一七戒 虎
昔々あるところに、ひとりの男が闘術を学ぶために旅をしていました。男には子供が1人いましたが、自分の目的を果たすために子供を置いてけぼりにしてしまいました。その結果、男は誰にも負けない強さと不死身の超能力を身に付けることが出来ました。その力で男は、国1つを大きな戦闘集団に変えて、目的に一歩近づけましたとさ。
とある日、強くて不死身のその男の前に、3匹の動物が現れました。動物曰く、『お前の強さを支える武具が欲しい』と頼む。男はそれを拒み、現在に至ると言う。
「あー、くれよ、使千器。」
「やだよおー。」
俺は親父をぶん殴るが、ことごとく躱され、あしらわれる。俺は昔から同じ型でしか攻撃をしてこなかった。それで事足りるからだ。でも今日、初めて俺の攻撃が手に取るように躱されるのを体感して思った。あの時に会った、忘れていたオッサンはこの人だったんだと。
14年前 ???
「なんで引っ越すの?」
「君は政府の警護人になるために訓練するんだよ。」
俺は急に来た知らない大人達が怖かった。今まで住んでた家を急に引っ越すことになり、訳が分からないまま戒盾十三人になる訓練の日々が始まる直前だった。
ドサッ――
目の前の大人達が倒れ、またしても知らないオッサンが現れた。
「おー、大きくなったな閃。」
「おじさん誰?」
オッサンはたしかに虎二と名乗っていた。そして俺の手を引き、人知れぬ山奥に連れて行かれた。お袋は親父を止めず家で待っていた。帰ることの無かったあの家に。
山道は険しく、当時5歳だった俺には少ししんどかった。何度も座り込んで親父から水を貰っていた。
「おーおー、大丈夫か?」
「はぁ……、はぁ…。帰りたい! 」
「それはダメだ。お前は将来、誰にも負けない男になるんだ。そのために、俺の流派を教える。」
山頂に着くと、綺麗な夕焼けと頭を掠める雲。素晴らしい景色とは裏腹に酸素が薄く、息苦しさもあって辛かった。
ずっと前の出来事だが、物心が着く前に叩き込まれたこの闘術だけは覚えている。体に染み付くまで型を教えられ、技を学び、この人を嫌い、記憶から消したいぐらいに思っていたのかもしれない。
たった1週間で学びは終わり、親父はこれを言い残して消えた。
「俺の武術は『虎流神討』。」
俺は昔を思い出し、親父に言われた最後の言葉を呟くと、親父は俺の攻撃を受けた。
「閃……、いや虎閃、お前覚えてたのか。」
「思い出した。」
俺は慣れた動作で体を動かす。流れるように、腕を使い弧を描かせ、力強く、右足で大地を踏む。両手を獣の爪のような形をさせ、左手を前に突き出し、右手を顔の横に持ってくる。
親父も全く同じ動作を繰り返す。滑らかに、激しく、そして優雅に。俺と親父は同時に拳を握り、息を合わせてないのに全く同じ言葉が出た。
「「閃紋の虎、参るッ!!! 」」




