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第14話 魔素の山ケルフェウス山



 「俺は下の方を警戒するからピッポは上の方を見といてくれな」

 

 「分かったわ。でもここって生き物いなく無い?」


 「そいう言えばそうだな」


  京矢達は今、修行をする為にケルフェウス山に来ていた。昼食を取った後に

 遥か上に見えるロッヂまで2人で登る様に言われ、道を探しながら歩いていた。


 「さっき迄は気付かなかったが、動物はおろか鳥の鳴き声もしない。草木も枯れ

 てまさに『死の山』だなこりゃ」


 「ピッポもこんな山初めて見たわ。でもね何か守られてる感じはするのよ」


 「守られてる感じねえ・・・」



  一方ひと足先にロッヂに着いたガーウィッシュはここが使えるかロッヂの中を

 確認していた。奥にあるの広間のドアを開けると人の気配がした。中に入るとマ

ドラが窓の外を眺めながらワインを飲んでいた。


 「何だあんたか」


 「何があんたか?よ。遅かったわね」


 「俺はキョーヤが本当に勇者の器でこの課題がクリアー出来るかに疑問を持って

 いたんだ。もし、キョーヤがこの課題をクリアー出来なければと考えたらさ、だ

 からちょっと親心つうか、ちょっと細工してきたんだ」


 「ふ~ん。あなたは昔からそうだった。クラウスと一緒に居た頃のあなたはも

 う、クラウスに付きっきりで・・・」


  マドラはそう言うと手にしたワイングラスを飲み干した。


 「昔の話さ。しかしもうあの時じゃあねえ。今は今でやれる事やるしかねえん

 だ」


 「そうね。そういえばあの子達そろそろ気づく頃?なんじゃ無い?」


 「どうだろうな、転移者なんて初めて見たからな。まあヤバくなったら俺が行く

 さ」



  その頃京矢達はこの山の作用なのか全身に魔力を感じ始めていた。


 「何かさあ、山を登るにつれて魔力が満ち溢れるつうかさあ」


 「ピッポもそれ思ったよ。今までに無い位魔力が充実してるわ」


  少し歩いていると小さな祠みたいな物が道の端に見えて来た。京矢達が近づい

 て行くと急に黒い煙が立ち昇り狼みたいな魔物になって襲い掛かってきた。


 「な、何だこいつは。ピッポ俺から離れるなよ」


 「分かってるわキョーヤ。それにコイツ強いわよ」


 「おう感じるぜ。でもよ、何か負ける気しないんだよな」


 「あら同感よ。先に殺っても良い?」


 「任せるよ」


  京矢が話し終える前にピッポは飛び出し、鋭い爪先で黒い狼を切り刻んだ。す

 るとそれは霧のように消えて行った。


 「やるなあピッポ。瞬殺じゃないか」


 「当然よ。でも変なの何も意識しなかったのに爪に魔力が込められた感じがした

 わ」


 「やっぱりそうか。じゃあ残り全部俺が貰っても良いか?」

 

  そう言うと京矢は黒い狼に向かって拳を撃ち込んだ。


 「ダメよ!もう!」


  2人は黒い狼を全て撃退して、またロッヂに向かって歩き出した。

  しばらく山道を歩いていると道の両脇に街灯が現れ始めた。


 「これは、道しるべなんじゃね?これを辿って行けばあの建物に着くかも」


 「道を教えてくれるなんて優しすぎない?」


 「ガーウィッシュの事だからなあ・・・」 

 

