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血の継承【改訂版】  作者: Salhi smail
第四章 アイン・アルワル編

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この村の子

一行が宿舎へ戻る頃には、朝の光がアイン・アルワルの家々の間へ差し込み始めていた。


小さな家からの道のりは長くなかった。


それでもヤザンには、村の外れよりもずっと遠い場所から戻ってきたように感じられた。


一歩進むたび、肩が痛んだ。


掌には、マルワンの墓の土がわずかに残っている。


ヤザンは、それを払い落とさなかった。


ラヒールの墓が残した重さは、それとは違っていた。


その声も、匂いも、初めて自分を抱いた手がどんなものだったのかも知らない。


ヤザンが母について知っているのは、小さな墓標へ刻まれた名前と、誰も最後まで語ろうとしなかった欠けた物語だけだった。


それでも、墓の前で口にした言葉が、まだ胸の奥に残っている。


――俺は、ここにいる。


宿舎の中庭は、今も慌ただしさに包まれていた。


ヌーリヤは地図の前へ座り、古い水路の位置を確かめている。


ジャラールは中庭の入口近くに座り、路地へ目を配っていた。


アシールは地図の上に三つの小さな印を置き、見失ってはならない地点を固定している。


ラカンが入ってくると、アシールが顔を上げた。


「遅かったわね」


「見つけるべきものは見つけた」


アシールは皆の前で、それ以上尋ねなかった。


だが、その目はいつもより長くラカンへ留まった。


彼のことをよく知っているからこそ、その沈黙の中で何かが変わったと分かったのだ。


そして、ヤザンへ目を移す。


二つの墓を訪ねた直後にしては、静かすぎた。


アシールには、その静けさが涙よりも危うく見えた。


「もう少し明るくなったら、ナツメヤシ園へ向かうわ。それまでは全員、宿舎の近くにいて」


「分かった」


ヤザンは先ほどと同じ壁際へ座った。


食事に手をつけようともせず、水も求めない。


傷ついた腕をわずかに伸ばし、掌を開く。


そこには、まだ土が付いていた。


マヤはそれに気づいた。


近くへ腰を下ろしたが、マルワンのことも、ラヒールのことも尋ねなかった。


ただ、こう言った。


「肩の包帯、替える?」


ヤザンはマヤを見てから、自分の肩へ目を落とした。


「あとで」


「それは、替えてほしいけど今じゃないって意味ね」


ヤザンの口元に、かすかな笑みが浮かぶ。


「俺のことを理解するのが早くなったな」


「あなたが思っているほど複雑じゃないもの。ただ、黙っている時間が長いだけ」


返す言葉が見つからなかった。


反対側では、シグランが入口近くに立っていた。


ヤザンを正面から見ようとはしない。


それでも、完全に目を逸らすこともできずにいた。


水路のそばでアマニの母親が口にした言葉が、今も胸の中へ引っかかっている。


――何者でもなかった、あの子?


