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血の継承【改訂版】  作者: Salhi smail
第一章 アルマザ学院編

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12/25

攻撃より先に、目が見るもの


翌朝。


ラカンは三人を森へ連れていかなかった。


学院の廊下を進み、狭い石造りの階段を上る。


その先には、訓練場を見下ろす高い観覧台があった。


上は、下よりも空気が冷たかった。


そこから見る学院は、まるで別の場所のようだった。


眼下の訓練場では、炎、風、氷、光が入り乱れている。


攻撃の音。


教師たちの声。


石を踏む足音。


そのすべてが重なり合っていた。


シグランは縁へ立った。


「見るだけか?」


ラカンは石の手すりへ身体を預ける。


「ああ」


「これは訓練ではない」


「お前にとっては、燃やせないものはすべて訓練ではないらしいな」


シグランは答えなかった。


マヤは縁へ近づき、集中した様子で視線を訓練場の間へ移していた。


イザンだけが、二人より少し後ろに立っている。


ラカンが言った。


「昨日、お前たちは聞こうとした」


シグランを見る。


「今日は、見ることを学ぶ」


マヤが尋ねる。


「ほかの班を観察するのですか?」


「観察するだけではない」


西側の訓練場を指す。


「読むんだ」


そして続けた。


「攻撃が始まる前に何が起きているか分からない者は、放たれた後に見えても意味がない」


     ◆


西側の訓練場には、アルダ・ジャルガルンと彼の班がいた。


その前には。


ライド・オーラセン。


アスマー・ザファラン。


ワイル・イヴェルセン。


アルダが言う。


「もう一度だ」


最初にライドが前へ出た。


見せつける様子はない。


一度だけ息を吸う。


凝縮された炎が拳の周囲へ集まった。


シグランの炎ほど広くはない。


騒がしくもない。


ただ、密度が高く。


安定していた。


石柱を殴る。


石が震えた。


砕けることなく、深い黒い跡だけが表面へ残った。


アルダが言う。


「人に見せるために音を必要とする力は、まだ成熟していない」


シグランは何も言わなかった。


だが、イザンは彼の拳がわずかに握られるのを見た。


ライドを見る。


何かを証明しようとしているようには見えない。


攻撃する。


そして元の場所へ戻る。


必要な役目を終えた動きだった。


次に、アスマーが進み出た。


手を上げる。


細い風の筋が石柱の周囲で曲がり、横から切り込んだ。


長く、鋭く、乱れのない跡が石へ残る。


アルダが言う。


「正確さは弱さではない。だが、それを作るのに時間がかかりすぎれば、弱点になる」


アスマーは反論せず、頷いた。


次はワイルだった。


肩を強張らせ、ゆっくり前へ進む。


アルダが呼ぶ。


「ワイル」


彼は唾を飲み込んだ。


「はい」


「待っていても、恐怖は消えない」


ワイルは手を上げる。


指の周囲に氷が作られた。


不安定だった。


最初は、簡単に崩れそうにも見えた。


だが、アルダが叫ぶ。


「今だ!」


小さな氷塊が石柱へ飛んだ。


衝突した瞬間、氷は石の亀裂の中へ広がっていった。


誰も予想しなかったほどの速さで。


ワイルは後ろへ下がり、自分の手を驚いたように見た。


アルダが言う。


「お前は、敵よりも自分の力を怖れている」


観覧台の上から、第三班はその光景を見ていた。


ラカンが尋ねる。


「何が見えた?」


シグランが答える。


「ライドは強い。アスマーは正確だ。ワイルは怖がっている」


ラカンが言う。


「観客席の誰にでも言える説明だ」


マヤが答えた。


「ライドはカマンを無駄にしていません。アスマーは制御に優れていますが、準備が少し遅い。ワイルは自分が思っている以上の力を持っています。でも、圧力を受けなければ外へ出せない」


