60錬金目、異世界大図書館
カイトも自分が作ったカレーを食べてみる。ぱくっ、モグモグ………うん、やはり日本人に産まれて来て良かった。もう日本人ではないけれど。
それに骨身に染みるとは、正にこのことだ。転生又は転移した時に1番困るのは食事だ。
大抵、味付けは薄く塩味が多い。肉はスジが多くて硬い。魚は冷蔵・冷凍技術が未発達なため漁村に行かないと食べれない。
発酵も未発達で、酒造は領主の元で管理され独占。チーズに関しては【白の奇跡】と呼ばれ、とある魔法使い組織に独占されてる状態だ。
醤油や味噌なんかは、もちろん存在しない。が、それはこの世界ではだ。俺が【素材の次元鞄】内にて作ったりしている。
「これなら合格だ。ボクの加護を与えよう」
「ふぉっほほほほ、儂からも授けようとするかのぉ。加護は無理だがの」
料理神から加護と創造神からは【異世界大図書館】《エクス・マギナ》という魔法技能を授かった。
「えっ?!」
「うそっ!」
「そんな馬鹿な!」
「信じられん」
「創造神様、本当に良いのですか?」
「流石わや。ワイが選んだカイトくんや」
「うわぉ、面白くなりそ」
創造神がカイトに授けたものが信じられないと創造神に目を向ける神様女神様が大半。錬成神と料理神だけは期待の眼差しをカイトに向けていた。
「ふぉっふぉふぉふぉ、なに今宵の黄昏が持つべきものと判断したまでじゃ。それに邪神の封印はたまた討伐の手伝いにもなろうて」
邪神という言葉が出た途端、何故か冷や汗が額から地面へ伝い落ちる。邪神という言葉は知らないが、元々備わっている本能で、それは恐怖の対象だと理解した。
「じ、邪神とは何ですか?」
「おや?まだ言って無かったかのぉ」
創造神の説明によると、邪神とは…………かつて、もう1柱いた遊戯神の成れの果てだという。
名前の通り、遊びを司る神で遊戯神がいた頃は子供から大人まで仕事以外の時間で遊んでいたという。
だが、ある日を境に遊戯神は下界の人々を駒として戦争という遊びを始めたという。
そこで見兼ねた今ここにいる神様女神様達のお力で、遊戯神の身体を各パーツに分裂させ、下界の各地に封印した。
だが、その封印も解け切っているという。神様女神様は、下界に干渉出来ない。なので、2年後の職業の儀をやる転生者をサポートして欲しいという訳だ。
「俺が封印又は討伐をやってはいけないのですか?」
「うむ。お主も強力な職業の持ち主だが、時間稼ぎにしかならんだろう。何故なら、とある職業の攻撃しか効かんのだ」
それなら確かにサポートに回った方が良いだろう。その職業が何なのか気になる。
「その職業とは?」
「儂の口からは言えん。遊戯神…………もとい邪神を封印する時、何十もの条件を付けたのじゃ」
封印魔法は1つだけではない。複数あり、難易度もピンからキリまである。
その1つが条件を付与して強度を強化するものがある。条件の数が上がるに連れ難易度も跳ね上がるが、絶大な鉄壁が完成する。
「それなら封印されている場所も言えない訳ですね」
「話が早くて助かる」
弱点が言えないとすれば、次は場所が思い付くのは自明の理。でも、そこで役に立つのが、先程創造神様から頂いた【異世界大図書館】だ。
おそらく、弱点や場所が載っている本がある可能性がある。いや、絶対にある。
「カイトくん、大変な使命やけど堪忍しーや」
「錬成神様、ありがとうございます」
確かに大変そうだけど、良くある異世界転生もので王様から魔王討伐と言われるよりは、何処か現実感がある。
「もうそろそろ時間のようじゃ」
「また教会に来ーや」
「ねぇ、本当に加護いらない?」
「カイトくんの料理楽しみにしてる」
「商会の方もどうか頼みますわ」
「土精族とも仲良くやってくれや」
意識が遠のくと、祈りの動作をしたまま神様女神様の像の前にいた。どうやら、元の世界に戻って来たようだ。
「おっ、カイト目が覚めたか」
「天使様」
「ヘスティアと言ったであろう」
「ヘスティア」
俺が再度呼び改めると、満面な笑顔で満足そうだ。露出が激しい服装もあるが、こんな美少女に笑顔向けられてドキドキしない男は存在しない。
「俺、どれくらい祈ってました?」
「ほんの10分程度よ。それでどうじゃった?会えたのか?」
「ありがとうございます。お会い出来、俺の使命を確認出来ました」
「そうかそうか、それは良かった良かった」
祈りの間から二人して出ると、レオが仁王立ちで睨みを効かせていた。




