⑥ 異世界は猫と共に ~システムエンジニアは失われた古代の魔法理論を解析し、魔法具界に革命を起こす の感想
媒体:なろう
書籍化するようなので「一円以上のお金を稼いでいる人」の作品とみなします。
個人の評価としては――「最高級食材を使用しておきながらマズイ(低い)」です。
一応のあらすじ。
ある晩、平凡なジャパニーズSEが飼い猫ちゃんと一緒に異世界トリップしましたとさ。
またも期待値の高さが致命傷を齎す作品です。
SEとか猫とか最高級食材以外の何でもありません。
タイトルとあらすじを読んで一体どんなコースメニューが振る舞われるのかなと心から楽しみにしていたというのに、――過剰過ぎる期待は初っ端から裏切られます。
真っ先に突っ込みます。
自然と動植物をリスペクトしている筆者目線からすると、飼い猫を「購入」しているヒーローなど好きになれない人種です(※ペットショップに行く人がダメなのではありません。本作品のヒーローだからダメだと言っています)。
例えば、人様から「仔猫がいっぱい産まれたから一匹貰ってくれ」と乞われたとか、或いは他に保護猫を複数飼っている(飼っていた)とかって設定があれば印象はガラッと異なっていました。
しかし残念なことにこのヒーローはサンシャイン池崎ではありません。
更に残念なことに、ヒーローよりも先に猫が戦力として開花するというストーリーが繰り広げられます。
全く意味が分かりません。
ヒーローに課せられた使命は、自分に巻き込まれてしまった飼い猫を養う為に身を粉にして働く事、以外に無い筈です。
猫が戦えるのであれば人間のヒーローなど不要です。
転移した猫が異世界でスーパーキャット星人に大覚醒し、悪の大魔王とかをタコ殴りにする話、で一向に構いません。むしろそれ読みたかった。
本作品は飼い猫をヒーローの便利ツールにする話です。
作中で、どっかの神様がヒーローから引き離すのは可哀そうだからと猫をヒーローと一緒に転移させてくれたに違いない、というような憶測が出てきます。
ここ、何言ってるのか本気で意味が分かりませんでした。
分かる方、ぜひ解説して頂けないでしょうか。
なんでヒーローと引き離す事が猫にとって不幸になるんでしょう。
筆者がその神とやらなら猫の転移先は絶対に「猫好きの億万長者の膝の上」にします。
なんでしょうね。この作者、まさか猫に恨みでもあるんでしょうか。
猫を題材にしている癖に猫への愛情がさほど感じられないのは気のせいでしょうか。
実に奇妙な事に、まるで猫を飼った事の無い人間が想像で書いているかのような文章と思えるのです。
以前の感想にも書きましたが、本作品も猫の描写が乏しい。猫がヒロインの話の筈。有り得ない事です。
でも一番は「なんで猫にした」です。
犬ならきっともっと違いました。ワーキングドッグだとまあ理解は出来たと思います。それはそれで好きじゃないですけど(なんで異世界に来てまで人間の為に働かされてるんだと結局思ったでしょう)。
よりによって人間に忠誠心などない猫が人間の為に体を張っているから奇怪極まりないのです。
薄々察してはいます。
哀しい事に、作中では理想の猫が描かれているのでしょう。
妄想キャットです。とにかく可愛くて、迷惑にならないどころか飼い主を助けてくれる都合のいい存在です。
まんま都合のいい恋人です(作中、猫の事を「デキる女」と表現している)。
一話目から早速ヒーローの人物が残念なばっかりに話が全然入って来ません。
作中の猫は大変愛くるしいのですよ。文句なしにキュートです。
だからこそ哀れ。飼い主の為に頑張る羽目になっちゃって可哀そうにと読みながら頭を占めるのはそれだけです。
彼女(猫)はご褒美チュールの無い異世界でずっと苦労して生きていかなければならないのです。こんな哀れな猫の人生ありません。
もうヒーローが国王にでもなって城の天辺に猫を住まわせるくらいの事をしないと猫の割に合いません。
せめてヒーローがアルゴリズム体操をしている間、猫はその辺の絨毯でごろごろ昼寝とかしている事を願ってやみません。
猫に熱が入るあまりヒーローの話が全然出来ません。
いや正直この動きの無いヒーローはあまりにも存在感が無い。退屈なのでそれほどコメントは無いです。
そもそもどういう人物なのかがハッキリしません。礼儀正しいのはアラサー社会人なら当然であり別に褒める程の事でもありません。
ついでに言うと、やけに聞き分けがいいヒーローです。不自然なほどに(いえいえ分かっています。作者命令ですよね。駄々こねてたら話が進みませんもんね)。
悪い意味で掴みどころがありません。意外性ナンバーワンのナルトとは違います。
このヒーロー、余程の偉業を成さない限りどこまで行っても猫のおまけです。果たして最終話が終わるまでにおまけから抜け出せるのでしょうか。
余談ですが、作中に可愛い動物とか小さい子供とかが高頻度で出て来る作品は相当注意が要ると思いますよ。
なにせ全部持っていかれますからね。
愛くるしい存在が癒しを与えてくれる反面、一瞬にして主人公を空気に変えてしまいます。錬金術です。錬成陣不要のエルリック兄弟です。
風呂のエピソードに一点、突っ込み入れておきます。
風呂の湯に浸かったからといってお肌はしっとりツヤツヤになりません。かえって乾燥します。まあ女性読者陣には常識ですよね。
あと商品ロゴのエピソード。
黒モノ家電に横向きに座る猫のシルエットと斜体の明朝を配置……。
すみません、この組み合わせだけで作者のセンスが大体分かります。下手したら持ち物の見当まで付いてしまいます。漏れても良い程度の個人情報ならば結構です。他の作者にも言える事ですけど。
そしてフォントとかイラストとかって概念無い人達に、何故か素人のラクガキで思いが伝わってしまう魔法を超えるテレパシーが炸裂ですね。これも他の作者にも言える事ですけど。
とりあえずラクガキはゴミ箱に捨ててゼロからアーティストに手掛けてもらいましょう。デザイン料をケチらないで。きちんとしたプロならきっと素人のデザイン案を秒で「却下」してくれます。やなせ先生も言っています。
このロゴ、コミックで良きに計らってもらえると良いですね(もしロゴ制作の難易度の高さを知っている漫画家だったら――もう同情しかありません)。いっそエピソードごと消してあげては。
さて本作品、筆者は前半部分まで読み終えてその先に進めていない足踏み状態です。
これから面白くなっていくのはなんとなく分かっています。
SEが机上で本気を出せば面白い発想が出来るって事は承知していますとも。
承知の上で一時停止します。
コミックになるのならそっちで読み進めます。もしかしたら違う展開が待っているかもしれませんし一縷の望みをかけたいと思います。
まあ出だしが原作のトレースだったら結局ドロップアウトする事になりますけども(その可能性があるから未完作品でも(前)としていません)。
原作の感想は、以上です。




