アルマザの外から来た旗
ハガリスの旗は、ほかのどの旗とも違っていた。
完全な黒ではない。
だが、その色彩は、陽の光がほとんど届かない場所から抜け出してきたかのようだった。
深い緑の糸が、褪せた黒の中へ複雑に絡み合い、その中央には、半ば開いた扉を思わせる石の紋章が刻まれている。
その旗がアルマザ学院の門をくぐった瞬間、広場の声が小さくなった。
囁き合っていた生徒たちさえ、一瞬だけ口を閉ざす。
ハガリスについて詳しく知る者は多くなかった。
だが、誰もが気軽に笑えなくなる程度には知っていた。
深南部の国。
古代の遺跡と岩山の大地。
そして、闇の地へ至る最後の道。
イザンは、いつものように列の後方に立っていた。
なぜか、彼らが入ってきた途端、空気が少し重くなったように感じた。
旗そのものが長い旅路の埃をまとっているように見えたからかもしれない。
あるいは、その下を歩く三人の生徒が、招かれた客には見えなかったからか。
アマル・ディヤランが、澄んだ声で告げた。
「ハガリス代表――エヴリン・ストロム隊」
先頭を歩いていたのはエヴリンだった。
暗い髪と、静かすぎるほど整った表情を持つ少女。
笑ってもいなければ、不機嫌そうでもない。
彼女はまるで、どこに鍵が隠されているかを最初から知っている部屋を見るように、広場を見渡していた。
その後ろを歩くのはクララ・テフィールド。
彼女の視線は、壁、地面、広場の端へと順に滑っていく。
人の顔よりも、その足元に何が隠されているかのほうが気になるかのようだった。
反対側を歩いていたのはルーカス・ヴァイル。
寡黙で、肩幅が広く、年齢以上の存在感を放っている。
挑発するように顎を上げることもなければ、誰かを見下すこともない。
ただ歩いているだけだった。
それでも何人かの生徒は、彼のために道を空けた。
彼自身は、そんなものを必要としていなかったにもかかわらず。
クララが広場の端に落ちていた枯れ葉のそばを通り過ぎた。
風はなかった。
それなのに――葉が動いた。
ほんのわずかに。
まるで、その下で何かが息をしたかのように。
イザンはすぐにその動きを捉えた。
ほかに見た者がいるかどうかは分からない。
だが顔を上げると、アナス・ガスカンは枯れ葉を見ていなかった。
イザンを見ていた。
イザンはすぐに顔を背けた。
近くの列では、マヤ・タラインが無言でハガリスの一行を観察していた。
彼女が見ていたのは、一人ひとりの強さだけではない。
歩く位置だった。
エヴリンが先頭。
クララは左側。
護衛に見えない程度の距離を保ちながら、いつでも隊長を守れる位置。
ルーカスは右側。
壁であることを主張しない壁のように。
彼らはアルマザを見物しに来た生徒のようには入ってこなかった。
戦いが始まる前から、自分たちの位置を理解している集団として入ってきた。
本物のチーム。
その考えがマヤの胸に落ち、小さな苦みを残した。
シグランとイザンを振り返らなくても、違いは分かっていた。
三人とも、それぞれの形で力を持っている。
だが、まだチームにはなっていない。
少し離れた場所に立つシグランは、硬い表情を崩さなかった。
何も言わなかったが、その目はルーカスの上でわずかに長く止まった。
最初、ルーカスは彼を見ていなかった。
だが、視線の重さを感じたかのように、ゆっくりと目を向ける。
何も起きなかった。
炎も上がらない。
言葉も交わされない。
挑戦も宣言されない。
ただ一瞬、二人の視線がぶつかった。
そしてルーカスは、何事もなかったかのように顔を戻した。
シグランにとっては、それが挑発されるよりも腹立たしかった。
ラカンは、自分のチームの後ろからその光景を見ていた。
ハガリスか。
なんとも心安らぐ始まりだ。
心の中の皮肉では、不快感を隠しきれなかった。
ハガリスに続いて、ティルマラの旗が入ってきた。
同時に、広場の空気が変わる。
ハガリスが古い岩から抜け出した謎のように入ってきたのなら、ティルマラは自らの価値を理解している装飾品のように現れた。
旗には暖かな色が使われ、金と赤の糸が複雑に交差している。
縁には精緻な刺繍が施されていた。
露骨な軍旗ではない。
美しさそのものが権威になり得ることを知る、古い名家の旗だった。
アマルが声を上げる。
「ティルマラ代表――ナドラン隊」
先頭を歩くナドランは、整った顔立ちに薄い微笑を浮かべていた。
だが、その笑みは多くを与えない。
後ろには、細身で鋭い目をしたサリム。
手を上げる前に距離を測ることへ慣れているような少年だった。
