道は待ってくれない
アイン・アルワールは、一度に消えたわけではなかった。
ゆっくりとイザンの背後へ遠ざかっていった。
まるで村は、彼を引き留める気もないくせに――
完全に手放すことも望んでいないかのようだった。
イザンは小さな袋を肩に掛け、シャーミルの後を黙って歩いた。
中に入っているのは、布切れと、少しのナツメヤシの実、硬いパン。
そして、マルワンの墓のそばから拾った小さな石だけだった。
なぜ持ってきたのか、自分でも分からなかった。
あの場所の何かを、手元に残しておきたかったのかもしれない。
あるいは、墓が耐えられないほど遠くなることを恐れたのかもしれない。
旅の始まりの景色は、まだ見慣れたものだった。
砂。
まばらなナツメヤシ。
数少ない井戸。
乾いた実の匂いと、熱い風。
それが、イザンの知るビスカラだった。
ビスカラを、旗や騎士や遠い都市を持つ一つの国として考えたことなどなかった。
彼にとってビスカラとは、足にまとわりつく砂であり、水の周囲に生えるナツメヤシであり、小さな村など見向きもせず地平を進んでいく隊商だった。
だがアイン・アルワールから遠ざかるほど、砂漠はより大きな顔を見せ始めた。
そこはもはや、村を囲んでいるだけの土地ではなかった。
砂とオアシスと隊商路が広がる、一つの海だった。
長い年月、その太陽の下で生きた者にしか道を読めない大地。
二人は、大きな岩の陰で休んでいた小さな隊商の横を通った。
一頭のラクダが、ナツメヤシの実を積んだ荷物のそばに座り込んでいた。
ゆっくりと顎を動かしながら、静かな目で道を眺めている。
イザンは足を止めた。
昔からそのラクダを知っていたかのように近づく。
袋から、オアシスの端で拾っておいた一握りの乾いた草を取り出した。
手を差し出す。
ラクダは穏やかに草を食べ、世界のすべてが急ぐに値しないとでも言うように、再びゆっくりと噛み始めた。
シャーミルは少し離れた場所から、それを見ていた。
ビスカラにおいて、ラクダは人と荷物を運ぶだけの獣ではない。
道の記憶。
渇きに耐える忍耐。
そして、砂が岸のない海へ変わった時、隊商と共に歩く仲間だった。
ラクダを知る者は、砂漠で生き残るために必要なのが力だけではないことも知っている。
必要なのは忍耐。
歩くべき時を知ること。
そして――
水を守るべき時を知ること。
イザンは一度だけラクダの首を撫で、シャーミルのもとへ戻った。
シャーミルが言った。
「近づき方を知っているな」
イザンは答えた。
「アイン・アルワールでは、ラクダを知らない者は砂漠を知らない」
シャーミルは何も言わなかった。
だが、その目はいつもより少し長くイザンに向けられていた。
そして二人は、再び歩き出した。
◆
旅は、一日や二日で終わるものではなかった。
イザンが日数を数え続けられるほど短くもない。
大地も突然変わったわけではなかった。
朝目覚めると、砂漠がすべて緑へ変わっていた――
そんなことは起きなかった。
変化はもっと遅かった。
そして、もっと奇妙だった。
初めのうち、砂は変わらなかった。
だが足の下で、少しずつ重くなった。
やがて地面は次第に硬くなり、砂丘の間に小さな石が現れ始めた。
数日が過ぎると、地平を分けるものはナツメヤシだけではなくなった。
低い茂み。
遠くの丘。
そして谷底に、かすかな緑の線が見えるようになった。
砂漠が終わったと思うたびに、イザンは気づかされた。
終わったのではない。
ただ、皮を変えただけなのだと。
二人は朝に歩き始めた。
太陽が燃える石のように頭上へ昇ると足を止め、夕方になると再び旅を続けた。
ある時は、岩のそばで眠った。
ある時は、一本だけ生えたナツメヤシの下で。
またある時は、風が石を擦る音しか聞こえない、乾いた谷で夜を過ごした。
シャーミルは多くの食料を持ち歩かなかった。
必要な分だけを、道から手に入れる方法を知っていた。
ある時は、小さな鳥を一つの石で撃ち落とした。
別の夕方には、野ウサギを手にして戻ってきた。
どこから現れ、どうやって捕まえたのか、イザンには分からなかった。
小さな火を起こし、その光が遠くから見えないよう、石の間へ隠した。
捕らえた獲物を焼き、黙って食べる。
多くを説明することはなかった。
それでもイザンは、旅とはただ歩くことではないのだと理解し始めた。
水がどこにあるのかを知ること。
いつ太陽から身を隠すべきか。
どの影なら眠れるのか。
砂の上に残された跡が、隊商のものなのか――
それとも、怪物のものなのか。
シャーミルは、自分の顔の皺を知るように道を知っていた。
イザンは初めて学んでいた。
世界は、その声を聞かない者には容赦しない。
◆
ある夜。
イザンは小さな火のそばに座り、シャーミルが短剣で焼いた肉を切るのを眺めていた。
疲れで瞼は重かった。
