第16話 修行3日目 無属性魔法とは
「無属性魔法というのは今まで殆ど確認されていないレアな属性なんやけど、文
献によれば全ての属性を兼ね備えとるらしいわ」
「俺にとっちゃ魔法自体が初めてだし、ましてや属性とか言われてもピンとこな
いな」
「そうか、そんなら教えるのはそう難しくないわな」
昨日京矢とピッポの属性が分かったので2人は別々に次の修行に入っていた。
その為:京矢には魔導騎士団の団長マドラがついて教えていた。
「そう言えばマドラさんは属性何なの?」
「妾か?妾は火・氷・蘇生の3つの属性や」
「氷?蘇生?火は解るが他の2つは何だ?」
「属性は6大属性の他にも属性がある事は知っとるやろ?」
「ああ、それは聞いた」
「その2つは混合魔法いうて、氷は水と風の混合属性で蘇生は土の混合属性なんよ」
「そう言えばピッポは時間魔法だったか」
「混合魔法が使えれば上位魔法でなければ元の属性魔法が使えるでな、それで妾は
5つの属性が使えるという事になるんやわ」
「すげえじゃねえか!だから団長にも成れたんだな」
マドラは興味が無いような顔で話を続けた。
「まず、お主の場合はすべて使えるのか、それとも全く性質の違う他の属性になる
のか確認せねばならんからな、まずは妾が行った魔法を真似してやってみよ」
「了解!続けてやれば良いんだな」
マドラは基本的な魔法を次々と京矢にやって見せた。京矢はそれを真似て魔法を
出していく。
「凄いな。やはり無属性というのは全てを使えるという事なのやろか」
「そうだな。お前がやった魔法を見た後、何か頭に魔法のやり方が頭に浮かんで
来るんだ」
「という事は見た魔法はすぐ出来るようになるという事か。けれど自分から新た
な魔法が出て来ないという事は・・・」
「どうしたマドラさんよ、早く次の魔法見せてくれよ」
「キョーヤよ、お主今のところ新たな魔法は頭に浮かばんのか?」
「え?魔法を見ないと何にも浮かばないよ」
「そう言う事か!お主は見た魔法を真似ることが出来るんや」
「真似ができる!?」
「透明なのは全ての属性が出来るんやけど、見た魔法のみが出来るという事な
んやな。だとすれば兎に角色々な魔法を見て行けば、物凄い魔導士が出来上が
るやもしれぬな」
マドラは京矢をまじまじと見つめながら熱く語った。
「見るだけで良いのか、じゃあここからの修行はどうなるんだ?」
「知れた事よ!」
するとマドラは京矢の腕を取り空に飛びあがった。空中で何やら呪文を唱えると
急激に空中を移動した。
「おい!何をするんだよ。っていうかどこ行くんだよ」
「黙って妾にしがみついておれ」
暫くすると行く先に多くの煙が立ち込めているのが見えた。どうやらあそこに
行くつもりらしい。マドラは着地点を見定めて進路を取り直した。そこは戦場の
最前線らしく多くの兵士が蠢きあっていた。
「おいおいマドラさんよ何て所に連れて来るんだよ」
「お主は魔法を見ればすぐ覚えられるんやから戦場に行くのが最善策やろが。ほ
れ、さっさと覚えればすぐ帰れるで」
「なんだと!ったくなんて事考えやがるんだ。でも見るだけで修行になるんだっ
たら見てやるよ」
マドラは土塁を盛って防御壁を作って京矢が落ち着いて魔法を見る場所を作っ
た。京矢はその中で目を凝らして必死に魔法を見て覚えて行く。
「なあマドラさんよ。ここだと人が多すぎるし動きが速いから魔法覚えづらいん
だが」
「そうか。ならば一度後方に移って戦況を見直して拠点を探すとするか」
そう言うや否やマドラは京矢を抱上げ後方に移動した。
「マドラさんやお願いがもう一つ有るんだが」
