二七戒 ようこそ
なにかモゾモゾしてる。俺は歩いてない。なのに、身体が揺さぶられてる。多分担がれてるんだと思う。
「おお、目ぇ覚めたか?」
俺は走っている牛騎に担がれていた。
「あー何してんだよ! 降ろせよ!」
「落ち着けよ。」
おれ?俺どうしてたんだっけ? 敵が攻めてきたって言われて、迎撃してたら光狼と眠兎が来て、バイオリン引いた眠兎の腕が獣みたいになって、それからリオンが来て、戦うと思ったら集めた使千器返しだして、そしたらすぐ変な光と音で訳わかんなくなって、それで……。
俺は違和感の先に目を向ける。
「――ッ!?」
無い。無い。無い。無い。無くなるはずのない俺の右腕が。布で止血がされていて血は出てない。けど、右腕を動かそうとすると痛み出す。無いはずの右腕が。
「来るよ。」
隣にいた女が見上げる。轟音と共に減りが降りてきた。ヘリの中には見た事の無い人間が何人も乗っていた。全て同じ顔で同じ髪型の。
「赤丸へ飛べ。」
俺と牛騎、女とおじさんがヘリ乗り、おじさんが一声かけるとヘリは飛び始める。
「暴れられても困るから寝てろ。」
何もしてないのに、牛騎がハンカチを口元に当ててきた。くそ、眠気が………………。
「それでこいつがさぁ……。」
誰だ?
「お前のこれがよ……。」
聞いた事ある声がある。
「あんたのそういう所が……。」
女もいる。
「それより、こいつどうする?」
俺は飛び起きる。周りは知ってる顔と知らない顔が入り交じった場所だった。牛騎や北夕鮮近くにいたおっさん、それに見覚えのある色の鎧。
「おいおい、どうするも何も、俺らはこいつの仲間だろ!?」
どこかで聞いた事のある声だった。忘れられない、一番最初に会ったアイツだ。
「よぉ戒盾! いや、お前も『元』戒盾か?」
見間違いじゃない、俺はコイツと一戦交えてる。
「お前、かっちゃん?」
「久しぶりだな。右腕の事は気にすんな。そういう運命だったんだ。」
かっちゃんはとても楽観していた。
最大の謎は、なぜ俺がここにいてかっちゃんと喋ってるのかだ。
「分かんないだろうね。」
「蒼猪さん!?」
蒼猪さんもそこに居た。何食わぬ顔で、大きな声出すなよ、みたいな顔をしてた。
「ま、詳しい話は飯食ってからだな!」
かっちゃんは手招きをして、その場にいた複数の男女を引き連れて向かいの焼肉屋へ向かった。