それでも眠りに逆らった。
「明日、アルマザに着く?」
シャーミルは顔を上げなかった。
「着かない」
「じゃあ、その次の日?」
「着かない」
イザンは少し黙った。
「じゃあ、いつ?」
「道が終わった時だ」
イザンは顔をしかめた。
「それ、答えになってない」
シャーミルが顔を上げずに言う。
「だが、正しい」
イザンは指の間でナツメヤシの実を押した。
「じいちゃんは、あなたよりちゃんと答えてくれた」
シャーミルは振り向かずに答えた。
「マルワンは、俺より優しかった」
イザンは、その言葉が冗談なのか確かめようと、じっと顔を見た。
だがシャーミルの表情は、何一つ教えてくれなかった。
◆
翌日。
大地は次第に高くなり始めた。
砂漠が消えたわけではない。
だが、イザンの知るような平らな土地ではなくなった。
茶色い丘。
大きな岩。
谷の端に伸びる、淡い緑。
イザンは何度も足を止めた。
大地が、このように盛り上がる姿を見たことがなかった。
アイン・アルワールでは、地面が平らだったからこそ、空はどこまでも広かった。
だがここでは、山々が空を切り分け始めていた。
イザンは遠くの頂を見上げ、尋ねた。
「あの山、倒れないの?」
シャーミルが立ち止まり、イザンを見た。
「倒れない」
「でも、傾いてる」
「お前より大きいからだ」
イザンはしばらく山を見つめた。
「アイン・アルワールの外にあるものは、全部僕より大きい」
シャーミルは言った。
「それでいい」
そして歩き出す。
「覚えておけ」
◆
ビスカラの国境へ近づくほど、隊商は増えていった。
砂色の頭布を巻いた男たち。
鮮やかな布を頭にかぶった女たち。
短い槍を持つ護衛。
ラクダの背を埋め尽くす、ナツメヤシの実と塩と革の箱。
主要な道には、国境の検問所があった。
立てられた旗。
武装した兵士。
道を塞ぐ縄。
そして、荷物を開けて調べられている旅人たち。
イザンは足を止めた。
シャーミルも、そこへ向かうのだと思った。
だが男は左へ曲がり、岩の間にある細い裂け目へ進んだ。
イザンは不思議に思いながら後を追う。
「あそこから行かないの?」
「行かない」
「どうして?」
「質問が多い」
イザンは遠くの兵士たちを見た。
「僕たち、追われてるの?」
「違う」
「じゃあ、どうして避けるの?」
シャーミルが冷たく答える。
「避けてはいない」
「じゃあ、何してるの?」
「手続きを避けている」
イザンは少し黙った。
「どうして?」
「面倒だからだ」
イザンは立ち止まり、シャーミルを見た。
それから急いで追いついた。
強い男が兵士を避けるのは、恐れているからだと思っていた。
だがシャーミルは、恐れているようには見えなかった。
ただ、自分の名前を誰かに説明するために時間を使いたくない男に見えた。
岩の裂け目へ入る前に、シャーミルはイザンを片腕で持ち上げた。
「動くな」
イザンは抗議した。
「歩ける」
「ここでは無理だ」
シャーミルは岩の間を登り始めた。
その動きは、年齢にも、外套の重さにも似つかわしくないほど軽かった。
イザンには見えないような場所へ足を置き、次々と上へ進んでいく。
足元では、国境の検問所が遠ざかっていった。
兵士たちの声も、小さくなる。
シャーミルは目に見える力を使わなかった。
闇も現れない。
誰かと戦うこともなかった。
ただ、他の者が知らない道を知っている男だった。
岩の道を越えると、シャーミルはイザンを違う地面へ下ろした。
「ここからは、スティランだ」
イザンは周囲を見回した。
スティランは、ビスカラとは違っていた。
乾いた土地であることに変わりはない。
だが地面は荒く、山が多い。
茶色い丘と細い谷が広がり、水の流れる場所には緑が生えていた。
イザンは初めて、馬を近くで見た。
ビスカラの人々よりも軽い外套を身につけ、腰に幅広い帯を巻き、長い槍を持つ男たちも。
彼らの旗が、布の舌のように風の中で揺れていた。
イザンが言う。
「僕たちと、服が違う」
「ビスカラの人間ではないからだ」
「国ごとに服も違うの?」
「大抵はな」
イザンは、人々と馬と山々を見つめた。
「世界って、大きい」
シャーミルは答えた。
「お前はまだ、何も見ていない」
◆
スティランの道は、さらに険しかった。
イザンの足元にあるのは、もう砂だけではない。
短い斜面を登り、鋭い石を越え、どこへ続くのか分からない細い道を追わなければならなかった。
獲物の追い方も変わった。
ビスカラの砂のように、動物がはっきりとした足跡を残すことはない。
岩と短い草の間で、シャーミルは突然足を止め、手を上げた。
イザンは、それが黙れという合図だと理解するようになっていた。
男はしばらく姿を消す。
やがて、山鳥や灰色の野ウサギを持って戻ってくる。
イザンは何も尋ねず、その姿を見ていた。
