56錬金目、炎の教会
カーラは文字の読み書き計算が出来ないので、これから至急サクラに教えて貰う事になった。その代わりにサクラが珍しくお願いしてきた。
「御主人様にお願いがあります」
「うん?なんだい?」
「ワタクシ、妹が欲しいのであります」
「うん?妹?妹って、あの妹だよね?」
「はい、あの妹であります」
俺、まだ結婚してないんだけど?どう作ろうって………あっ、錬金術………錬金術があった!突然の事だから頭が真っ白になってた。
「人工人間の妹か!」
「他に何がありますか?」
めっちゃ恥ずかしい。穴があったら入りたい。そうだよな。俺は黄昏なんだ。錬金術で作れば良いんだ。
「もう1つ御主人様にご提案があります。七属教会に行かれては如何でしょうか?ここ古都にもあったかと存じ上げます」
セシリーも言ってたが、古都には本教会の1つである炎の教会がある。随分と行ってない手前、行きずらいのが本音だ。
「どうしても行かないとダメか?」
「強制は致しませんが、行かないとダメな気がします」
「直感か?」
「直感です」
直感と言われ、真面目に聞く人間がどれくらいいるだろうか?ほぼ皆無だろう。だが、サクラの直感はバカに出来ない。
「わ、分かった。行ってくる。その間、留守番を頼む」
「はい、行ってらっしゃいませ」
属性教会の建物は、王城でない限り1番大きい建物が属性教会だ。純白の中に属性毎に違う色が塗られている。聖職者が着る祭服は純白で統一されており、唯一位を判別するバッチだけは黄金である。
「ここが古都の教会、炎の教会か」
炎の教会は、純白の中に緋色の線が走っている。遠くからでも目立ち迷う方が難しい。
祈りが終わった信者だろうか?正門までの階段で擦れ違う。教会に来る理由は、大きく分けて5つある。
1つ目は、祈りだ。お布施を払い、神に向かって祈る。稀にお告げがあるらしいが、眉唾物だと誰も信じてくれない。が、それを聞いた者が神父や巫女だと話は変わって来る。
2つ目は、懺悔だ。こちらもお布施を払い、神父や巫女に対して罪を償う。罪を背負ったまま死ぬと地獄に行くと信じられており、懺悔をする事により罪を浄化する場面だ。
3つ目は、聖水を買うためだ。唯一、教会が聖水を独占で売っている。唯一、聖職者系職業が聖水を作る事が出来るという。
4つ目は、呪いの浄化だ。アンデット系やレイス系の魔物から呪いを受ける事がある。
一般の回復者では治す事が出来ず、聖職者の浄化のみ有効なのである。
5つ目は、職業選定の儀。貴族の5歳になった子供が属性教会。それ以下の庶民が支部教会で職業を鑑定してもらう。
「遠くから見えていたが、大きいなぁ」
古都の領主の館より大きいかもしれない。いや、絶対に大きい。下手したら王族よりも権限があるのが教会だ。
そんな権威を維持するのに手っ取り早く見て分かる形が、教会の大きさだ。これを見たら誰だって圧倒されてしまう。
それに王族の財源が税に対して、教会はお布施という名の寄付だ。前者が強制というのに対して後者は自分の意思で払っている。
強制と自分の意思では、どちらが良い印象を持てるだろうか?もちろん後者だろう。よって、王族も教会には下手に逆らえないでいる。
「ようこそ、おいで下さいました。こちら、炎の教会となります」
「祈りに来た。これは、お布施だ」
お布施の相場は、来た目的によって違うが祈りの場合は、属性教会が金貨1枚、支部教会が銅貨2枚となっている。
「こちらへどうぞ」
お布施を渡し下女らしき年配な女性に案内される。暮らしは裕福ではないが、教会ほど安定して暮らせる場所は中々ない。
「あっ!やっと来た」
下女にされて数秒後、この教会に響く声の持ち主は、これから祈りの部屋へ繋がるであろう廊下の反対側の階段上から聞こえた。
「これはこれは、炎の天使様ご機嫌麗しゅう」
「天使?」
見た感じ二十歳に行くか行かないかの若さで、ギリシャ神話で纏っていそうなキトンという白い布1枚を身体に巻き付けてあるような露出のある衣服を着ており、背中側はバックロスというべきか完璧に空いている。胸元も豊満で少しでも動いたら見えちゃいそうだ。
髪はボブカットで深紅の赤髪で、実際に燃えてるかのような錯覚を覚えるほどだ。
「そなたが黄昏のカイトであるか?」
「えぇそうですが」
「神のお告げにより、そなたを待っていた。カイトは、我が案内する故、仕事に戻ってよいぞ」
「失礼致します。炎の天使様」
元々俺を案内するはずだった下女は、頭を下げると速やかに去っていった。




