008
008
「霊。もとい幽霊」
確かに僕も聞いたことはあるけど本当にいるとは思っていなかった。
いや、仮にいたとしても僕自身、見えるとは思っていなかった。
だって今の今まで見えた事なんか一度も無かったんだから。
「二人は本当に見えていないんだな?」
「うん。見えてないよ。」
「はい。本当に見えませんね。」
「そっか、驚かないんだな。」
「うん。逆にすごいと思うよ、幽霊が見えるなんて。第六感ってやつかな。」
「そうかもな。僕も第六感があるとは思わなかったよ。」
本当に思っていなかった・・・初体験ってやつだ。
それからというもの、真希菜達から詳しく住所の場所を聞いて、それから二人は行く場所があるということで別れた。
それはそうか。二人は遊んでいたんだから。
そして夢花ちゃんと二人にきりになってまた歩いていた。
「どうして黙ってたんだ?」
少し歩いたところで僕が聞いた。
「ごめんなさい。幽霊だって言ったら嫌われるかと思って・・・。」
まぁ、わからなくもない。
そりゃあ幽霊だって言ったらみんな逃げるんだろうな。
「お兄ちゃん、怒ってる?」
「別に怒ってないよ。ただ早くそれに気付いていたらもっと上手く探せただろうなと思っただけだよ。」
もっと上手く・・・探せただろうか?その目的地にたどり着けただろうか?
「それで、お母さんに会えたら成仏するのか?」
「わからない。お母さんとはぐれちゃったから。」
ん?質問の答えになってないよな。
「いや違くて―」
僕が改めて質問しようとした時に前から泣き声が聞こえた。
「また迷子か。これで何人目だ。」
何人目―先程はあまり語らなかったが一人目の迷子を見つけてから一時間歩いている中で実はもう何人も迷子を見ていた。
お父さん、と泣きながら言う子供や、お母さん、と泣きながら言う子供。
「これで九人目か十人目くらいか。」
ちなみに僕は今まで見てきた子供を全員スル―しているのだ。
決して鬼畜なのではなく夢花ちゃんを優先していたからだ。
だから僕を蔑まないで欲しい。
お願いします。
「迷子の子が多いな。」
「・・・そうだね。」
なんか迷子の子の話になると元気がなくなるな、夢花ちゃんは。
まぁ自分も迷子みたいなもんなんだし、仕方ないか。
それから十数分ほど歩き僕はさっきしようとしていた質問を改めてしようと思い声をかけた。
「ねえねえ夢花ちゃん―」
夢花ちゃんを見たときに様子がおかしいと思い僕は夢花ちゃんが見ている方向と同じ方向に目を向けた。
一人の女性が立っていた。
その女性は夢花ちゃんを見ながらおもむろに口を開いた。
「やっと見つけたよ。あんまり逃げなさんな」
なんてボーイッシュな人だろう。
その人は次に夢花ちゃんに指をさして
「どんだけ探したと思ってんだ。もう逃がさないよ。」
凄い覇気だ。
ふと夢花ちゃんに目をやると震えていた。
怯えていた。
脅えていた。
僕はすかさず二人の仲に割って入るように夢花ちゃんの前に立った。
すると夢花ちゃんは小さな手で僕の指を掴んだ。
ヤバい・・・今すぐ抱きしめたい。
「何だい、お兄ちゃん。君は誰なんだい?」
僕が変なことを思っているときにその人は質問してきた。
「僕は夢花ちゃんの前にたまたま通りすがった学生ですよ。」
「ふ~ん。で、その通りすがりの学生さんがその子とはどんな関係なんだい?」
「夢花ちゃんとは一緒にお母さんを探す約束をしました。」
「そかそか。それなら一応、自己紹介をしておこっかな。うちは幽幻威弦っていうんだ。よろしく。」
「僕は瀬々良輝彼方って言います。そしてこっちは白粉夢花って言います。」
「彼方君か、いい名前だね大事にしなよ。そしてこっちの幽霊ちゃんは知ってるから紹介しなくても大丈夫だよ。」
名前を褒められた―悪い気分ではないな。
「・・・それで幽弦さんは何の用なんですか?」
「そんな怖い目で見ないでくれよ。用はあるんだよ。うちは霊媒師なんだから。そしてこれだけ言えば分かるよね。彼方君は賢そうだし。」
・・・わかってる、わかってるさ。
「無理やり成仏させるんですか?」
「その通りだよ。わかってるじゃないか。」
やはり・・・でも疑問がある。
「でも何で霊媒師の人まで出てくる必要はあるんですか?夢花ちゃんはただお母さんを探して迷ってるだけでなんだから別に出てくる必要は無いんじゃないですか?」
「そうでもないんだなぁ~それが。だってみんな迷惑してんだから。徐霊しないといけないじゃん。」
「迷惑?夢花ちゃんはどんな迷惑をかけているんですか?」
「またまた。君ならもう気付いているんだろう。その子が一体どんな迷惑をかけているのか。わかっているんだろう。その子がいるとね子供達がはぐれちゃうんだよ・・・親とさ。」