日が経つたびに分かった。
シャーミルは、力だけで生きているのではない。
周囲にあるものを知ることで、生きている。
初めの数日、シャーミルはイザンが遅れると待っていた。
だが、やがて待たなくなった。
先を歩き、イザンが追いつくのに任せた。
イザンは疲れた。
遅れた。
そして走った。
古い傷が痛み、袋を長く担ぐと肩が焼けるようだった。
時には膝から崩れ落ちる。
だがシャーミルが何か言うより先に、立ち上がった。
冷たい夕方。
岩の間を長く登った後、イザンは地面へ倒れた。
今度は、すぐに起き上がれなかった。
シャーミルは初め、振り返りもしなかった。
ただ言った。
「立て」
その一言は、イザンの手の下にある石よりも硬く感じられた。
顔を上げる。
「疲れた」
「知っている」
「じゃあ、どうして止まらないの?」
シャーミルが振り返る。
「道は、お前のために止まってはくれない」
イザンは砂利へ手のひらを押しつけた。
泣きたくはなかった。
ここ数日で、あまりにも多く泣いた。
マルワンの墓で。
小屋の中で。
そして、シャーミルが眠っていると思った夜に。
腕に力を込め、身体を押し上げる。
ゆっくりと立った。
シャーミルは再び歩きながら言う。
「これがお前の最初の訓練だ」
イザンは息を切らしながら後を追った。
「歩くことが?」
「耐えることだ」
「それは力じゃない」
「身体で支えられない力は、お前自身を壊す」
イザンは、ひび割れた器を思い出した。
「僕には、力があるの?」
シャーミルは答えなかった。
その沈黙は、「ない」という言葉より重く――
「ある」という言葉より軽かった。
◆
さらに日々が過ぎた。
イザンは、話すべき時と黙るべき時を知るようになった。
石で足が裂けないよう、布を巻く方法を覚えた。
渇きは、水を一度に飲み干して倒すものではない。
少しずつ守りながら耐えるものだと知った。
短い影は、眠る者を守らないこと。
冷たい風は、太陽より危険になることもあると学んだ。
そして、別のことにも気づき始めた。
シャーミルは、必ずイザンに十分な食事を残した。
眠る場所は、風から最も遠いところを選んだ。
危険な道を進む時は、自分が開けた側を歩き、イザンを岩の近くへ置いた。
優しくはなかった。
だが、放っておくこともなかった。
そのことは、厳しさよりもイザンを戸惑わせた。
◆
長い日々の後。
二人は高い岩山へ登った。
イザンは疲れ切っていた。
足は痛み、両手は傷だらけ。
肩は袋を担ぐことさえ拒みかけていた。
だが頂へたどり着いた瞬間――
痛みを忘れた。
目の前で、世界が変わっていた。
大地はもう、砂と丘だけではなかった。
スティランの最後の山地の向こうに、広大な緑が開けている。
まるで、その土地だけが違う呼吸をしているようだった。
ナツメヤシとは似ても似つかない、巨大な木々。
これまで見たどの道よりも広い道。
太陽の下で輝く水面。
遠くには、スティランの山々よりも巨大な山脈がそびえていた。
そして、その向こう――
イザンには、はっきりとは見えない何かがあった。
それでも、その存在を感じた。
巨大な都市が地平の後ろに隠れているのに、その重さだけが、ここまで届いているかのようだった。
イザンは黙っていた。
大地がこれほど多くの色を持てることを知らなかった。
木々が、これほど大きくなれることも。
世界が突然目を開き、こう告げることがあるなど知らなかった。
お前はまだ、何も見ていない。
イザンは小さな声で尋ねた。
「ここは……?」
シャーミルが隣に立った。
初めて、すぐには答えなかった。
そして言った。
「アルマザだ」
その名が、イザンの胸の中で震えた。
アルマザ。
母の人生へ炎を送り込んだ場所。
マルワンが隠していた名。
そして、シャーミルが選んだ目的地。
イザンは遠くの緑を見つめた。
感じたのは、喜びだけではなかった。
恐怖もあった。
シャーミルが言う。
「これからは、会う者すべてに真実を尋ねるな」
イザンは振り向いた。
「どうして?」
「アルマザでは、求めた者すべてに真実が与えられるわけではない」
そして、冷たい声で続けた。
「時には、自分で奪い取らなければならない」
シャーミルは山の反対側を下り始めた。
イザンはしばらく、その場に残った。
前方に広がる大地を見つめる。
それから小さな袋を肩へ掛け直し、シャーミルの後を追った。
背後には、ビスカラが残った。
砂。
アイン・アルワール。
ラヒールとマルワンの墓。
黒きナツメヤシの園。
そして前方には、アルマザがあった。
自分の名の真実を隠す国。
イザンは、自分が生きてきた姓を知っていた。
だが、なぜ人々が彼の血を恐れるのかは、まだ知らなかった。
その時、初めて理解した。
この道は、彼を過去から遠ざけているのではない。
過去へと導いているのだ。




