第11章 モップが動かない
ゾーイは、もう一度床を叩いた。
トン、トン。
返事はない。
「モップ……?」
横でノアが身体を起こした。
「……死んだ?」
「言わないで!」
思わず声が大きくなった。
ノアは息を呑み、口をつぐんだ。
ゾーイはモップの前に膝をついた。
手を伸ばしかけ、指先が止まる。
これまで一度だって、モップが嫌がるような触れ方はしてこなかった。
捕獲もしない。無理な検査もしない。
採取したのは、自然に剥がれ落ちた小さな組織だけ。
だが、今は。
ゾーイは震える手を伸ばした。
「……触るよ」
返事はない。
指先が、モップの表面にそっと触れた。
冷たくはなかった。
硬くもない。
皮膚の下で、何かが微かに動いている。
ほんのわずかな、ゆっくりした変化。
ゾーイは息を止めた。
「……生きてる」
ノアが顔を上げる。
「本当!?」
「生きてる……!」
ゾーイは端末を引き寄せた。
「ノア、職員を呼んできて!」
「分かった!」
ノアが立ち上がり、廊下へ駆け出した。
*
午前三時十四分。
調査施設の照明が一斉に点灯した。
非番の分析担当者、生態調査員、医療スタッフ。
呼び出された職員たちが次々と集まってくる。
モップの周囲に非接触型の測定器が設置された。
しかし、誰も何から手をつければいいのか分からなかった。
心拍に相当するものは、特定できない。
呼吸も確認できない。
体液の循環も、既知の生物とはまるで違う。
分析担当者が画面を睨みつけた。
「内部の周期活動は残ってる!」
「どれくらい?」
ゾーイが尋ねる。
「落ちてる。昨日より、ずっと」
「数字は?」
「最初に測定したときの一割程度だ」
ゾーイの顔から血の気が引いた。
「……一割?」
「測定値の比較だ。生命活動が一割になったと断定できるわけじゃない。でも、明らかに弱くなってる」
医療スタッフが別の測定器を調整する。
「何かできないの?」
ゾーイが尋ねた。
誰も、すぐには答えられなかった。
*
ノアは少し離れた床に座っていた。
大人たちがモップを囲んでいる。
機械をかざし、数字を読み上げ、互いに指示を出している。
みんな必死だった。
それは分かっている。
でも、誰もモップに話しかけなかった。
ノアは膝を抱えた。
そして、そっと指先を床につけた。
トン、トン。
機械の作動音に紛れる、小さな音。
もう一度。
トン、トン。
返事はない。
ノアは昨日までのモップを思い出していた。
速く叩いても、なかなか速く返してくれない。
勝手な間隔で、のんびり返事をする。
あの、妙に頑固なリズム。
トン、トン。
ノアは待った。
*
ピッ。
測定器が短い音を立てた。
分析担当者の手が止まる。
「……ん?」
「どうしたの?」
「今、少し上がった」
「何が?」
「内部の周期活動だ」
ゾーイがモップを見る。
身体は動いていない。
「……もう一回」
分析担当者が首をひねる。
「何を?」
ゾーイは振り返った。
床に座っているノア。
その指先。
「ノア」
「え?」
「もう一回、叩いて」
ノアは頷いた。
トン、トン。
数秒後。
モニターの波形が小さく跳ねた。
分析担当者が画面に顔を寄せる。
「……反応した?」
「もう一回!」
ノアが叩く。
トン、トン。
また、小さな変動が現れた。
分析担当者は急いで床の振動センサーを確認した。
「叩いた振動が測定器に入ってるだけじゃ……」
別のセンサーへ切り替える。
ノアがもう一度叩いた。
トン、トン。
少し遅れて、モップの内部にも変化が現れた。
「……違う」
分析担当者が呟く。
「床の振動とは別に、内部の活動が変わってる」
ゾーイはノアの隣へ膝をついた。
二人で床を叩く。
トン、トン。
トン、トン。
長い沈黙。
そして――。
