57錬金目、炎の天使ヘスティア
天使とは職業の1つである。
聖職者系女性用最上位職業とされ、まだ職業を持ってない女子が教会へ仕えると《巫女見習い》になれる。
そこから《巫女》→《聖女》→《天使》となれるが、《天使》は世界に7人しかおらず、それぞれ各属性につき1人となっており、各属性教会に1人ずつ在籍している。
教会に仕えると《巫女見習い》になれると言ったが、ずっと《巫女》に昇格しないままでいると下女として扱われる事になってしまう。
「天使様、お初にお目にかかります。黄昏のカイトと申します」
「そう畏まらなくても良い。神のお告げにより、お主をもてなすよう言われておる。それに………お主の方が職業としてのランクは上じゃろ?」
「そんな」
そんな事はないですと言おうとしたが言葉が出てこなかった。
「そうだ、まだ名前を教えていなかったな。我の名前はヘスティアだ」
「ヘスティア様、この度は案内してくださりありがとうございます」
「呼び捨てで良い」
いやいや、ここでそんな事をしたら首が飛びかねない。その証拠に、ここを通る聖職者らしき人達や純白な鎧を着てる騎士らしき人達が、例外なく見ているのだから。
「では、せめて2人きりの時にお呼び致します」
「うむ、よかろう」
噂程度だが、天使は教会の最高戦力とされる。ただし、メリットがある反面デメリットも存在する。
その巨大な力を得る代わりに、その教会が設置してある街からは出る事は出来ない。ただし、神の許可が降りれば、その限りではない。
「祈りの間はあっちだ」
「あれ?さっきの人と逆のような?」
「あぁ向こうは一般の信者用だ。お主………カイトは黄昏だからな。我、天使と上位な聖職者しか入れない祈りの間で行って貰う」
炎の天使ヘスティアを着いて行くと徐々に空気が澄んできてるような、神秘な聖域に入り込んだような不思議な感覚が強まって来てるような気がする。
「お嬢、ここに居たんですか」
「レオン、お嬢は止めいと言ったであろう」
「あっははは、俺からすれば………お嬢はお嬢なんて勘弁してくだせい。それで、そちらの御仁はどなたです?」
「神のお告げがあったと言ったであろう。黄昏のカイトだ」
レオンと呼ばれた男は3mくらいはある。それに特徴的なのが、その顔だ。人間のそれじゃなく、ライオンの顔なのだ。
話には聞いていたが、実際に見ると驚愕を禁じ得ない。彼が十二守護騎士の1つ、獅子宮団団長である《獅子王》レオン。その背中にあるのが神器の1つ、神斧レオ。
「お初にお目に掛かります。黄昏のカイトです。レオン様の勇姿はお聞きしております」
「ガッハハハハ、黄昏であるカイト殿にそう言われると逆に萎縮してしまうわい。それにカイト殿、俺よりも強いだろ?」
純粋な力勝負なら明らかに《獅子王》レオンの方が有利だろう。だが、搦手を使えば、どう転ぶか分からない。
「いえいえ、こちら生産職なので戦闘職の方々には勝てません」
「うむ、純粋な力勝負なら俺の方が上だろうな。だが、搦手を使ったらお前が勝つ。違うか?」
「やはり、そう思うか?我もそう思っていたところよ」
「ヘスティア様まで!」
2人に言われたら勝てない。もう苦笑いをするしかない。
「ガッハハハハ、まぁ良い。それで、ここまで来たという事は、上の祈りの間まで行くのであろう?そこまで俺が護衛をしよう」
教会内だから護衛は必要ないと思うのだが、ここは大人しく従っておくべきか。それにしてもレオンは大きい。まるで、俺が子供みたいだ。
話で聞くだけのと実際に目にするのでは大違いだ。それに【鑑定】をしなくとも鍛え上げられている事が分かる。一騎当千という言葉が実に良く似合う御仁だ。
「ここよ。この扉の先が我も使っておる祈りの間だ」
「扉の前で待っております」
見ただけで圧倒されてしまう一切の曇りもない純白であり、神秘的な彫刻が施されている門が開く。
「ここが祈りの間」
部屋の中も純白で、1番前に神々の像と思わせる石像が鎮座されている。
1番真ん中の石像が何となくだが、1番偉そうな感じに見える。立派な顎髭を携え身長近くほどある杖を構えてる。
そして全部で八体あり、1番左端の石像に親近感を覚える。多分だが、あれが錬成神なのだろう。錬金術を司る神なだけであってポーションらしき瓶を持っている。
「我も毎日ここで祈りをしているのだ」
「そんな神聖な場所に俺を入れても良いのですか?」
「神のお告げがあったのじゃ。ここにお主を連れて来るようにと」
えぇっ?意味が分からん。何故、神々は俺を呼んだのか?




