三一戒 犬
赤丸での顔合わせとその他諸々が終わり、俺はすぐに赤丸から東の大きな海を跨いだ所にある大陸の国、亜芽里という国に渡った。
そこから半年が過ぎても、俺は他の十二支と馴染めずにいた。半分ぐらいの人から近寄らないでオーラが出ていたり、そもそも話す相手がいなかったり。蒼猪さんは別の事をしてくると言ってしばらく見てないし、使千もよく分からなくなってる。
「虎閃くん、な、何しようか?」
俺はこの闇犬と言う女の子としか話せていない。彼女は今までの関係を無しにして新しく仲間として迎え入れてくれた。ただ、少し暗めでボソボソ話すから聞き取れない事もあった。
「あー、幻獣ってどうやったら出るんだ?」
「え? 虎閃くんはどんな時に幻獣に会ったの?」
親父と殺し合いをしてる時に急に出てきたことを教えると、闇犬は首を傾げる。
「な、なら幻獣の出る条件を知ってるんじゃないの? 幻獣は、十二支か戒盾の人が危険になったら出てくるんだよ。」
「あー、そうだったのか。」
俺は闇犬に殺し合いを提案した。手っ取り早く危険になれると思ったからだ。だが彼女は首を横に振った。彼女が言うには、危険だと予め分かっている場合は出ないらしい。
俺は、そもそも幻獣を出せばいいのか、四聖獣を出せばいいのかよく分かっていない。かっちゃんはあまり情報を与えてくれず、ザク屋の仕事中に話しかけるとめちゃくちゃ怒ってくる。やるべき事が分からず今に至る。
「あ、あのさ!」
闇犬が少し大きめの声で話しかけてきた。
「あたしの行きつけのお店があるんだけど行かない?」
俺はなんとなくついて行く事にした。特にやる事もなく、やるべき事も分からない状態、いわゆる暇だった。
そこは1件のタバコ屋だった。俺は酒もタバコもやらないから入った事が無かったが、案外綺麗で店番の女の人が1人いるだけの簡素な場所だった。少し驚きだったのが、闇犬の行きつけがタバコ屋だった事だ。闇犬からは普通にいい匂いがして、タバコの匂いなんてしなかったからギャップがあって萌えた。
「女将さん、いつもの下さい。」
「はーい、って、どうしたのワンちゃん? 彼氏連れてきたの?」
「か、彼氏じゃないです!」
闇犬が女の人に怒っていた。不意に可愛いと思ってしまった。
「そこのボーヤは何がいい? シガレット、シガー、パイプにシーシャ、なんでもあるよ。」
「あーいや、俺は大丈夫です。」
雰囲気が独特で、引き込まれそうな声色と話し方だった。
女の人が棚から『REPEATEDLY』と書いてあるタバコを取って闇犬に渡す。闇犬は女の人に代金を渡すと、女の人が何か耳打ちした。すると闇犬は俺を手招いて女の人と近づけようとする。
「ボーヤ、少し簡単なゲームをしようか。」
その時、俺は強烈なデジャブを感じた。




