第3話 ファミレスにて異世会議
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放課後、俺はみんなが帰るのを待っていた。エルメリアンを除いて。
「まだ帰んないのか? 琴音。もうそろ帰った方がいいんじゃないの?」
急いでいるわけではないが、俺の気持ちは抑えられなかった。
「まだ帰んないのって、毎日私たち一緒に帰ってるじゃん! ひどいよぉ」
腰に手を当てて、口をぷくっと膨らませている。琴音の甘々モード。クラスではあんな優等生面してんのに、本当に同一人物かよ。
「どーせエルメリアンくんなんでしょ? 私もまーぜてっ」
今度は、わざとスカートを揺らしている……見ないぞ。
「別にいいけど、異世界嫌いには楽しくねぇよ? 多分」
「嫌いじゃないもん! ラブコメが好きなだけで。だから、行くよ」
俺はラブコメあるある放課後二人きりデートには興味がない。
「お二人の関係って、もしかして――」
「違うからな?」
「まだ、違うよ。“まだ”ね」
エルメリアンが同じ空間にいるのを忘れていた。セーフと言うべきか、アウトというべきか。
「んじゃまあ、ファミレス行きますか。異世会議もかねて」
そう言って、橙に染まる教室を後にした。普段なら、この時間帯はトラック待ちをしているから久しぶりだ。
ファミレスに着くと、俺たちは窓際のテーブル席に腰を下ろした。お金あったっけ。
放課後のファミレスは、学生で埋め尽くされていた。特に、ドリンクバーの行列がすごいな。学生いなかったら赤字なんじゃないか、というレベルで。
一通り注文を終えて、待ちに待った本題だ。
「異世界に行く案を教えてくれ、エルメリアン」
エルメリアンはもじもじと、指をいじっている。
「その……思いつきません、案」
……。思いつきませんと聞こえたような気がしたんだが、気のせいだろうか。
「トランスリアさんは、なにかありませんか? 異世界行きたがっていたようですし」
散々笑われた俺の「異世界に行こうノート」が役立つときがやってきた。
俺は、机に置いたノートを見ながら話した。
「まずは、トラックに轢かれて転生してみよう、だ」
転生系では一番多い方法だ。異論は認めない。
「そ、それじゃ死んじゃうじゃないですか! というか、異世界法に反します」
「なんかだめなのか?」
「僕は異世界にこの体で無事に帰りたいんです。異世界法を反したら……もう」
もしかして、それじゃ俺エルメリアンの手伝いしたら転生できないんじゃね? 転移なんじゃね?
「じゃあ、二つ目の方法な」
この方法が三人で試すには一番良いと思う。楽しめそうだし。
「なんですか! なんですか!」
ノートから目を離すと、俺の視界にはエルメリアンしか映らなかった。
「うわっ! びっくりした」
ごほん、と咳をして仕切り直しだ。
「二つ目はVRゲームだ。ちょうど、俺の家には三つある。みんなで楽しめるだろ?」
琴音は俺の意見に納得しているのか、凄まじい勢いで縦に首を振っている。だが、エルメリアンは目を細めていて、あまり乗り気ではなさそうだった。
「ゲームで異世界に……? そんな発展しているようには……」
「異世界転生、いや転移あるある!! ゲームしてたら気づいたら転移してましたー的な」
時間帯なのか、そもそも選ばれし者なのか知らないが、行く方法は必ずある。今まで沢山世に出てきた異世界モノは作者の実体験だと俺は思う。
「天翔ってば……そんな理由つけて私を家に連れ込んであんなことやこんなことする気でしょ!」
ラブコメを履修してない俺にそんなことができるとでも思っているのか。確かに、クラスでは琴音が来ると視線が集まってはいる。だが、俺はそこら辺にいる庶民ではない。転生するとしたらやっぱり貴族だろう。いや、まあ転生できればなんでもいいんだけども。
「じゃあ、琴音は来なくてもいいよ」
「嫌だ! 行く!」
そんな感じで、俺は半強制的にゲームを誘った。