モップの身体から、ごく小さな振動が返ってきた。
トン、トン。
ノアが息を呑む。
「……いる」
もう一度、床を叩く。
トン、トン。
弱々しい返事。
トン、トン。
「……まだ、ここにいるよ!」
ゾーイは頷いた。
「うん……!」
*
四十七・二光年先。
セレスティア。
エリックは一睡もしていなかった。
ダニエルが温かい紙容器を机の端へ置く。
「食え」
「いらない」
「昨日から何も食ってないだろ」
「豆食った」
「三粒は食事とは言わない」
エリックは画面から目を離さない。
《返事した》
ケイトから届いた、その短い一行。
何度も読み返していた。
ダニエルが隣に立つ。
「……モップか?」
「ああ」
「持ち直したのか?」
「まだ分からない」
ダニエルはしばらく黙っていた。
それから、容器をエリックの手元へ押しやった。
「なら、食いながら待て。お前が倒れたら話にならん」
エリックはようやく容器を手に取った。
一口だけ、口へ運ぶ。
*
ヘレン・カーターも観測局に残っていた。
モップの内部周期。
セレスティアの時計の補正履歴。
UNIT-2の通信装置の動作記録。
三つのモニターを並べている。
サイモンが疲れた手つきで目元を押さえた。
「……生物学者の見解が必要ですね」
「アルマの調査施設で対応しているわ」
「僕たちにできることは限られています」
「そうね」
ヘレンは画面を見つめた。
「でも、あの生物の内部で起きている変化と、時計の異変には、似た特徴がある」
「まだ相関があるとは言えません」
「ええ。だから、確かめるのよ」
サイモンはモニターへ向き直った。
「……比較条件を整理します」
*
アルマ。
ケイトは環境観測部門の自席で、生物データベースの検索条件を広げ続けていた。
数千件の候補。
条件を絞る。
該当なし。
別の条件を加える。
百八十二件。
一つずつ、記録を確認する。
隣ではミアが、ケイトの除外した資料を別の端末で整理していた。
「これ?」
「違う。酸素代謝が前提になってる」
「こっちは?」
「温度依存性が高すぎる」
ミアが小声で呟く。
「……専門外なのに、恐ろしい速さで詳しくなってるわね」
「嫌な詳しくなり方だよ」
新しいファイルが表示された。
『アルマ原生極小微生物群 K-17』
ケイトの指が止まった。
「……待って」
ファイルを開く。
極小の微生物。
モップとは大きさも形態も、生息環境も違う。
しかし、ケイトの目を引いたのは、その生物そのものではなかった。
周囲の鉱物との相互作用。
K-17は特定の結晶表面に付着すると、内部活動が活発になる。
その仕組みはまだ完全には解明されていない。
ただ、結晶の微細な構造によって、エネルギーの受け渡しが変化することが観測されていた。
ケイトは別の資料を開いた。
モップの表面組織。
そこに見られる、不規則な微細構造。
二つを並べる。
「……似てる」
ミアが覗き込む。
「何が?」
「表面の構造。こっちの微生物が反応する結晶の並び方と、モップの皮膚の一部」
「同じなの?」
「違う。でも……」
ケイトは画像を拡大した。
「似た仕組みでエネルギーを受け取ってる可能性がある」
ミアが画面を見つめる。
「それって……」
ケイトはすでに端末を操作していた。
「ゾーイに送る!」
*
《アルマ原生微生物群 K-17の記録を見て》
ゾーイから返信が届いた。
《微生物? モップとは全然違うよ?》
《生き物自体は別。でも、表面構造に似た特徴がある》
《何かできる?》
《まだ分からない。現場の分析担当者に見てもらって》
ゾーイは端末を持って駆け出した。
「これ、見て!」
分析担当者が画面を開く。
最初は怪訝そうな顔だった。
だが、資料を読み進めるうちに、表情が変わった。
