三三戒 感覚
マフィアの人達が車を出してくれて、あっという間に白い家についた。眼前に広がるのは大きな庭と噴水、そして木に囲まれる白い家。スーツの男たちが俺達を囲んで歩いている構図は少しシュールだった。
「ボスを呼んできます。少しお待ちください。」
そう言うとマフィアの男は白い家に入っていった。男がボスと呼んでいるヤツが出てくるのに、あまり時間はかからなかった。5分もしないで扉が開き、中から小さなキリッとした女性が出てきた。
「やぁ闇犬、今日はどんな要件かな? そしてそちらは……。」
「あー、虎閃って言います。」
「虎閃さんですか、これは親切にどうも。私はクロートーと言います。」
クロートーと名乗る女性は会釈をし、俺と闇犬を中へ引き入れた。
白い家の中は旅館のようになっていて、目の前には窓口のようなものがあり、そこから四方八方に道が伸びていた。内装は洋風で、落ち着いた上品な雰囲気に見える。
階段を登り案内された客間につくと、茶菓子と飲み物でおもてなしされた。俺は、この人達が本当にマフィアか疑った。それくらい礼儀正しく、紳士的だったからだ。
「あ、ありがとねクロートー。ここに来た理由なんだけど…………」
ドズン――
大きな地震が起こり周りは少しパニクった。地震というか地鳴りに似たような音と揺れがし、だんだん外が騒がしくなってくる。
「た、大変です! 突然、赤い鎧を来たやつが飛んできて、何か叫びながら周りをぶち壊しまくってます!」
「なんだって? 済まない君達、話は後で聞こう。」
クロートーさんは報告してきたマフィアについて行って客間から走って出ていった。取り残された俺と闇犬は唖然としその間謎の沈黙が続いた。
赤い鎧で飛んできたやつ……。
「「あ!」」
俺と闇犬が同時に声を出し、2人で顔を合わせると、何も言ってないのに考えが伝わった感覚がした。俺達は話すより先に客間を飛び出していた。
「あー、やっぱりか。」
赤い鎧の正体は使千だった。所構わず暴れ、草木や花々を散らし、取り抑えようとするマフィアをことごとく返り討ちにしていた。
「ど、どうしたらいいの?」
俺はここである事を思いついた。
「あー、闇犬。俺使千と話してくる。」
俺はゆっくり歩き出すと、闇犬は大きな声でやめてと叫ぶ。少し前にいたクロートーも俺を引き止めたが、俺は2人の声を無視して使千に近づいていく。
「なんで、なんでだよ!!」
俺は声を荒らげる使千にゆっくりと歩み寄っていき、使千が振る腕を掴む。
「落ち着けよ使千。」
掴まれた腕をじっと見る使千。表情は分からないが、なんだかヤバそうな雰囲気だった。
「君もか……。」
「は?」
「君も僕の存在を否定するのか!」
使千は掴まれている腕を思い切り振り、俺はぶっ飛ばされた。
バリィ――
噴水の水が出ている柱に激突し、規則正しく出ていた水が勢い良く空高く吹き出した。
俺と使千の周りだけ雨? が降る。詳しい事情は知らないが、この雨は使千の心を表しているかのように冷たかった。




