表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
13章 Double 決戦のタッグマッチ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

537/541

第524話 アイドル

 転移が完了すると、視線の先には二人の少女がいた。


「地下民どもー!見てるかー!?」


----

>うおおおおおおお!!


>WtU!WtU!


>卍さんなんかやっつけちゃえ!!!

----


 両腕を掲げ、視聴者に向けてパフォーマンスを見せているのはモモさん。その所作と表情からは元気ハツラツとした印象が伝わってくる。星模様の感情表現(エモート)まできらきらと輝かせ、演出に余念がない。


「あのっ……そのっ……」


 それとは対照的に身を縮こまらせておどおどしているのがアクエリアスさんだ。どこか頼りなげに見えるが、印象だけで判断するのはまだ早いか。


 二人とも大会前にステージで披露していたのと同じ、アイドル風の衣装を着こなしている。【アームズスイッチ】で装備を変更しないのであれば、少なくともメイン職業(クラス)は【ナイト】ではなさそうだ。


 モモさんはルビーのように煌めくマイクを持っている。このゲームの【バード】はどちらかといえば演奏寄りの印象だが、あれも武器の一種なのだろうか。【バード】は1on1では目立たないが、【ダブル】以上になるとその支援能力は警戒に値する。


 アクエリアスさんは武器らしきものを手にしていないが……だからといって【モンク】だと決めつけるのは早計か。その指には小さな蒼い指輪がきらりと光っている。


「むむ、お相手のきらきらアイドル力に圧倒されるのです……っ」


「なに言ってるんですか。アイドルなんていつもボクで見慣れてるでしょ?」


「え?」


----

>何言ってんだこいつ。頭大丈夫か


>アイドル(自称)


>卍さんのことをアイドルだと思ったことは一度もないよ


>メグさんかわいそう

----


 メグさんからは「本気で何を言ってるのかわからない」とでも言いたげな目を向けられ、視聴者からは罵詈雑言が飛び交う。いつものことですね。


「ふーん、どうやらこのゲームではそこそこ有名なプレイヤーらしいわね?でも……えっと……そんな破廉恥な格好をして……恥ずかしくないの?」


 モモさんは強気な態度でボクに喧嘩を売ろうとしてくるが、その勢いは途中でしぼみ、素の調子に戻り、きょとんと尋ねてくる。


「うっさいですね。ボクはゲーマーとしての腕前で評価されてるんです。この見た目は、羞恥心より強さを優先した効率厨の賜物ですよ」


「でも卍は未鑑定のまま使うのではなく、わざわざ鑑定して水着として装備することを選んだ人でもあるのです」


 メグさんの補足は軽く受け流しておく。そんな彼女もスクール水着姿ですし、同士みたいなものですからね。


 アクエリアスさんはボクの格好を見るだけで恥ずかしいらしく、目を覆っている。どうやら戦術的なアドバンテージは取れそうだ。


「まあいいわ。それならそのゲーマーとしての自信――叩き潰してやろうじゃない!」


【4】


「そっちこそ、アイドルとの二足のわらじで勝ち抜けるなんて思わないことですね!」


【3】


「あの、あのっ……ケンカしないで……」


【2】


「安心するのです。これは配信者にありがちな演出としての前口上なのです」


【1】


「いいえ!本気の本気!全力よ!アクエリアス!力を貸しなさい!」


【0】


「わ、わかりましたぁ……」


【START!!】


「〈混沌に仕えし魔の眷属よ、我に従え〉【サモン・ゴブリン】!」


 開始の合図とともにボクはゴブ蔵を呼び出し、メグさんは【〈パウダーホーム〉】を周囲へ散布する。初手はお決まりだ。


 一方でモモさんは初手から詠唱に入っている。【追撃のカノン】――詠唱中に限り、あらゆる攻撃に追撃を上乗せする【バード】の定番技だ。


【追撃のカノン】

[アクティブ][聴覚][詠唱中][支援][魔法][攻撃][演奏]

消費MP:6 詠唱時間:20s 再詠唱時間:30s

効果:

[詠唱中]:[ダメージ][発生時]、[追加][ダメージ]を[発生]させる。

[詠唱後]:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。


 そしてアクエリアスさんは――。


「【ボウフウ】!」


 試合前の気弱な様子はどこへやら。びしりと腕を突き出した次の瞬間、嵐の如き勢いで無数の矢が放たれる。【追撃のカノン】とのコンボとしては定番の多段攻撃だが――。


「うわああああ!すべてが未鑑定の矢!?」


 矢じりに疑問符の刻印が入った矢が宙を駆け抜ける。どんな効果が付いているのかもわからず、迂闊に受けるわけにはいかない。


「【アトラクト】!」


 メグさんがスキルの発動とともに壁を取り出し、«絶対防壁»で受け止めようとするが、すべての矢を引き寄せきれていない。引き寄せを確率で無効化するような受動(パッシブ)を備えているのか、あるいは矢そのものにそうした特殊な性能があるのだろう。


 引き寄せられた矢は«絶対防壁»で受け止められたが、引き寄せきれなかった矢は小さく旋回して壁を避け、横からメグさんとボクを狙ってくる。


「«テレポート»!」


 ボクは大きく後方へ転移し、矢をかわす。ゴブ蔵もそれに続くものの、メグさんは«絶対防壁»の起動を優先したぶん、数本の矢を受けてしまう。


 それだけで彼女のHPはみるみる削られ、5種類の妨害(デバフ)が付与された。遅れて«テレポート»でボクの横に転移したが、矢はなおもアクエリアスさんの手のひらから次々と放たれ、ボクたちを目がけて飛んでくる。


 さすがに、ここまで勝ち残ってきただけのことはありますね。【アトラクト】と«絶対防壁»の組み合わせをたやすく突破してくるとは。


 それでもまだ勝ち筋は潰えていません。ここからは『きゅーと』かつ『てくにかる』に駆け抜けていきましょうか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
メグさんが卍さんを呼び捨てにしてて草生える きっとアイドルを自称したせいでメグさんの脳内で扱い悪くなっちゃったんですね…()
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