「……これなら」
「何?」
「モップが周囲からエネルギーを受け取る仕組みを、外から補助できるかもしれない」
「できるの!?」
「分からない。でも、試す価値はある」
分析担当者はK-17の実験記録を開いた。
微細な結晶構造。
その表面で生じるエネルギーの変化。
「必要なのは、特別な鉱物じゃない。表面の加工方法だ」
ゾーイが身を乗り出す。
「作れる?」
「施設の精密加工装置なら、近い構造は再現できる」
「お願い!」
「ただし、これがモップに作用する保証はない」
「分かってる!」
加工装置が起動した。
ゾーイは振り返る。
ノアはまだ床に座っていた。
トン、トン。
しばらくして、弱々しい返事。
トン、トン。
その音だけが、途切れずに続いていた。
*
一時間後。
薄い鉱物プレートが完成した。
手のひらに収まるほどの大きさだった。
分析担当者が確認する。
「表面構造は、できる限り再現した」
ゾーイはプレートを受け取った。
モップの前にしゃがむ。
「モップ」
トン、トン。
「これ、近くに置くね」
意味が伝わっているかは分からない。
それでも、いつものように声をかけた。
プレートを三十センチほど離れた床に置く。
一分。
二分。
変化はない。
五分が過ぎた。
分析担当者が首を振る。
「……反応しない」
「もう少し待って」
十分。
モップの内部活動は上昇しなかった。
むしろ、緩やかな低下が続いている。
ノアの指が止まった。
「……効かないの?」
ゾーイは答えられなかった。
*
ケイトに結果が届いた。
《変化なし。低下継続》
ケイトは椅子に深くもたれ、両手で顔を覆った。
ミアが静かに尋ねる。
「……違った?」
「分からない」
ケイトは顔を上げた。
「構造は似てる。加工もできてる。でも、反応しない」
「じゃあ、何が足りないの?」
「それが分かれば……!」
言いかけて、口を閉じた。
ケイトはK-17の実験記録を開き直した。
*
セレスティア。
《ダメだった》
ケイトからの知らせを、エリックは黙って読んだ。
横を通りかかったヘレンが足を止める。
「博士」
「何?」
「……何か考えられないか?」
「私は生物学者じゃないわ」
「でも、ずっとデータを見てただろ」
エリックはモニターを指した。
「そのプレートだって、物理的な仕組みなんだろ?」
ヘレンはしばらく画面を見つめた。
それから、エリックの隣へ腰を下ろした。
「……資料を見せて」
*
ヘレンはK-17の実験記録を読み始めた。
サイモンも隣へ来る。
「何を調べているんですか?」
「プレートが機能しなかった理由よ」
「構造が違うのでは?」
「その可能性もあるわね」
ヘレンは実験条件の一覧を開いた。
温度。
圧力。
結晶の組成。
照射条件。
そこで指が止まった。
「……これ」
サイモンが覗き込む。
「外部からの励起ですね」
「ええ」
K-17の実験では、結晶表面を再現するだけでは、十分な反応が得られなかった。
特定の周波数帯の弱い電磁的な刺激を与えたとき、初めて活性が高まっていた。
ヘレンが言った。
「プレートの形だけ作っても、動かないのかもしれない」
サイモンは記録を読み進める。
「……刺激の周波数と強度が重要ですね」
「そう。でも、K-17の条件をそのままモップに使うわけにはいかない」
「内部周期のデータがあります」
サイモンが別の画面を開いた。
モップが元気だった頃の記録。
その内部で繰り返されていた、規則的な変動。
ヘレンが身を乗り出す。
「この周期に対応する反応があるかもしれない」
「ただし、内部周期と外部刺激の周波数が同じとは限りません」
「分かってるわ。だから範囲を絞って、弱い刺激から試すのよ」
サイモンは計算を始めた。
