五十戒 辰②
どこからともなく桜の花びらが散り、室内でもお構いなくそれは現れた。
「おはよう。」
青い龍が気さくに話しかける。竜も光狼も、驚きはしなかったが攻撃の手が止む。
「我が力を欲するのは君か?」
「そう、でもひとまず目の前のヤツらが邪魔です。私との戦いの前に邪魔者を消したいのです。」
青い龍は目を瞑り少し考えてから龍に言った。
「変えれぬか。良かろう、この辰青龍が一時共闘してやる。」
ドデカい龍が龍と共闘する事になり、光狼と竜は身構える。
「返すよ竜。」
龍が竜に向かって槍を投げる。竜は槍を掴み即座に体制を変えて龍に向かって走る。
「オラァ!」
荒々しい攻撃を龍に仕掛けるが、一向に龍は攻撃をしない。
「マジでやばいだろコレ……!」
一方、光狼は辰青龍の攻撃にたじろいでいた。どこからともなく飛んでくる光線を避ける事は光狼にとって容易い事だが、光線の量が多すぎて攻撃に踏み切れていなかった。
「もっと頑張りなさい。」
辰青龍は大きく息を吸い込むと、直後に避けられない程巨大な光線を放ってくる。
「ンなもんぶった斬ってやるよ!!」
光狼は『叢雲』を強く握り、辰青龍の光線を縦にぶった斬る。
「甘い!」
斬った光線の奥から辰青龍が噛み付いてくる。
「ぐっ――!」
光狼は辛うじて大剣で辰青龍の牙を受ける。
「光狼! ガハッ……。」
竜が光狼に意識を向けたその時、竜の最後の人間としての部位が無くなった。
「ガアアァァァ!!!」
「よしよし。ようやく成ってくれたね。」
竜の身体は瞬く間に人間ではなくなる。ブチブチ、ボキボキという肉や骨が引きちぎれる音が鳴り、血に似た液体や油のような液体が竜の身体から滲み出てくる。
「竜!」
光狼は辰青龍の噛み付きを振りほどき、人間の形から外れて行く竜を見る。
「これが力に溺れた哀れなコピーの末路だ!」
ボアァァァァ!!――
竜だった獣は暴れ回る。壁や地面に自らの液体を撒き散らし、敵味方関係なく無差別に攻撃をする。
「私が止めよう。」
辰青龍は暴れ回る獣を叩き落として光線を浴びせる。獣はのたうち回り辰青龍に攻撃をするが、その攻撃全てに光線が撃ち込まれ獣は逃げる姿勢を見せる。
「竜! 待ってくれ!」
「逃がさないよ。」
いつの間にか龍が槍を握っており、逃げる獣にジャンプする。
「『桜花狂乱』」
飛び上がった龍は獣に槍を突き立てる。獣に深々と刺さった槍の傷口からは大量の桜の花びらが舞っている。
やがて獣は力を無くしたように動かなくなり、地面に赤いベタベタした液体が広がる。
「さて、2対1だね。」