  その後何回か黒い狼に襲われたが2人は難なく駆除した。程なくして目的のロ

 ッヂにたどり着いた。建物に入り明かりの点いた部屋に向かう。


 「早かったな」


 「当然。ってあんた来てたのか?マドラだっけ」


 「一緒に行くと言っていたではないか」


 「一緒じゃ無かったじゃねえか」


  マドラはうんざりという表情で言い返す。


 「細かい事を言う奴だのう。そんなにカリカリしてるとハゲるぞえ」


 「もうハゲてんだよ。言わせんなっつうの」


 「痴話ゲンカはもう良いか?京矢よどうだった」


 「痴話ゲンカじゃねえよ、何なんだよお前ら。ああ、あれかすぐ分かったよ」


 「ほう。すぐにか・・・」


  ガーウィッシュはニヤリとした。


 「お前が居なくなってちょっと歩いてたら気づいたんだ。そうだ、ピッポも同じ

 く気づいてたぞ」


 「それは良かった明日からが楽しみよの」


 「今なら解ると思うが今までのお前らは魔力よりも気力が強くて魔力を使う必要

 が無かったんだ。それで魔力の流れを気づかせてやる事により今の状態になった

 んだ」


 「やっぱりそうなのか」


 「この山は他と違って魔素量が多くて普通の人間ならば山の中腹にもたどり着け

 ないんだ。豊富な魔素により体が反応して自然に魔法が放出したと思うが、どう

 だった?」


 「何ていうのかな、体の内からやる気が充ちてくるっていうか何でも出来る気が

 してくるぜ」


 「ピッポも同じよほら」


 そう言うとピッポは魔力に溢れて光る尻尾を見せた。


 「上々、上々よのう」


 「思ったより進んでいるな。明日が楽しみだ」


 「じゃあもう終わるのか?」


 「馬鹿言ってんじゃねえ、修行はこれからがスタートだ。明日はもっときつくな

 るからな、もう寝ろ」


 「まだ終わりじゃねえのかよ。仕方が無いな、ピッポ寝ようぜ」


 「そうね。おやすみなさい」


  そう言うとガーウィッシュ達を残し、2人は隣の部屋に向かった。


 

    ◇       ◇       ◇



 「フォールン隊左手の川沿いからリザードマンの背後に回れ。右翼弾幕薄いよ、

 何やってんの」


  ミランダは指揮所で忙しそうにテキパキと各部隊に指示を出していた。

  ここはベルデ川近くの丘陵地。現在リザードマンとエルフ・ヒューマン連合の

 小競り合いが繰り広げられていた。


 「流石、王国魔導騎士の精鋭の方がたですね。集団戦のリザードマンを物ともし

 ないですね」


 「そんな事無いですよ。事前に戦術が分かっていれば対処が出来るって話なだけ

 で、皆さんみたいに夜襲をかけられれば我らとて一溜りも有りません。それより

 もあのエルフの戦意高揚のバフの『歌』ですか、あれは凄いですね。ヒューマン

 でもリザードマン相手に引けを取らなくなるとは」


 「あれは脅威ですよね。ジンガーの『歌』は聴こえる範囲の仲間に様々な強化魔

 法をかける事が出来るんです。徳が高くなるほどその効果は広く強くなって行く

 ので徳の高いジンガーがいる戦場は安心が出来ます」


 「そうなのね。流石スレイン殿は徳の高いエルフの戦士だ、全く頼もしい。さて

 今日のところはこれでお終いかしらね」


  ミランダがそう話すとその話が聞えたように、リザードマンが撤退していった

 。少し経つとスレインが汗まみれになってこちらに戻ってきた。


 「スレイン殿お疲れさまでした。流石ですね『歌』の効果に感動しました」

 

 「いえいえ、私など。それより流石王国魔導騎士私が来て欲しい所にすぐさま援

 軍が来るから楽に戦えました。お蔭様でこの前は不覚を取ったが、借りを返す事

 が出来ました」


 「そうね。それにシフォナ様が言ってた通りリザードマンも様子見だったみたい

 だし、このまま引いてくれれば良いのに」


 「そう言えばキョーヤは大丈夫だろうか?」


 「今頃泣いてたりしてね」


 「かもなあ」


  二人は顔を見あわせて笑った。


 



  



 

  


 


 




 


 



 

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