四三戒 二人一役
「あ!? そんな事したら!」
「俺を信じろ。なにより、お前自身を信じるんだ。」
使千はとんでもない提案をしてきた。2人で体を動かそうと言うんだ。1週間前に初めて使千が俺の中に入った時のように。
「行くぞ虎閃。」
俺はビャッコに右手で殴りかかる。1週間前とは違い、体はいつもと同じように違和感無く動かせる。使千が合わせてくれるのか、使千の動きに俺が合わせているのか分からないが、目の前の敵を倒す事だけに意識を集中できた。
「なんか違和感あるなぁー!」
俺はさっきまでと変わらず戦っているのにビャッコは戦いにくそうにしていた。ビャッコの攻撃を躱す判断と攻撃のキレが鈍くなっていき、徐々に俺の被弾が減っていった。
右手、左足、左手、右足、躱し、受け、どれもが使千と一致していき、まるで二人で分担して身体を動かしているかのような感覚になる。
「次!」
段々とビャッコは俺達の攻撃を捌ききれなくなり、かすり傷から打撲、内出血、骨折と、ビャッコに蓄積されていく傷も大きくなってきた。
「調子乗るなよ!」
ビャッコが左手を開き俺達に向ける。
「『虎砲』!」
建材の鉄筋ほど大きなレーザーがビャッコの手のひらから放たれる。熱線の当たった場所は赤くなって膨張し、パンと音を立てて弾け飛ぶ。
「『虎砲』! 『虎砲』! 『虎砲』!」
左手のレーザーを際限なく飛ばしてきて、自分に近づけさせないようにしている。
「ならこっちも対抗させてもらおう。」
俺達は右腕を横に伸ばし、グッと拳を握る。
「『擬装・孔雀羽』」
右肩の後ろから幾万の羽が広がり、羽は数百枚ずつに固まって宙に舞う。
「『反発射体』」
鮮やかな羽根の集合は俺達の周りをフヨフヨ漂い、レーザーが当たるとその軌道を変えてくれる。
レーザー対策をし、ビャッコに近づいて再び打撃を見舞う。
「なんでだよ!」
ビャッコの大振りの攻撃を捌き、何発も何発も拳を打ち込む。
「寅白虎!」
スザクがビャッコを心配したのか、自らの尾をビャッコに渡す。ビャッコはみるみる回復していき目立っていた傷が消えていった。
「ありかよあんなの!」
俺たちは標的を変え、横槍を入れてきたスザクに的を絞る。ビャッコが止めようとスザクの前に出てきたが、手を弾いて股の下からスザクの元に向かう。
「舐められたものですね!」
スザクは俺達の周りに舞う羽根を次々と落としていき、俺達がスザクの眼前まで迫る頃には羽根は全て落ちていた。
「これで終わりですよ。」
スザクは大きく翼を広げ、燃え盛るその翼で俺達を抱き抱えようとした。俺達は大きく上に飛ぶとスザクがビャッコを見る。
「狙い通り。」
ビャッコは左手を俺達に向けていた。
ビュ――




