20話【2章】『DAY1 ⑥』
こんなに弱いやつが、国の防衛を任されていたなんて。
この国は、早く滅びた方が良さそうだぞ。
ここは国の最高峰であり、強い戦士も、うじゃうじゃいるんだとばかり思っていた。
拍子抜けだったな。
「えぇい、反撃せぬか剣聖。聖女の力を悪用出来ぬではないか!」
コイツ……まだそんなこと言ってるのか。
──聖女の力を悪用?
──ふざけるな。
──アリシアは、浄化の魔法を使うと酷く苦しむんだ。
お前の……私利私欲のために使わせてやるものか。
聖女に手を出そうとしたことも許せはしない。
コイツら……殺すか……。
「──ばべべェェェェ──」
殴るのも、飽きてきた。
最後に強烈な一撃で気絶させてやる。
「──おやめなさい!」
拳を振り上げた時、女の声でこの修羅場が一瞬で凍りついた。
優雅に現れたのは、アリシアとよく似た服装の女。
違いがあるとすれば、この女の方が上品というか、格式の高い人物なのだろうと、一発で分かるほどだ。
おまけに、ゾロゾロと騎士団まで行列を成して現れた。
流石にこの大群との戦闘は厳しい。
敵なんだろうか。
不安よりも混乱が勝った。
「──大聖女!?」
「そうですよ国王。私が大聖女カトレアです」
「どうして、あなたがここに?」
「──あなたを捕えるためですが?」
大聖女が冷徹に国王へ告げた。
「あなた……この国のお金をどこへ流してます?」
「……なんの話しですかな?」
「幼い聖女達を……性奴隷として売り捌いているらしいじゃないですか」
「なぜ、そんなことを知っている!?」
「バレバレですって。マヌケですねキモジジイ」
「そ、そんなぁ。ワシの権威がァァァァ──」
目的はこのアホズラの国王だったらしい。
殺すと罪を裁けなくなるから、俺は手を止められたんだろうな。
にしても、悪どいことやってんだなコイツ。
地獄に堕ちろ、キモジジイ。
「ありがとうございました傭兵さん。私……すごく怖かったです」
また泣かせてしまった。
もう泣かせなくなかったのにな。
俺に出来ることを探そう。
出し惜しみは、しないって決めただろ。
恥ずかしいなんてしらん。
俺は聖女を安心させてやらないといけないんだ。
「大丈夫だアリシア。俺がいる限り君を傷つけさせない」
聖女を、優しく抱きしめた。
強く抱きしめると壊れてしまいそうなぐらい、か弱い身体だ。
だけど、そんな聖女がとても愛おしい。
何で聖女は、こんなにも可愛いんだ。
「うぅ、はじゅかしい……」
「……嫌いじゃないだろ?」
「傭兵さんなら……いいですよ」
──上目遣いでそれは反則だろぉ!?
簡単に浄化されてしまいそうなほど、神聖な顔だった。
アリシアに何もされなくて、ホッとした自分もいる。
──それにしても、大聖女。
貴様は、一体何者なんだ。
国王をも、諌められる力があるってことなんだろうが、謎が増すばかりだった。
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