あの言葉を、炎で消してしまいたかった。


だが、村へ入ったときのヤザンの言葉を思い出す。


――あの人たちのために戻ったんじゃない。


だから、シグランは黙っていた。


しばらくして、ジャラールとともに宿舎の周囲を確認するため、中庭を出た。


     *


近くにある小さな家では、アマニが内側の扉のそばに座っていた。


膝の上には、藁の人形が置かれている。


母親は落ち着かない様子で室内を歩き回っていた。


覆いを持ち上げては戻し、窓へ近づいては離れる。


目の前の危険は去った。


それでも、そのあとに残った恐怖をどうすればいいのか分からなかった。


戻ってから、アマニは一度も口を開いていない。


だが、その沈黙は従順さではなかった。


母親がアマニを見ないまま、ようやく言った。


「騎士たちが村を出るまで、家から出てはいけません」


アマニが顔を上げる。


「どうして?」


「お母さんがそう言ったからよ」


「それは答えじゃない」


母親が足を止めた。


「外はまだ危険なの。昨日、何が起きたか見たでしょう」


「見たよ」


アマニは藁の人形を胸へ抱き寄せた。


「ヤザンが私を助けてくれたところも見た」


母親の表情が強張る。


その名を否定することは、もうできなかった。


娘も、自分も、あの騎士が誰なのか知っている。


それでも、名前を聞くたび、二年前に閉じ込めたはずの恐怖が胸の奥で動いた。


「だからこそ、近づかないでほしいの」


「どうして?」


母親は答えようとした。


だが、口から出かかった言葉を呑み込んだ。


昨日と同じ言葉を繰り返せば、今度こそ娘の目から何かが消えると分かっていた。


アマニは膝の上の人形へ目を落とした。


片方の腕が傾き、首には色褪せた赤い糸が巻かれている。


「お母さんが怖がっているのは、今のヤザンじゃない」


母親の指が動く。


「昔、みんなで怖がっていたものを、今も怖がってるだけ」


「あなたには分からないわ」


「分からないこともあるよ」


アマニは静かに立ち上がった。


藁の人形を両手で抱き、母親を真っすぐ見る。


「でも、私が見たことは分かる」


母親は何も言わなかった。


「子供の頃、ヤザンはこの人形を返してくれた」


赤い糸へ指を添える。


「昨日は、私を母さんのところへ返してくれた」


母親の視線が人形へ落ちた。


アマニは声を荒らげなかった。


責めるためではなく、忘れられない事実を一つずつ置くように言った。


「あの人だって、この村の子だよ」


母親の唇が動く。


だが、言葉は出なかった。


アマニは人形を胸に抱いたまま、扉へ目を向けた。


「出発する前に、見送りたい」


母親の手がわずかに持ち上がる。


止めようとしたのかもしれない。


だが、その手は娘へ届く前に下がった。


アマニは何も言わず、扉が開く時を待った。


     *


シグランが宿舎へ戻ると、ヤザンが入口近くに立ち、遠くの水路を見つめていた。


シグランは足を止める。


「道には何もいなかった」


「そうか」


短い沈黙が落ちた。


シグランはアマニの家がある方角を見た。


「あいつは強い」


ヤザンが彼を見る。


「あいつ?」


「アマニだ」


ヤザンの目に、わずかな驚きが浮かぶ。


「どうして急にそんなことを言う?」


「見れば分かる」


答えにはなっていなかった。


それでも、ヤザンは追及しなかった。


シグランも、それ以上は話さない。


しばらくして、ヤザンが小さく言った。


「昔から、そうだったのかもしれない」


シグランは彼を見る。


ヤザンの視線は、アマニの家ではなく、その向こうにある村全体へ向けられていた。


「俺が気づかなかっただけで」


シグランは何も返さなかった。


だが、その沈黙は否定ではなかった。


ラカンが中から出てくる。


二人を見て告げた。


「休めるうちに休め。もう少し明るくなったら動く」


シグランは壁際へ向かった。


ヤザンは古いナツメヤシの方角へ目を向ける。


ナツメヤシ園。


その名を思うだけで、肩の痛みが強くなった。


だが今度は、その入口へ一人で立つわけではなかった。


     *


村の広場では、サーリムがマスウード長老への報告を終えていた。


アイン・アルワルの人々は眠っていなかった。


それでも、ほとんどの者が家から出ようとはしない。


小さな窓からいくつもの顔が外を窺い、淡い朝の光が差し始めた今も、壁には松明が残されていた。


恐怖だけが、これから起こることを待っていた。


宿舎へ戻ったサーリムが言う。


「守り手たちの準備はできています。村人たちは内側の家々へ移しました。古い区画までの道も開けてあります」


アシールは地図の前に立っていた。


干上がった水路の位置へ黒い印を置く。


次に、ナツメヤシ園近くの古い流れへもう一つ。


最後の印は、村人しか知らない地点に置かれた。


「ナツメヤシ園の石だけが問題ではないわ。石は結び目の中心で、水路はそこから伸びる糸よ」


ヌーリヤが言う。


「石を閉じても、水路をそのままにすれば……」


「地下で圧力が閉じ込められる。そして、私たちには見えない場所から噴き出す」


サーリムが尋ねる。


「では、どうしますか?」


アシールは三つの印の間へ指を滑らせた。


「石まで辿り着き、封印の向きを読む。それから中心へ触れる前に、最も近い二つの流れを閉じる」


ジャラールが外の暗がりを見る。


「怪物は?」


ラカンが答えた。


「アシールへ届く前に止める」


アシールは第三班へ目を向けた。


「私の周囲を空けておくこと。封印の読み取りを中断すれば、さらに圧力が増した状態で、最初からやり直すことになるわ」


マヤが頷く。


「分かりました」


シグランが言った。


「石の前でもたつくなよ」


アシールが彼を見る。


「燃える手で封印へ触れてはいけない理由を知っている相手に、命令しないで」


ヤザンが小さな声で言う。


「今のは、お前に向けた言葉だな」


シグランが振り向く。


「分かっている」


その声は、ほとんどいつもどおりだった。


それでも、目の奥には何かが残っている。


ヤザンは追及しなかった。


ラカンが言う。


「ヤザン、知っている道はお前が示せ。ただし、位置は隊列の中だ」


「分かりました」


「中で何を見ても、一人では動くな」


「動きません」


ラカンは静かな確信を込めて告げた。


「よし。今度は班とともに入り、班とともに出る」


ヤザンは少し黙った。


「分かりました」


一行が外へ向かう。


宿舎を出る直前、ヤザンはアマニの姿に気づいた。


家の扉の前に立ち、胸には藁の人形を抱いている。


呼びかけることも、笑うこともしない。


ただヤザンを見つめ、小さな手を自分の胸へ重ねた。


母親の前では口にできない何かを、伝えようとしているかのように。


ヤザンは足を止めた。


その仕草の意味をすべて理解できたわけではない。


それでも、胸の中にあった何かが、わずかに静まった。


その少し後ろには、アマニの母親が立っていた。


娘を止めようとはしなかった。


だが、自分からヤザンへ声をかけることもできなかった。


謝罪には届かない。


それでも、昨日よりは一歩近かった。


背後から、シグランが低い声で言う。


「気を取られるな」


ヤザンが振り返った。


「もう少し優しく言えないのか?」


「言えない」


シグランはヤザンの横を通り過ぎ、先に道へ出た。


ヤザンは疲れの中でわずかに笑い、そのあとを追った。


前方では、禁じられたナツメヤシ園が古いナツメヤシの列の間に沈んでいた。


何年ものあいだ秘密を閉じ込めてきた口のように、沈黙したまま。

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