろん、霊として。
一年間、娘の帰りを待っていたように、お母さんもまた泣いていた。
「う、うあ、ああ―」
そして。
今まで一番言いたかった事を夢花ちゃんは言う。
「―お母さんっ、ただいまっー」
そう言いながら夢花ちゃんは母親のもとに駆けて行き抱きついた。
その後、僕の方を見て、精一杯の笑顔で、
「お兄ちゃん、ありがとう。お兄ちゃんといた時間、楽しかったよ。」
そう言って、二人は、かすんでいき、ぼやけていき、あっという間に消えてしまった。
僕は、そんな二人を見送り、最後に空を方を向いた。
「どういたしまして。僕も楽しかったよ。」
これにて人生相談、完了。




