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Judge all  作者: 蒼猪
49/80

二五戒 身体

 彼は探していた。


 何かって?


 自分の身体だ。


 上華下民共和国で自分の身体がある事を感じた彼は、本来の目的を後回しにして探し回っていた。彼が自身の身体を感知できる理由は至ってシンプル、使千器は元々1つの武器だったからだ。何故か意識のある使千器として生まれた使千は、自らの意思で失った片割れを探せる。

 日が落ちた頃、使千はより強く片割れを感じられる場所に着いていた。そこは、とある博物館のような場所だった。彼は警備にバレないように博物館への侵入を試みた。

「擬装・鷹の目(フォルム・ホーク)」

 彼の腕から無数の眼が出てくる。彼は視界を増やし、2つの目では見れないような所まではっきり見えるようになった。

 自分の片割れを1番強く感じる場所まで辿り着いた。博物館の地下の地下の更に地下にあった。厳重な警備とボロボロな設備、稼働していないエレベーターを見るに、ここは一般の立ち入りは出来なさそうな場所だった。

 警備を一人一人締め、音もなく気絶させていき、ようやく片割れとご対面できる場所まで来た。目の前にある、棺のような形の箱を開き、中を見る。

「あった……。」

 彼は自分の片割れに触る。

 バチン――

 触れた所が発火し衝撃が起きた。彼は少し身を引くと、棺の中の彼の片割れがひとりでに動き出した。

「君、だれ?」

 動き出した彼の片割れが言葉を発した。彼は驚くが、至って冷静だった。

「俺はお前だ。」

「君は僕?」

 片割れは当たり見回すと、倒れている人間に近寄る。人間を拾い上げると、自身に無い部分すなわち、右腕から右胸にかけてを引きちぎってはめ込む。

「何してんだよ。」

「君の真似。」

 彼は怒り片割れの胸ぐらを掴もうとする。

 バチン――

 いくら彼が触っても、触れた部分からは衝撃と発火しか起こらない。彼は冷静さを欠き、片割れを殴る。

「何するんだ! 」

 片割れは彼の拳を弾き、彼に殴り返す。彼は顔面に喰らい仰け反ってしまう。そこから片割れは容赦無く彼に拳を打付ける。頬、肩、胸、腹、腕、1点にとどまらず身体のどの部位にも拳は飛んできて、彼の息は上がっていった。

「僕が君を使ってあげるよ。」

 片割れは彼の右腕に手を近づける。

「ッ! 触るなっ!!」

 彼は大声で叫び、その威圧で片割れは更に感情的になる。

「僕は君なんだろ!? なら君が消えちゃえばいいんだ!」

 片割れは彼の顔面に拳を連打する。片目が潰れ、頭蓋はボロボロ、喉も潰れて彼は声も出せなかった。撃沈した彼に片割れは囁く。

「今から君は僕だ。」

 倒れている彼から使千器の部分である右腕を取り、片割れ自身の生身の右腕を外して、彼から取った右腕を付ける。

「僕は揃った。あはははは!!」

 片割れは左肩から半透明の紅い翼を広げ、天井などお構い無しに地下から空高く飛び出た。片割れには向かうべきところなど無いが、とある場所まで一直線に向かった。

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