ユーヌスは頑丈な体格で、動きが少ない。
隊長のそばを歩く姿は、自分の役割を口にする必要のない護衛そのものだった。
アミールが小声で言った。
「試験じゃなく、祝宴に来たみたいだな」
ナドランはアルマザの生徒たちの前を通り過ぎながら、小さく上品に頭を下げた。
「皆様とご一緒できることを光栄に思います」
美しい言葉だった。
美しすぎるほどに。
ラカンは、近くにいたアドナンにだけ聞こえる声で言った。
「あんなふうに笑う連中は、政治家か……危険人物だ」
少し間を置いて付け加える。
「あるいは、その両方だな」
アドナンは落ち着いて答えた。
「危険とは思われていない者の中にこそ、危険が潜むこともあります」
ラカンはため息をついた。
「素晴らしい。つまり、この広場は危険だらけというわけか」
続いて、カスナラの旗が進み出た。
灰色と深い青。
二つの岩山の間に架かる高い橋が、その中央に描かれている。
先頭のカシムは均等な歩調で歩き、公の場で笑うことに価値を感じていないような厳しい顔をしていた。
隣にはマリアム。
静かで、背筋をまっすぐに伸ばし、前方だけを見据えている。
ヤーメンは短弓を背負い、生徒たちよりも、バルコニーや壁を注意深く観察していた。
彼らは客として入ってきたのではない。
動く壁として入ってきた。
アルダ・ジャルジャランが、わずかに頷く。
彼から発せられるものとしては、最大限に近い賞賛だった。
ワーイルがアスマーに囁く。
「どの国の代表も、こんなに怖いのか?」
アスマーは答えた。
「まだ全員を見ていないわ」
ワーイルの顔色がさらに悪くなった。
次に現れたのはティゾラ代表だった。
旗は重々しくも豪華でもない。
濃い緑の中を細い白線が走り、山々を切り裂く細道のように見えた。
先頭のユーバは、周囲の視線にあまり興味がないようだった。
無礼ではない。
だが、ティルマラがまとっていた格式を、彼は持っていなかった。
後ろのセイラは、出口、通路、警備兵、柱の間の影を観察している。
マシンは簡素な弓を持ち、道の中央にも端にも寄りすぎない位置を歩いていた。
ラカンが言った。
「あいつらは自分たちの部屋より先に、広場の出口を見つけそうだな」
アドナンが答える。
「それが命を救うこともあります」
ラカンは苛立たしげに彼を見た。
「お前はどうして、どんな言葉も必要以上に不穏にできるんだ」
続いてサティランが入ってきた。
ハガリスのような謎はない。
ティルマラのような優雅さもない。
カスナラのような重厚さもない。
彼らは開けた高原を吹く風のように入ってきた。
暖かな土色の旗がはためき、その中央には馬と短槍の印がある。
ファリスは背筋を伸ばし、建物の冷たい空気に慣れていない目で前を見ていた。
後ろを歩くリアンは足取りが速く、短槍を携えている。
隣のムラドは大柄で、動きは静かだった。
盾と隊商を同時に支えることへ慣れているように見える。
ラーイドは興味深そうに彼らを見ていた。
アルマザのような力ではない。
それでも、その立ち姿には硬さがあった。
訓練場の中だけでは身につかない硬さが。
やがて門が一瞬静まり返った。
その後、別の旗が現れる。
ハガリスのように暗くない。
ティルマラのように飾られてもいない。
カスナラのような重さもない。
夕暮れの砂を思わせる色。
その中央には、一本のナツメヤシと、小さな水の波が描かれていた。
アマルが告げる。
「ビスカラ代表――サーレム隊」
イザンの呼吸が止まった。
ビスカラ。
旗にはアイン・アルワルの名は書かれていない。
マルワンの名もない。
果樹園も、小さな家も、夜のオアシスの静けさもない。
それでも、胸の奥で古い何かが目を覚ました。
ビスカラ。
アイン・アルワルを抱く国。
ナツメヤシとデーツ。
隊商。
深い井戸。
イザンは、その土地を大きな国として知ったことはなかった。
彼が知っていたのは、足にまとわりつく砂埃。
デーツを詰めた籠。
遠くに伸びるヤシの影。
そして、大地の心臓から汲み上げられる水だった。
先頭にはサーレム。
陽に焼けた肌と、穏やかな顔。
壁よりも太陽に慣れた少年だった。
服は豪華ではない。
だが清潔で、丁寧に整えられている。
肩には砂色の布が掛かり、胸元の小さな紋章には、ナツメヤシと波が刻まれていた。
後ろに続くのはヌーリヤ。
計算された足取り。
土がどこで柔らかくなり、どこで人を裏切るかを知っているような静かな目。
ジャラルは三人の中で最も体格がよく、口元には薄い笑みがあった。