ラカンは頷いた。


「良い」


そして、イザンを見る。


「お前は?」


イザンの身体が少し固まる。


もう一度、ライドを見る。


言葉を探した。


「ライドは……勝ちたいように戦っていない」


シグランが片眉を上げる。


「何だ、それは?」


イザンは戸惑った。


「違う……人に見てもらおうとしていない」


シグランが言う。


「それは分析ではない」


だが、ラカンは笑わなかった。


しばらくイザンを見てから言う。


「いや。今までで最も正確な観察だ」


マヤが驚いたようにイザンを見る。


ラカンはライドを指した。


「ライドは強さを証明するために戦っていない」


視線を訓練場へ戻す。


「動く前に自分の位置を理解し、必要なことだけを実行する」


そしてシグランを見る。


「一撃ごとに、訓練場から自分を認めてもらおうとはしていない」


シグランの目が鋭くなる。


だが、黙った。


イザンは、もう一度ライドを見る。


炎だけではない。


その前にあるものが見えた。


静けさ。


固定された足。


一度の呼吸。


拳が動く前に、すでに終わっていた決断。


ラカンが言う。


「攻撃だけを見るな」


「身体がそれを決めた瞬間を見ろ」


     ◆


ラカンは東側の訓練場を指した。


そこには、アドナン・オーラセンと彼の班がいた。


アミール・サーラン。


アナス・ガスカン。


ナダ・ディヤーラン。


最初にアミールが前へ出た。


指の周囲に雷が瞬く。


三つの木製標的へ放った。


一つ目と二つ目には当たった。


だが三つ目は、端をかすめただけだった。


アミールは笑う。


「二つは完全に当たった」


アドナンが言う。


「だが、自分へ贈った称賛は一つの標的にも当たらなかったな」


アミールの笑みが半分消えた。


「雷は、惜しかった者を褒めない」


次にナダが前へ出た。


光が足元を覆う。


柱の間を軽やかに駆け抜けた。


一つ目の印へ触れる。


二つ目。


三つ目へ向かう途中。


半瞬だけ、観覧台へ顔を向けた。


シグランへ。


その一瞬で、足が遅れた。


アドナンが呼ぶ。


「ナダ」


彼女は止まった。


「視線が自分の場を離れれば、その中にいる足は遅れる」


ナダの顔が赤くなる。


「はい」


マヤは、その視線に気づいた。


そして目を逸らした。


イザンは、ナダを見るマヤを見た。


なぜ人の視線は、足の動きを読むよりも難しいのだろうと思った。


次に、アナスが進み出る。


明確な構えを取らず、標的の前へ立った。


ただ、動かない。


アミールが言った。


「標的が眠るのを待っているのか?」


アナスは答えない。


目が標的へ向く。


次に、その影。


そして地面と、二つの間にある距離を見る。


それから一歩踏み出した。


最速の動きではなかった。


だが、誰もがまだ考えていると思った瞬間に動いた。


細い影が、一つ目の標的の裏側へ張りつく。


誰も予想していなかった方向に跡が現れた。


二つ目へも横から回り込む。


だが、三つ目の前で止まった。


アドナンが尋ねる。


「なぜ止まった?」


「罠です」


アドナンが近づき、標的の土台を回す。


細い糸が現れた。


小さな鐘へつながっている。


もしアナスが標的へ触れていれば、鐘が鳴っていた。


アドナンが言う。


「良い。だが、自分を守る慎重さも、習慣になれば前へ進めなくなる」


アナスは頷いた。


ラカンが尋ねる。


「何が見えた?」


シグランが言った。


「アミールは、雷より自分の声が好きだ」


ラカンの顔に小さな笑みが浮かぶ。


「正しい。だが不十分だ」


マヤが答える。


「ナダは速いですが、注意が逸れます。アミールは正面から攻撃し、自分の流れを押しつけようとする。アナスは……」


言葉を止める。


イザンが、思わず口にした。


「アナスは、扉から入らない」


三人が彼を見る。


シグランが尋ねる。


「どういう意味だ?」


イザンは考えを整えようとした。


「攻撃が来ると思わせる場所からは、来ない」


短い沈黙が落ちた。


ラカンは下にいるアナスを見る。


そして言う。


「前より良い」


アナスを指す。


「最も近い道を選んでいるのではない」


「お前が、そこから攻撃は来ないと思う道を選んでいる」


ラカンはイザンを見る。


「言葉は、まだ弱い」


イザンは目を伏せる。


だがラカンは続けた。


「だが、目は働き始めた」


イザンは顔を上げた。


完全に褒められたわけではない。


それでも、内側の何かが少し軽くなった。


皆は、力を見ている。


だが自分は、その前にあるものを見始めていた。


シグランは短い間、イザンを見る。


そして訓練場へ目を戻した。


イザンが自分より先に何かを見たことが気に入らなかった。


だが、見えていたこと自体は否定できなかった。


ラカンが言った。


「よく覚えておけ」


二つの訓練場を指す。


「攻撃は、手が動いた時に始まるのではない」


「身体が、どこへ足を置くか、どこを見るか、どの道を空けておくかを決めた時に始まる」


ラカンは縁から離れた。


「手より遅く学ぶ目は、その代償を手に払わせる」


     ◆


観察訓練が終わった後。


三人の教師は、訓練場を見下ろす小さな部屋へ集まっていた。


アルダは窓のそばに立ち、腕を組んでいる。


