第6話 NOTテンプレじゃねぇかよ
「さあ、聞かせてもらおうか」
俺はエルメリアンの手を引き、リビングへ連れて行った。
「トランスリアさんって、少し琴音さんに似ている気がします」
褒めてんのか怪しいぞ、それ。
「そうか? まあ、小さい頃から一緒に居たし、似ちまってるかも」
「傍からみたら恋人ですよ。僕も昔を思い出します。というか、リビングは綺麗にしてるんですね」
琴音が彼女? やっぱり想像できないな。彼女になって普段と何が変わるんだか。
「使ってないからな。昔は彼女居たのか? というか何歳?」
ふと電気を見ると、埃が浮いている。最後に掃除してからかなり時がたったから当たり前か。今更きれいにしようとかもう思わない。
「あまりよく数えていませんが、確か百年は超えてたかと思います」
「じいさんだな……いや、待てよ。それ人間換算すると何歳だ? でも、それは作品や世界によっても変わるしな。一概には決められないか。でもな、恋愛脳っぽいしやっぱ学生……? 人間基準なら最大寿命は七百歳くらいか……」
「トランスリアさん……?」
「トランスリア……そうか。俺が百歳ちょっとで死ぬとも限らないよな。死んでたまるか。つうことは、不死身の可能性もあるな……あぁ!! わっかんねぇ!」
俺は机に肘をついて頭をぐしゃぐしゃした。こんなのは異世界に行けばすぐわかるか。
「呪文……ですか?」
声が聞こえた。そうだった、エルメリアンいるんだった。
「ああ、悪い。異世界っぽい! ロマンあんじゃねーかドラゴン!」
俺は立ち上がり、エルメリアンの肩をぽん、と叩いた。やっぱり、俺たちと同じ人間の肩だ。人間の姿とドラゴンの姿、どっちが本来の自分なんだろうな。
「で、話って何です?」
俺は時計に視線を向けた。もう十分も過ぎている!? 体感二十秒くらいだった。それよりも、腹が減った。冷蔵庫で食べ物を漁っている。
「あ、そうそう。異世界に野菜はあるか?」
聞きたかったことは多分ほかにもある。でも一番最初に浮かんできた質問がこれだった。野菜ばかり飛び込んでくるからか。
「野菜……? ありますよ、もちろん」
……。
「もしかして――」
「よし、違う話をしよう。エルフとかドワーフとかはいるか?」
エルメリアンは少し俺を見つめたまま黙った。その間に、俺はチーズを食べた。うん、美味い。
「エルフ……は聞いたことありますけど見たことないです。ドワーフ? なんて聞いたことす」
「マジかよ……NOTテンプレじゃねぇか。先駆者たちよ、これは異例じゃねぇか?」
先駆者……そうか! その手があったか!
「エルメリアン、明日の放課後も異世界研究だ」




