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「転生したら」と言ってみたいがために俺は異世界転生の方法を本気で探します  作者: 成乃 和幸


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第4話 VRMMO「失われたアルディスガルド」でのバグ検証

ファミレスから三十分くらい歩いて、家に着いた。ごく普通の一軒家だ。誘ったはいいものの、人を呼べるほど家がきれいでもなかった。片付ける気はないけど。異世界召喚アイテムが転がってるかもだし。


「トランスリアさん、一人暮らしなんですね」


「まあ、いろいろあってな」


 話しながら、俺たちは部屋に向かった。


 部屋に入ると、隣を歩いていたはずの二人が見えない。二人の足は止まっていた。


「天翔、前来た時こんな汚くなかったよ……」


 前来たといっても三年前だ。そりゃ変わってるよ。とはいっても、汚すぎる気もする。物が散らかりすぎて、歩ける道が限られている。


「ギルド拠点ランクFって感じですね」


「くぅ~。異世界っぽいな! 待ってろ異世界今行くぜ」


 部屋の最奥に座り、俺たちはVRゴーグルをつけた。


「ちなみに、どんな感じのゲームやるんです?」


「まあまあ、やってみりゃわかるよ! さっそく始めようか」


 そう言って、俺はVR機器の電源を入れた。数秒経つと、視界にはゲーム選択画面が現れてくる。俺は、計七千時間プレイしたゲーム「失われたアルディスガルド」を選択した。


 ゲームが起動すると、ファー、と神秘的な音とともにプレイヤー作成画面に移る。昨日ぶりに聞いた。


 エルメリアンに操作方法を教え、各自オリジナルキャラ作成を始めた。俺は少し微調整をしてみた。


「おおおお! 耳が伸ばせる! エルフまで……筋骨隆々なドワーフにも」


「感動するよな、わかるぜ」


 結局、キャラ作成だけで一時間半を使った。俺の微調整は五分で終わったんだけど。


「じゃあ、ミャーリン村集合でよろしく」


 ボイスチャットでそう伝えると、さっそく向かった。ゲームなのに不思議とその場にいるような感覚に陥る。風が吹いたような、涼しいような。マルチプレイしたことなかったけど、スポーン地点違うんだな。


 俺は七千時間のアドバンテージを駆使して二分でミャーリン村に着いた。帰ってきた、第二の故郷。青い空に雲が少し。中世風な赤レンガ造りの家。そこを楽しそうに歩く冒険者たち。遠くから聞こえてくる鍛冶屋の音。何度もプレイしているのに、初めてプレイした時と変わらないくらい胸が躍る。


「俺はついたぜ。ゆっくりでいいから気をつけてな」


 俺も始めたての頃はぎゃーとかうおーとか言いながら即死していた。そんなことを思い出して苦笑いする。しばらくすると、エルメリアン、琴音が到着した。


「おお! 見た目そのまんまじゃん! 琴音も!」


「天翔もほぼ同じだよ。寝ぐせがないところはちょっと違和感だけど」


 え、俺髪セットしてたんだけど、寝ぐせに見えてたの?


「まあいい!! ギルド向かうぞ、ギルド」


 歩いていると、


「え、あの子可愛くね? 現実もこんな感じなのかな」


「おい、お前話しかけろよ」


「あの男とドラゴン邪魔だな。転生者気取りかよ」


 そんな冒険者たちの声があちこちから聞こえてくる。こいつら全員NPCじゃねーんだよな。恨むぜパブリックゲーム。俺に視線が向けられるたびに、ゲームということをも忘れて身の毛がよだつ。てか、琴音ってそんな可愛いか?


「走るぞ! 今はまだ目立たないほうが良い!」


 初心者狩りをする人間がいるゲームだ。俺も何度かやられている。視線を振り切って、ギルドに着いた。俺たちのランクは言わずもがなFだ。そんなのはどうでもいい。


「あそこだ、よくバグが起きるのは」


 ギルドの隅で、座るエモーションやステップを連打すると、異世界に行けるとネットでは言われていた。成功はしたことないが、根気が大事なのだろう。


「ここで、座ったりステップしたりを繰り返すぞ」


 異世界検証をしている俺たちは、ギルドの中で一番目立っていた。


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