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Judge all  作者: 蒼猪
66/80

四一戒 酉朱雀と寅白虎

「オラオラァァ!」

 スザクを一方的に殴り続けているが、一向に反撃してくる気配が無い。嫌な不安はあったが、それでも叩き込めるなら殴り続けるしかないと思い、俺は攻撃をやめなかった。

「まったく、どうして虎はどの代も乱暴なんでしょう。」

 今まで黙って殴られていたスザクは急に翼を広げる。沢山の羽根が辺りに舞い、羽根の触れたアスファルトが軽く弾ける。

「やばくね?」

 触ったら爆発する羽根が視界に埋め尽くされていく。距離を詰めても離しても爆弾の雨。

「あ、そうだ。」

 俺は地面に脚をめり込ませ、テコの原理を使ってアスファルトを起こす。起こした平たいアスファルトを盾代わりにしてスザクに近づき、十分な距離になったらアスファルトをスザクへ投げつけた。

「くっ……。」

スザクは翼でアスファルトが当たった腹を押え、もう片方の翼で盾が無くなった俺に向けて羽根を飛ばす。

「やべっ……!?」

 俺は腕を前でクロスさせて羽根をガードする。しかし、羽根の1枚1枚がアスファルトを弾けさせる程の威力がある。右腕と獣器が覆ってくれている左手は無事だが、胴体や足などガードしきれなかった所が多少抉れる。

「あー、いでぇ……。」

 それでもスザクは羽根を飛ばしてくる。脚に力が入らず、避けるのが間に合わなかった。

 その時、俺の胸辺りから例の輪が連なって出てくる。赤い羽に混じって、青い稲妻も降り注いできた。

「あー、やっとか。」

 猛々しい獣の咆哮がし、一際大きな雷が近くに落ちる。凄まじい轟音と共に大きな白い虎が現れた。

「よう酉朱雀!」

 白い虎はスザクに気さくに話しかける。

「はぁ、何しに来たんですか、寅白虎(ビャッコ)。」

「やだなぁ、言わなくてもわかるでしょ。」

 虎は振り返ってこちらに近づいてきた。

「よく呼べたね。」

 四聖獣の朱雀と白虎が同時に現れる混沌とした景色に、俺も使千も驚きはなかった。だが、確実に絶望はした。

「あー、もしかして、お前とも戦わなきゃいけない?」

「いや、そんな事ないよ。君は何の目的で僕を呼んだんだい?」

 そうだ、俺にはこいつが居ないと出来ないことがあった。

「武器……。」

「ん?」

「俺は強くならなきゃいけないんだっ! そのために、お前の力が必要なんだ!」

 俺は消え入りそうな声で白虎に叫ぶ。

「やだ!」

 俺は白虎に叩き飛ばされた。満身創痍の体に、巨体の猫パンチは十分すぎるほど効いた。

「だいたいさ、明確な目的も意志もないのに何? 僕を倒すんだか従わすんだか知らないけどさ、君じゃ無理だよ。」

 ぐうの音も出なかった。俺は戒盾にいる時からそうだった。やるべき事もや(・)り(・)た(・)い(・)事(・)も無く、ただ淡々と政府から言われた任務をこなして、報酬を貰って食って寝る。そんな循環を何も考えずに繰り返していたせいで、本来自分が持つはずの目的や意志が俺には無かった。

「どうする? このまま死んどく?」

 使千が前に言ってたや(・)り(・)た(・)い(・)事(・)を見つける、それが今やっと心に響いてきた。

「へっ、あるぜ、や(・)り(・)た(・)い(・)事(・)。」

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