その笑みのために、ほかの代表より少しだけ堅苦しさが薄れて見えた。
イザンは目を逸らせなかった。
彼らはアイン・アルワルの出身ではない。
イザンが遠くからしか知らなかった世界に属している。
ビスカラの騎士。
もし村に残っていれば、一生に一度見られるかどうかだっただろう。
隊商か、北へ向かう警備隊が通り過ぎる時に。
だが今、彼らは目の前にいる。
同じ広場に。
同じ旗の下に。
サーレムの視線がアルマザの生徒たちを流れ、イザンのところで止まった。
彼はイザンを知らない。
ファドゥスの名も。
アイン・アルワルで起きたことも知らない。
それでも、ほかの生徒にはない何かを、その目の中に見た。
好奇心ではない。
隠しきれなかった郷愁だった。
サーレムは胸へ手を当てた。
小さな仕草。
正式な敬礼ではない。
旅人同士の挨拶だった。
イザンは一瞬固まった。
やがて、恥ずかしそうな小さな笑みが浮かぶ。
だが、それは本物だった。
彼も胸へ手を当て、挨拶を返した。
マヤはそのやり取りを見ていた。
大きな動作ではなかった。
だが、その後のイザンの顔は少し違って見えた。
彼と出会ってから初めて、その笑顔は、自分が存在していることへの謝罪ではなかった。
遠く離れた場所から戻ってきた、帰属の証だった。
ビスカラ代表が列へ加わると、同行していた一人の男が、薄い布を掛けた丸い盆を持って進み出た。
布を取り払う。
中には、艶のある茶色い実が丁寧に並べられていた。
古い蜂蜜から削り出された、小さな宝石のようだった。
男は温かな声で言った。
「ビスカラのオアシスより――デグレット・ヌールのおもてなしです」
アルマザの生徒の何人かは、不思議そうに盆を見た。
ティルマラの宮殿で作られた菓子ではない。
北方から運ばれた珍しい果実でもない。
素朴なものだった。
静かで。
この広場にある何よりも、イザンにとって馴染み深いもの。
ワーイルが囁く。
「これは何だ?」
イザンは無意識に一歩進んだ。
だが、すぐに止まる。
自分の場所は後方だと思い出したかのように。
列の前へ出る権利などないと、自分へ言い聞かせるように。
サーレムはその動きを見逃さなかった。
盆から一粒取り、イザンへ差し出す。
「知っているのか?」
イザンは、彼の手の中にある実を見つめた。
ただのデーツには見えなかった。
マルワンの手。
古い小さなナイフ。
木の皿。
ナツメヤシの葉で作られた屋根。
そして、中身を無駄にせずデグレット・ヌールを開く方法を教わっていた子供。
イザンは慎重に手を伸ばし、実を受け取った。
「デグレット……」
二本の指で横から開く。
簡単な動きだった。
古い動き。
心より先に、体が覚えていた。
種を取り出し、掌に置く。
しばらくそれを見つめてから、誰かに聞かせるつもりもなく、小さく呟いた。
「懐かしい……」
サーレムには聞こえた。
マヤにも聞こえた。
遠くにいたアナスも、その言葉が食べ物だけを指していないことを理解した。
イザンはゆっくりと実を口にした。
腹が減っていたわけではない。
ただ、すぐになくなってほしくなかった。
ワーイルが眉を上げる。
「全部食べていいのか?」
イザンは掌の種を見せた。
「これは食べない」
ワーイルはすぐ答えた。
「知っていた」
知らなかった。
マヤが一歩近づく。
「私も食べていい?」
サーレムが盆を差し出した。
「どうぞ」
マヤは一粒取ると、水の技術でも研究するかのように真剣な目で見つめた。
そして中央を強く押しすぎ、指に果肉をくっつけた。
イザンがすぐに言った。
「違う……横から」
彼女に、潰さずに持つ方法を見せる。
静かに割り、種を取り出す。
マヤは教えられた通りにやってみた。
そして口にする。
一瞬、動きが止まった。
目がわずかに大きくなる。
「甘い……」
やがて笑みが浮かんだ。
「おいしい」
イザンの中に、小さな誇らしさが生まれた。
自分が育てたものではない。
自分のものでもない。
それでも、自分が知る土地から来たものだった。
一族の名を尋ねる前に、懐かしい味を与えてくれた土地から。
ジャラルが笑った。
「デグレットを食べて、何も変わらない者はいない」
ワーイルも一粒取り、間違った方法で開こうとした。
「くっつくぞ!」
ジャラルが言う。
「急ぐ人間を見分けるんだ」
近くにいたサティランのリアンが笑う。
「ビスカラでは、食べ物まで忍耐を求めるの?」
ヌーリヤが静かに答えた。
「砂漠では、何もかもに忍耐が必要です」
