四六戒 寅
バチッ――
虎が寅に噛み付く。弾丸はビャッコの牙を削り、空へ飛んでいき稲妻の虎も消える。
「あー、ダメか!?」
竜はビャッコにはたかれぶっ飛ばされる。ビャッコはこちらに振り向き再び噛み付こうとしてくる。
「『火炎弾』」
碧を纏った炎がビャッコを焼く。
「熱い! 誰だ!?」
ビャッコは体の火を消し周りを見渡す。それを見たビャッコと俺は驚いた。
右には青い翼、左には赤い翼を広げ、紅く煌めく右手を前にした使千だった。
「悪い、手間取った。」
使千はぶっ飛ばされた竜の方へ向かい、倒れた竜に碧の羽根を渡す。竜の傷は瞬く間に癒え、復帰した使千と竜は俺の横に立つ。
「あーあ、3対1だな。」
「クソ! 調子に乗るな!」
ビャッコは人型になり四股を踏む。左腕を空に上げると、大量の落雷が白い家の敷地に落ちる。
「ここでサプライズだ。」
使千は碧の羽根を3枚出現させる。
「『不死鳥の尾』」
碧の羽根を俺の無い右腕に添えると、めっちゃグロく右腕が再生される。肩から徐々に上腕、肘、前腕、手首、指の順で、中の筋肉や神経、骨などが剥き出しながらニョキニョキ生えてくる。
「うぇ気持ち悪ぃ!!」
「文句言うな。」
「虎閃これ。」
竜が俺の右手の獣器を投げる。
「なんで持ってんの!?」
「連れ戻しに来たって言っただろ。答えはどうであれ、お前に渡そうと思ってた。」
俺は全身が震え、かつて味わったことが無いような全能感と戦いへの高揚感が湧いてきた。
「もう一個サプライズをする。」
使千は体がバラバラになり俺の周りを舞う。足、脚、胴、腕と、俺の体に纏っていき俺が使千と一体化していく。
「俺は援護する。好きに暴れろ。」
使千の頭の鎧は赤と碧の眼帯になって右目を隠した。隠れているはずなのに視界は良好で邪魔だと感じない。
「死ぬまで付き合ってもらうぜ。」
俺は『滅神閃光』を構える。
ヒュッ――
ビャッコが飛び蹴りをする。俺はそのままビャッコの足を掴み、宙にいるビャッコ地面に叩きつけ足をへし折る。
「がァァ!」
続けざまにビャッコの胸に指先を添える。
「『神討・彗星』!」
ビャッコの心臓めがけての発勁。ビャッコは悶え苦しみながらも抵抗をする。
「虎……」
俺は闇犬から借りた銃をビャッコの手に撃つ。更に痛みに苦しむビャッコに、俺は渾身の一撃を入れる。
「終わりだ。『雷炎帝駆動』」
ベギャ――
ビャッコの顔面に、使千の炎と俺の雷を乗せた拳を叩き込んだ。ビャッコの顔面は派手な音と共に凹み、ビャッコは絶命する。
「俺いらねぇじゃん。」
竜は槍を背に納めて俺に手を出す。俺は竜の手をタッチする。
使千は俺から離れ、紅い鎧の使千に戻る。
「お、終わった?」
遠くから闇犬が近づいてきて俺を見る。俺は頭を撫でて銃を返した。
クロートーさんは腕を組み、頷きながら白い家に入っていった。
ビャッコはスザクの時のように青い結晶に覆われて砕け散った。すると、俺が着けていた両手の獣器が勝手に外れて砕けた結晶の周りを舞う。
「うおっ――。」
辺りが眩い光に包まれる。光が収まると、そこにあったのは……。