「現地の分析担当者にも確認してもらいます。安全な照射条件を決める必要があります」
ヘレンは頷いた。
「急いで」
*
ケイトの端末に、新しいメッセージが届いた。
《K-17の実験条件を確認。結晶表面への外部刺激が必要な可能性あり》
続いて、サイモンがまとめた検討資料。
ケイトは一気に読み進めた。
《なるほど……!》
エリックから返事。
《分かるのか?》
《少なくとも、最初のプレートが動かなかった理由としては筋が通る》
《じゃあ、いける?》
ケイトは少しだけ手を止めた。
《まだ分からない。でも、試せる》
彼女はすぐにゾーイへ連絡した。
*
アルマ。
二つ目の試験が始まった。
最初のプレートを改良し、微弱な刺激を与えるための装置を組み合わせる。
分析担当者が安全条件を確認した。
「まずは最低出力から。モップの反応を見ながら調整する」
ゾーイが頷く。
「お願い」
ノアはモップの横に座っていた。
トン、トン。
返事は、ほとんど感じ取れないほど弱い。
「……まだいる」
ノアは小さく呟いた。
「まだ、ここにいるから……」
装置が設置された。
誰もがモニターを見つめる。
「開始する」
分析担当者が操作した。
微弱な刺激がプレートに加えられる。
一分。
変化なし。
二分。
やはり、変化はない。
「……出力を少し上げる」
「大丈夫なの?」
ゾーイが尋ねる。
「設定した安全範囲内だ。異常が出たらすぐ止める」
装置が調整された。
モニターの波形が、わずかに揺れた。
分析担当者が身を乗り出す。
「……待て」
「何?」
「今、反応したかもしれない」
再び、同じ条件で測定する。
小さな変化。
もう一度。
今度は、はっきりと内部活動が上昇した。
「……上がった!」
ゾーイが息を呑む。
「本当!?」
「上がってる! 測定誤差じゃない!」
分析担当者は急いで記録を確認した。
「刺激を止めると弱まる。再開すると、また上がる……!」
ゾーイはモップを見た。
小さく丸まった身体。
まだ動かない。
「……お願い」
分析担当者が慎重に条件を調整する。
モップの内部活動は、ゆっくりと回復し始めた。
ノアが床を叩いた。
トン、トン。
数秒後。
トン、トン。
今までより、はっきりした音。
ノアの顔がくしゃくしゃになった。
「……返した!」
ゾーイも床に膝をついた。
「モップ……!」
もう一度。
トン、トン。
モップから、確かな返事が届いた。
トン、トン。
ゾーイの目から涙が溢れた。
「……よかった」
声が震える。
「よかった……!」
*
一時間後。
モップの内部活動は、回復傾向を維持していた。
二時間後。
小さく縮んでいた身体が、ゆっくりと広がり始めた。
表面が柔らかく動く。
身体の一部が持ち上がり、周囲を探るように揺れた。
ゾーイは床に座ったまま、じっと待っていた。
「……モップ?」
身体の一部が、彼女の方へ向いた。
「……おいで」
モップが動いた。
ゆっくりと。
滑るように。
途中で一度止まり、また進む。
そして――。
ゾーイの膝の上に、そっと身体を預けた。
ゾーイは息を呑んだ。
温かい。
柔らかい。
モップの身体が、ふわりと広がる。
ゾーイは両手で、そっと包み込んだ。
「……おかえり、モップ」
ノアが涙を拭いながら笑った。
「よかった……!」
ゾーイも笑った。
「うん……!」
モップの身体が小さく揺れる。
トン、トン。
今度は、誰も床を叩いていなかった。
*
セレスティア。
《回復傾向。自力移動を確認》
ケイトからの知らせに、エリックは背もたれへ深く身体を預けた。
天井を仰ぐ。
ダニエルが隣から、冷めきった紙容器を覗き込む。
「冷えてるぞ」
「食う」
「温めろよ」
「面倒くさい」
「四十七光年先の生き物を助けるために徹夜して、自分の飯は冷めたまま食うのかよ」