それが、イザンが初めて聞いた彼女の声だった。
静かで。
揺るがない声。
サーレムがもう一度イザンを見る。
「アイン・アルワルの出身か?」
イザンは固まった。
声は大きくない。
傷つけるような好奇心もない。
たった一言に混じった古い訛りを、旅人が聞き分けたようだった。
イザンはゆっくり顔を上げた。
「はい」
サーレムは笑みを浮かべ、胸へ手を当てる。
「なら、ナツメヤシの香りの中へ帰ってきたと思えばいい。たとえアルマザに立っていても」
イザンは何と答えればいいのか分からなかった。
少しだけ頭を下げる。
だが、それは恐れからの礼ではない。
敬意だった。
マヤは彼を見た。
そして、胸元のアルマザの紋章を見る。
初めて思った。
その紋章だけが、彼のすべてではない。
胸には現れない何かが、彼の中にはある。
デグレット・ヌールを開く、その指先にだけ現れるものが。
ビスカラの後、すべての代表が整列した。
広場の上には多くの旗が並び、色と顔と視線が交差する。
学院こそが世界のすべてだと思っていたアルマザの生徒たちは、突然、自分たちがもっと大きな世界の中にいることを知った。
ナデル・ジャルジャランが広場の中央へ進み、隣ではアマル・ディヤランが代表名簿を抱えていた。
学院長が言う。
「アルマザは、世界騎士試験へ参加するすべての代表を歓迎する。各隊は指定された宿舎へ案内される。合同訓練および公式確認は明日より開始する」
演説は長くなかった。
だが、意味は明確だった。
彼らは祝宴のために来たのではない。
まもなく、客は対戦相手へ変わる。
各隊が動き始めた。
最初に出たのはハガリス。
エヴリンが先頭。
クララとルーカスは、入場時と同じ配置のまま後ろに続く。
クララがイザンのそばを通った時、細い糸のような何かが空気を横切った気がした。
あるいは、ただの錯覚だったのかもしれない。
次にティルマラが、穏やかな笑みと計算された礼を残して歩き出す。
カスナラは石の列のように進んだ。
ティゾラは、以前から知っていたかのように脇の通路を選ぶ。
サティランは大きな歩幅で去っていった。
やがてビスカラ代表がイザンの前を通り過ぎる。
サーレムは今度、足を止めなかった。
ただ小さく挨拶を送る。
イザンも返した。
シグランが突然、彼を見ないまま言った。
「もう全員と知り合いになったのか?」
イザンは固まった。
それが皮肉なのか、別の何かなのか分からない。
マヤが静かに答えた。
「時には一粒のデーツだけで、十回の演説より深く分かり合えるものよ」
シグランは彼女を見た。
「タラインの哲学か?」
「いいえ。ビスカラのデグレット」
シグランは答えなかった。
だがイザンには、彼が隠す前に口元がほんの少し動いたように見えた。
離れた場所から、ラカンが三人を見ていた。
近くのアドナンが言う。
「目立つ者だけが危険とは限りません」
ラカンは一瞬目を閉じた。
「その言葉をもう一度言ったら、わざと俺を怖がらせていると判断するぞ」
アドナンが問い返す。
「私が努力する必要がありますか?」
ラカンは各国の代表を見た。
そして、自分のチームを見る。
シグラン。
マヤ。
イザン。
三人。
三つの異なる力。
まだチームにはなっていない。
彼は低く呟いた。
「いや……この広場だけで十分だ」
夕方。
太陽が学院の壁の向こうへ沈み始める頃、それぞれの代表は指定された宿舎へ入っていった。
だが、広場の明かりが届かない遠い屋根の上には、徽章を持たない三人が立っていた。
ライは、各隊が消えていった通路を見下ろしていた。
後ろではキオが退屈そうに指を鳴らしている。
ハルは、市場に吊るされた仮面でも眺めるかのように、並ぶ旗へ笑みを向けていた。
キオが尋ねる。
「どいつらだ?」
ライはすぐに答えなかった。
彼の目は、人混みから離れた脇の通路を進むティルマラ代表を追っていた。
ナドラン。
サリム。
ユーヌス。
三つの徽章。
三つの名前。
そして、アルマザの生徒たちのほとんどが、まだ知らない三つの顔。
やがてライが言った。
「よく笑う連中だ」
ハルが小さく笑う。
「なら、明日は俺たちも笑おう」
キオが聞く。
「いつ始める?」
ライは、広場から最後の光が消えていくのを見つめた。
「すべての旗が無事に収まったと、連中が思った時だ」
その後、影は何も語らなかった。
その夜、アルマザは、宿舎の上にはためく旗の下で眠りについた。
だが三つの名前は門をくぐり――
夜明けまで、その持ち主たちのものではいられなかった。




