二十戒 契約
「ぐっ…、ああぁ、がああぁぁぁ!!! 」
それは突然来た。痛み、苦しみ、そんなものが一気に内側で爆発する。一番熱い胸の部分から、何かの文字が連なっている輪が複数、段々になって出てくる。大きさのバラバラな輪は天にまで昇り、胸から青白い結晶が出てくる。結晶には、おぞましい獣の姿が見えた。
バリ――
結晶は、ガラスが割れたような音を鳴らしながら砕けた。すると、先程見たおぞましい獣が出てくる。足が異常に筋骨隆々だが、胴体や腕は細い。所々赤い液体が吹き出し、皮膚は肉と金属のような物がツギハギになっていて、背には羽、頭には獣の耳と天使の輪のような物まである。
「お、おい虎閃、それは……じゃねぇか。」
親父が何を言ってるか聞き取れなかった。
「☆×○♪¥△□」
獣は声じゃない音を出す。が、はっきりと意味は伝わった。
『お前は苦しいか。』
「痛えし、苦しい。」
『なら、楽にしてやろう。2つの選択肢を与える。1つは、我がお前を殺す。2つは、我と契約し、我の力を手に入れて世界に仇なす存在になるか。』
獣は気色悪い顔をこちらに近づけてきた。
「後者を選んだらどうなるんだ。」
『あいつだ。あいつを殺せ。虎は2人も要らない。』
獣は親父を指さす。
「上等。」
『契約成立だ。』
獣は再び青白い結晶になり、段々の文字の輪と一緒に俺の中に入っていく。親父を一瞥すると、ファイティングポーズをとってくる。
「悪い親父、死んでくれ。」
「おー、断る。」
そう言われると思い、俺は既に親父の目の前まで近づいていた。
「虎牙神」
左脚を親父の左側に出し後ろ回し蹴り。そこから瞬時に回し蹴りをする。続けて左脚で後ろ回し蹴りをし、最後に胸に一撃打ち込む。
「がはっ……、殺す気の攻撃だな。殺意の乗った拳ほど強いものはない。」
親父の言葉を無視し、親父の胸に指先を添える。
「神討」
「虎閃、待っ…」
「彗星! 」
ドン――
俺は親父の心臓目掛けて発勁をした。親父は俺の腕を掴み、胸を抑えながら倒れた。
親父の使千器は分からなかった。でも、昔から身に付けている物が1つあった。それは、親父の両腕にある青い金属の腕輪だ。おそらくコレが親父の使千器だろう。
親父の腕輪を外し自分に付ける。すると、俺のグローブと反応し形を変える。
「なんだこれ。」
形が変わり1つになった俺の使千器は、手から手首にかけて守れるシルバーのガントレットになった。金属のように硬いが、着けているか分からないぐらい軽い。拳の邪魔にならないどころか、頑丈で刃も通らない拳になった。
『殺せ。』
内に秘める獣が親父を殺す事を促す。
『同じ神は2人として存在してはいけない。』
俺は親父を殺す。
『殺せ。』
会って間もないの肉親を。
『殺せ。』
本当に殺せるかも分からない十二支を。
『殺せ! 』
「殺す! 神討・覇戒! 」
パン――