「死なないからいいんだよ」
「モップも、最初は大丈夫だと思われてたんだろ」
エリックの手が止まった。
「……温めてくる」
「素直でよろしい」
*
アルマ。
ケイトは自席のキーボードに突っ伏していた。
ミアが覗き込む。
「寝たの?」
「起きてる……」
「泣いてるの?」
「泣いてない……」
「どっちよ」
ケイトは顔を上げず、くぐもった声で言った。
「……めちゃくちゃ疲れた……」
ミアは小さく笑った。
それ以上は何も言わず、温かいお茶をもう一杯淹れた。
*
セレスティア。
エリックは通信端末を開いた。
《ケイト》
《何?》
《……ありがとう》
アルマ。
ケイトは画面を見つめた。
《私だけじゃないよ。ゾーイもノアも、カーター博士も、みんなのおかげ》
《知ってる》
《ならよし》
少しの間。
《でも、ケイトが見つけたんだろ》
ケイトの指が止まった。
何と返せばいいのか分からない。
胸の奥が、少し熱くなった。
照れ隠しに、いつもの調子で打ち込む。
《モップに直接会いに行けばいいのに》
《どこに》
《アルマ》
エリックは苦笑した。
《47.2光年あるんだぞ》
《知ってる》
いつもの軽口。
そのまま笑って終わるはずだった。
だが、エリックはキーボードから指を離さなかった。
静かな保守区画。
少し離れた席では、ヘレンとサイモンが新しいデータを確認している。
エリックはゆっくりと文字を打った。
《……でも、会ってみたいよ》
送信。
*
アルマ。
ケイトは、その一行を見つめていた。
机には食べかけのパン。
使い慣れた端末。
静かなオフィス。
四十七・二光年先から届いた、飾り気のない言葉。
窓の外には、アルマの青い空が広がっている。
その遥か向こう。
目では捉えられないほど遠くに、エリックのいる惑星がある。
ケイトはしばらく空を見つめた。
そして、キーボードへ手を伸ばした。
《私も。》
*
セレスティア。
「……博士!」
サイモンの声が響いた。
ヘレンが振り返る。
「どうしたの?」
「新しい補正記録です」
画面には、セレスティアの標準時計の補正量が表示されていた。
『+49 ns』
ヘレンは目を細めた。
「……また動いたのね」
サイモンが頷く。
「ええ。直前まで+46ナノ秒付近で推移していました」
「アルマ側は?」
「最新の記録を依頼しています」
ヘレンは別の画面を開いた。
モップの内部活動。
回復を始めた波形。
そして、セレスティアの時計の補正履歴。
二つの記録を見比べる。
サイモンが言った。
「……モップが回復した時期と、こちらの補正量が変わった時期が近いように見えます」
「ええ」
「ただし、惑星間の記録を同じ時刻として直接比較することはできません」
「分かってるわ」
ヘレンは画面を見つめ続けた。
「それでも、調べるべきことが増えたわね」
「何をですか?」
ヘレンはモップの波形を指した。
「私たちは、この子の内部で起きていることを、生命活動の異常として見ていた」
「はい」
「でも、もし……」
ヘレンは言葉を切った。
サイモンが待つ。
「この子自身ではなく、この子が置かれている環境の方が、変わり始めているのだとしたら?」
サイモンは黙った。
ヘレンは星図を開いた。
セレスティア。
アルマ。
四十七・二光年離れた、二つの惑星。
「時計の異変も、モップの変化も、まだ原因は分からない」
ヘレンは静かに続けた。
「でも、私たちが測っているものが、本当に時計だけの問題なのか……」
サイモンが小さく息を吐いた。
「……確認する必要がありますね」
「ええ」
ヘレンは二つの惑星を見つめた。
「もしかしたら、私たちはまだ、何が変わっているのかさえ分かっていないのかもしれない」
(第十一章 了)




