62錬金目、サクラの妹を作る
カイトは、同じ古都内にある中華大衆食堂「悠」を実に美味だと紹介し炎の教会を後にした。
「ただいま」
「おかえりなさいませ。御主人様」
「お兄ちゃんおかえり」
サクラとカーラの出迎えで、俺は店に入る。
「大人しくしてたか?」
「カーラ、サクラお姉ちゃんに文字や計算を教えて貰ってたの」
「カーラ様は、実に覚えが早く教え甲斐がありますわ」
「えへへへへ」
ほぉ、元々親が商人の子だ。文字や計算が普段から傍にあってもおかしくない。
冒険者なんか、簡単な文字は扱えても計算が出来る者なんて片手で事足りるだろう。
「そうか、偉かったな。ちゃんとサクラお姉ちゃんの言う事を聞くんだぞ」
「うん」
カーラの頭を撫でると、満面な笑顔で頷いた。
「御主人様、またこれから何処かへ行かれるんでしょうか?」
「何処かというか【素材の次元鞄】の中へ。言ってたじゃないか。妹が欲しいと」
「あっ…………ありがとうございます」
サクラの妹を創る事と平行で飲食店の開店を目指して、従業員を確保しないといけない。
今現在、俺・サクラ・カーラ・イレイヤだけでは全然足りない。
よって、従業員も創る。本来、作製不可能とされる遺物の1種である自動人形。外見・肌触りは人間と遜色ない。
人間と違う事は持ち主のみの言う事しか聞かない事。あくまで作製不可能の魔道具という括りだ。
「よし、媒体水槽に【命の水】で満水にしてと」
カイトの手元に赤い石が握られている。この赤い石こそ、錬金術師の職業の到達点の1つである【賢者の石】だ。
錬金術の様々な物質の代用となり得る高エネルギー体である。これを作る事が錬金術師の第一目標とされるが、何にでもなれて、しかも使っても無くならない。
所謂、永久機関を体現したような最強の鉱物である。俺は偶然作る事が出来た。
自覚は無かったが、黄昏になった途端に頭に作り方が浮かび作って見たら作れた。
そして、今【賢者の石】で巨大なガラスで出来た水槽に注いでいるのが人造人間を育てるための【命の水】だ。
薄い赤い水で、これが人造人間が育つための栄養となる。
そこに人造人間の核となる一円玉くらいの大きさである【命の種】を放り込めば、後は1週間くらいでサクラくらいには育つ。
【命の種】の材料
酸素60%、炭素20%、水素13%、窒素3%、カルシウム1.5%、リン0.5%、イオウ0.75%、カリウム0.2%、ナトリウム0.15%、塩素0.15%、マグネシウム0.15%、鉄0.009%、フッ素0.004%、ケイ素0.003%、他にごく微量の20元素。
そこに数滴自分の血を垂らして、最後に【賢者の石】で錬成すると出来上がるが、一般の錬金術師には無理だ。
材料を用意出来ても【賢者の石】というピースがないからだ。カイトでも何故【賢者の石】が出来たのか理解出来ていない。
もう一回作ろうとしても成功するか不明。材料もどうやって調達したのか良く覚えていない。
だから、今現在で人造人間を作製出来るのはカイトのみとなる。【賢者の石】もカイト以外の者が手にしても反応せず、ただの赤い石と化す。
それにこれで人造人間を造るのは打ち止めだ。
黄昏になった時に人造人間は、世界に3体までしか存在してはいけない。4体目を創造された後に世界は滅ぶと頭の中に声が響いて来たのだ。
ただし、カイトはサクラと今作製中の2体しか作っていない。だが、カイトの直感で3体目は造ってはいけないと警報を鳴らしている。
それが事実なら3体目の人造人間が何処かに存在してる事になる。何処にいるのか不明だが、確実にいるとカイトは確信している。
「育つまでに時間が掛かるからな。その間に自動人形を作ろう」
自動人形は、いうなれば土人形の最上位に位置する。
土人形は、錬金術師の専売特許だ。の………はずだが、どうやら廃れてしまったようで、今現在で土人形を創れる錬金術師は少ない。
だから、自動人形も自然的にアーティファクトとして数えられるようになってしまった訳だ。
「それでも自動人形を作れる様になるのは最上位錬金術師からなんだけどね」
土人形は一体に付き1つしか命令をインプット出来ないが、自動人形になると造り手の腕に左右されるが、理論上何個も命令をインプット出来、複雑怪奇であればあるほど値段が跳ね上がる。




