011
011
あるところに父、母、娘の三人家族が住んでいました。
父親は公務員、母親は専業主婦、今年で小学生になる娘からなる家族で裕福でも無く貧しくも無く、ごくごく一般的な家庭でした。
夫婦仲もよく温かい幸せな生活をおくっていたそうです。
しかし、ある日、母親が今の医学では治らない病気を患ってしまいました。
医者からよめい一年と言われ家族全員、絶望しました。
その中でも特に娘がショックを受けずっと泣いていたそうです。
それを見て母が元気付けようと思い娘を遊園地に誘いました。
母の気遣いを悟ったのか、はたまた単純に嬉しかったのか喜んで遊園地へと母と娘の二人で行ったそうです。
二人は楽しく遊園地で遊び娘は元気が出て忘れられない思い出になった事でしょう。
その帰り道、娘は興奮冷めやらぬまま海沿いの港がある近くの帰り道を帰っていました。
ですが娘は、はしゃぎ過ぎて母とはぐれてしまい、一人でいる事に怖くなり走って母親を探しました。
無我夢中で探していたことから周りが見えなくなり勢い余って海に落ちてしまい、そのまま亡くなりました。
・・・・・・。
友香ちゃんの話を聞いた後、ここら辺に住んでいる人にいろいろ聞き込みをして、その結果と夢花ちゃんの話をまとめると夢花ちゃんが死んだ経緯については、ざっとこんなもんか。
そして夢花ちゃんは幽霊・・・浮幽霊としてお母さんを探していると幽弦さんに出会い十数キロ離れている僕が住んでいる町まで逃げてきて、さらにそこで迷子になりずっと帰れずじまいで彷徨っているところを僕に声をかけられたわけか。
「てことは、一年間以上も僕の住んでいる町で彷徨っていたってことか。」
「そういうことになるね。」
「ふ~ん。」
まぁ迷子だから仕方ないとは思うけど・・・どうして僕の町でずっと彷徨っていたんだ?
走り回っていたら自分の町に戻れなくても別の町には行けただろうに。
「そんなことよりさぁ~、一応、真希菜達から教えてもらった住所に辿り着いたんだけど・・・何も無いよね。」
「うん。何も無いね。」
この子、驚かないのか?
「取り壊されたみたいだよね、これは。」
完全に工事をした形跡がある。
しかももう終わっている―愛可の言ってた通りってことだよな。
「そうだね。」
・・・この子は自分の家がない事に何も思わないのか。
「夢花ちゃんは驚かないんだね。」
「ううん。驚いてるけど、それよりもお母さんどこ行ったんだろうって思って。」
なるほど、家よりも、お母さんの行方が気になるってわけね。
「さて、どうしたものかな。どこを探せばいいんだか。」
「わかんないね。」
そうやって悩んでいる僕は時計を見る―・・・・・・!?
やばい・・・もう三時半だ。