「なんじゃ?」
「連れて行ってくれるのは嬉しいんだが、移動する時はひと言言ってからにして
欲しいんだよ」
「怖かったのか?」
「そうじゃねえ。急すぎて体がびっくりするんだ」
「そうならば仕方がないのう」
2人が話をしていると指揮官らしい姿の兵が声を掛けてきた。
「マドラ様。今日も来られていたんですね」
どうやらミランダがマドラの姿を見かけて駆け寄ってきたみたいだ。
「ミランダか。今日は京矢の修行だったんやけどな」
マドラはざっくりと経緯をミランダに話した。
「そうだったのでしたか。キョーヤ様もご苦労様です。ゆっくり見て行ってくだ
さいね」
「ここはエルフ連合の戦場だったんだな。という事はカタリナとスレインもいる
のか?」
「スレインさんは今は士官の詰め所でお休みになられていますわ。カタリナさん
は後方で兵士の治癒をされているかと。2人に会って行かれてわ?」
「いや邪魔になるといけないんで会わないでおくよ。それにすぐ移動しなければ
ならないしな」
「そうですか。お二人とも喜びますのに」
「キョーヤには時間が欲しい。アイヴァンとの戦いまでにどこまで魔法を覚えれ
ば良いのか解らんしの」
「マドラ様それではキョーヤ殿を宜しくお頼みします」
京矢達は暫く戦場で魔法を覚えた後、他の戦場に飛んで行った。
それから2つ程戦場を廻った京矢達はケルフェウス山のロッヂに戻ってきた。
「お帰り、どこかに行ってた様だがどうだった?修行の方は」
「その件についてなんだが・・・」
マドラは無属性魔法について分かった事を説明し、魔法を覚える為戦場を廻っ
た事を話した。
「それは難儀だったなキョーヤ。で、どの位覚えられたんだ?」
「大変だったってもんじゃねえよ、まったく。そうだな50近くは覚えたんじ
ゃねえの」
「そうか、結構覚えたんだな」
「でもさ、魔法を全部覚えるとなったらどんだけ覚えれば良いんだよ?」
「そうさなあ。1つの属性で約20種類は基本の魔法が有るから500位だけど
応用魔法を入れたらその倍くらいか」
「そんなにかよ。大体さ最初はどんどん新しい魔法が入って来るんだけどその内
入り方が鈍って来るの。何故かと思う?」
「う~む。ん、ああそうか基本魔法はほぼ同じだから戦場で覚えられる魔法には
限りがあるのか」
「そうなんだよ。同じような職業の奴が集まって何人いても覚えられる魔法の数
は変わらなくなるんだよ」
「そうだったか。ならば明日からは場所を変えて行かないといけないのか」
ガーウィッシュは壁にぶつかったような感覚になった。
「それだけでは無いわ。キョーヤが勇者の資格を得る為の要素がとんと解らん。
これをクリアせんとどうにもならんわ」
「大体勇者ってどういう基準で成れるんだよ」
「クラウスの時は多くの人々に支えられる事が条件だったみたいだが、どうも人
それぞれで基準が違うみたいだぜ」
「クラウスは何でそれが基準って分かったんだよ?」
「クラウスが言うには啓示が有ったらしい」
「啓示かよ。何とも雲を掴むような話だな」
「でもやるしかない」
京矢達は目の前に暗雲が立ち込めたような感覚に見舞われた。
「やるしかない・・・か。そう言えばピッポはどうした?」
「奥の部屋で寝ているよ。今日はみっちりしごいたからな」
「そっか。そっちも進んだようだな。じゃあ俺も今日は寝させてもらうよ。おや
すみ」
そう言うと京矢は部屋に入った。そしてベットに倒れ込むとすぐ寝息を立てて
眠ってしまった。(もう考えられない。今日は今まで経験した事が無い位魔法を
覚えた。もう何も考える事は・・・)




