58錬金目、神界
八体の神像の前で炎の天使ヘスティアが膝を付き、手を合わせ目を瞑り、祈りを捧げ始めた。カイトも見様見真似で、祈りを始める。
どれくらい時間が経ったのだろうか?ただ、目を瞑り祈っているだけなのに誰かから視線を感じる。そっと、目を開けると…………そこは先程いた祈りの間ではなかった。
白い空間なのは似ているが、祈りの間よりも神秘的で清浄な空気が常に漂っている。ここが聖域と言われたら確実に信じる。
「目を開け頭を上げたまえ」
耳に届いたのではなく頭に直接響いて来る。
声の言う通りに目を開け、頭を上げて見た物は祈る前に見た神像と瓜二つな人?達が座っている。
「ここは?」
「ここは神界じゃよ。お主がカイトじゃな?」
直感で分かる。1番真ん中に座っている髭が長い老魔法使いみたいな方が創造神だと。
「はい、お――私めがカイトでございます」
「よいよい、何時もの口調で構わん。して、お主と話してみたかったのとお願いあって、炎の天使に連れて来させたのじゃよ」
俺にお願い?
目の前で神様にお願いがあると言われ、心臓がバクバクと高鳴らない者などいるだろうか?
もう俺の心臓なんて、今にでも破裂しそうな程に五月蝿く響いてる。
「それで、俺にお願いとは何でしょうか?」
「うむ、今から2年後に職業鑑定する幼子をサポートして欲しいのじゃよ」
2年後………俺は15歳になっている。
今、この時でも冒険者と錬金術師として働いているから問題ないと思うが、自信はない。
「それで、その幼子とやらは誰なのですか?それにサポートとは一体何をすれば?」
「うむ、カイトお主と同じく転生者じゃよ」
転生者?
転生者と聞いた途端に頭が痛くなった。頭に直接こことは違う世界、自分とは違う自分の情報が一気に流れ込んで来た。
「ハァハァ、これは一体?そうだ、俺は日本という国で死んでいる?」
「思い出したようじゃの」
「カイト君を転生させたのは私、運命神よ。まだ、黄昏になっていなかった頃に呼んでいたら耐えら無かったわぁ」
創造神から1番左端に座っているのが運命神。ギャルぽい見た目で、胸元を強調してるような服装を着ている。
そして運命神から1席戻って隣が魔法神、ほぼ下着に近い服装で、それでいてグラマーな体型で目のやり場に困る。そんな魔法神からも声を掛けられる。
「興味深いね、君。魔法の適正は少ししかないのに錬金術で魔法を再現するなんて、ねぇ私の加護要らない?」
カイトが使える魔法は、収納魔法しかないが、技能の【黄昏】と自覚は無かったが前前世の知識である程度の魔法を再現・無効化出来る。
「グッハハハハ、それを言うなら剣もそうだろうよ。剣の能力を最大限引き出し、他の者の技を模倣して更にそれらを昇華させるとは、アッパレだ。俺の加護を与えるべきだろ」
創造神と魔法神の間に座るのが、剣神。筋肉隆々なガタイが良い男の神で上半身は何も着ておらず、筋肉を常に見せ付けてるようだ。
笑う度に胸筋がビクンビクンと動き、一部の女性ならキャーと黄色い声を挙げるかもしれないが、俺は男で何も嬉しくもない。
「何を言ってりゅーねん、お主ら」
魔法神と剣神がバチバチと言い争ってるところに他の神から待ったが掛かった。
その声にカイトは、何処か親近感を覚えてならない。それもそのはず、創造神の隣に座って居られるのは何を隠そう、カイトが所持してる加護である錬成神なのである。
「カイト君はな、ワシの加護を持っているちゅーねん。お主らの加護なんか要らんわ」
加護?俺が持ってる加護は1つだけ。
「貴方様が、錬成神様でありますか?」
「そうや、ワシが錬成神や。よろしゅーな、カイト君」
前世の記憶を思い出した事により関西弁だと分かる。分かるが、何処か胡散臭い。それでも、錬成神の加護を持っているからか?何処か親近感が湧いてくる。
「錬成神様のお陰で、黄昏になる事が出来ました」
今日を逃せば、もう二度と会えるかは分からない。だから、この際にお礼を言っておく。
「カイト君が、努力した成果や。過去に黄昏へ至ったんは100人位か?」
微妙に多いのか少ないのか分からない人数。まぁ他の職業の最上位職の比べると少ないのだろう。
「そんな事は置いといて、ワシからプレゼントがあるんや」
錬成神から手渡されたのは目玉程ある鈴である。一見、タダの鈴と思いきや物凄いオーラ的な力を感じる。
「それはな【神々の呼び鈴】と言ってな。我々、神がカイト君に用事がある時に鳴って知らせてくれるんや」
「直接は話せないんですか?」
「《天使》以外にお告げは禁止になっておるのでな」
【神々の呼び鈴】を受け取ると、何処から兎も角、背後から声が聞こえた。
「いやー、美味しかった美味しかった」