アドナンは机の前へ座った。


ラカンは扉の近くに立ったままだった。


アルダが言う。


「見るだけでは足りない」


ラカンが答える。


「足りるとは言っていない」


「なら、戦わせろ」


ラカンが片眉を上げる。


「班同士でか?」


「ああ。そうすれば、誰が立ち、誰が倒れるか分かる」


「分かるのは、誰の攻撃が最も強いかだけだ」


アルダが振り向く。


「力は重要ではないのか?」


「重要だ。だが、実地試験ではそれだけでは足りない」


アドナンが静かに言った。


「ラカンの言う通りだ」


アルダが彼を見る。


アドナンは続ける。


「正面から戦わせれば、強い者が攻撃し、弱い者は生き残ろうとするだけになる」


「守ること、読むこと、選ぶことを強いる試験が必要だ」


ラカンが言う。


「各班に旗を一つ」


アドナンが彼を見る。


ラカンは続けた。


「自分たちの旗を守りながら、敵の旗を落とす」


「攻撃と防御に点を与える。制御を失えば減点だ」


アドナンが言う。


「時間制限も必要だ」


アルダは少し考えた。


「小規模な大会か」


ラカンは頷く。


「目的のない戦いより、騎士試験に近い」


アルダは訓練場を見る。


「いいだろう」


そして言った。


「明日だ」


     ◆


一時間後。


三つの班は中央訓練場へ集められた。


一方には、アルダの班。


無言のライド。


落ち着いたアスマー。


緊張を隠そうとしているワイル。


その向かい側には、アドナンの班。


興奮を隠さないアミール。


先ほどより注意深いナダ。


少し離れた場所から全員を見ているアナス。


そして第三班は、ほかの二班よりもまとまりなく立っていた。


前にはシグラン。


その隣にマヤ。


イザンは少し後ろ。


アルダが言う。


「明日、三班による小規模な大会を行う」


生徒たちの間にざわめきが起きた。


アミールが笑う。


「ようやくか」


アルダは続けた。


「各班に旗を一つ与える」


「目的は、自分たちの旗を守り、敵の旗を落とすことだ」


「防御と攻撃は得点になる」


「制御を失った場合、または不必要に仲間を負傷させた場合は減点する」


シグランが言った。


「なら、戦闘大会ではない」


ラカンが答える。


「攻撃と攻撃の間に考えなければならない。厳しいことは分かっている」


シグランは苛立ったように彼を見る。


アドナンが言った。


「この大会は、騎士試験の一部を模したものだ」


何人かの生徒の表情が変わった。


ワイルの顔が引きつる。


「最悪だ……。そもそも学院に入りたくなかったのに」


ライドは彼を見る。


だが、何も言わなかった。


イザンは顔を上げる。


「騎士試験って?」


アミールが驚いたように彼を見る。


だが、答えたのはマヤだった。


「実地試験よ」


「班ごとに、決められた区域へ数日間入るの」


「目的は戦うことだけじゃない。目的地へ着くこと。班を守ること。そして、最後まで生き残ること」


イザンが尋ねる。


「生徒は、怪我をする?」


マヤは一瞬、言葉を止めた。


「する」


嘘はつかなかった。


そして続ける。


「だから学院へ入る時、家族の同意が必要なの」


その言葉が、イザンの内側で止まった。


「家族?」


アミールが言う。


「当然だろう。危険な試験へ氏族の子供を送るのに、印もなしで許可すると思ったのか?」


そして、イザンが持つ唯一の徽章を見る。


「まあ、一部の人間には例外もあるのかもしれないが」


話が大きくなる前に、ラカンが言った。


「大会は明日だ」


全員を見る。


「学院の旗を前にして動揺する者は、お前たちの準備を待たない試験では生き残れない」


アルダが言う。


「準備しておけ」


アドナンも続けた。


「最も輝いた者に点が与えられるのではない」


「自分の班を守った者に与えられる」


生徒たちは散り始めた。


アミールがイザンのそばを通る。


「お前の印が有効だといいな、ファドゥース」


イザンは答えなかった。


シグランは、その言葉を聞いていた。


アミールを見る。


ただ、それだけだった。


だが、その視線だけで、アミールは続きを言わずに離れていった。


マヤは、少しの間イザンのそばに残った。


「今は、試験のことを考えないで」


イザンは彼女を見る。


どうすれば考えずにいられるのだろう。


同意した家族。


押された印。


誰が開けたのかも知らない扉を通ってきた自分。


だが、マヤはそれ以上何も聞かなかった。


ただ言った。


「明日は、見えるものへ集中して」


そして離れていった。


イザンは一人、訓練場に残った。


三つの班。


旗。


騎士試験。


同意することも。


拒むこともできなかった家族。


そのすべてが、自分よりも大きく見えた。


だが、ラカンの言葉は頭に残っていた。


言葉はまだ弱い。


だが、目は働き始めた。


イザンは、大会が行われる訓練場を見上げる。


ライドのように強くはない。


アナスのように危険でもない。


シグランのような自信もない。


それでも今日。


攻撃より先にあるものが見えた。


まだ力はないのかもしれない。


だが。


攻撃が来る道を、少しずつ見始めていた。

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