一五戒 目的
「あー、マジ? 」
衝撃のカミングアウトをされ、正直びっくりしている。今まで戒盾十三人としてやってきて初めて言われたからだ。確かに言われてみれば昔から外見が変わって無い。
「どこにいるか全く検討が付かないんだ。だからこうして地道に遠くの任務に行くやつについて行って探してる。」
「あー、じゃぁ、お前がちょっと前に言ってたコーラが好きってのも伏線? 」
「コーラは甘くてピリピリするだろ。あれを飲んでる時が1番生きてる実感があるんだ。」
強烈に甘くて炭酸の効いたコーラが、彼の鈍い感覚を刺激してくれるらしい。そう言うキャラなのかと思ってたが、ちゃんとした理由があった。
そうこうしているうちに、鼠乃から送られてきた場所まで来た。外見は鉄臭い工場のようだ。
ガラガラガラ――
「おっ、虎閃に使千だな。」
「あー、こんな所にいたんだな蛇亀。」
「おうよ、ちょっと待ってな。」
蛇亀が奥へ入っていく。少し覗いてみると奥には庭のような場所があり、工場なのに草っぽいのも生えていた。
「あー虎閃、すまねぇ。お前のは居ねえんだ。」
蛇亀は大きな鳥を連れて来て俺に謝ってきた。
「支地干天だ。使千のはいるが、ここには虎はいねぇんだ。すまねぇな。」
「あー大丈夫。蒼猪さんに頼むから。」
蛇亀は使千に笛と紙とペンを渡し、支地干天の名前を決めるように促した。使千は少し考えた後に、紙に名前を書き蛇亀に渡す。
「なるほど、『雲雀』か。可愛がれよ。」
全身黒く大きな羽を持つ使千の支地干天、雲雀は、使千に近づくと頬ずりをし、心を許しているかのような素振りを見せた。
「虎閃。」
「あー? 」
「お前は何で任務を請け負うんだ?」
使千は蛇亀の所から帰ってる途中、藪から棒に質問をしてきた。任務を請け負うのは戒盾の仕事だし、そもそも俺達は世界政府の命令で動く犬みたいなものだから、正直任務に対する気持ちなんてモノは無かった。
「あー、やらなきゃいけない事だから。それ以外にやるべき事が無いから、かな。」
「俺は自分の体を探す、という目的で政府からの任務を受けている。お前のやるべき事は知らないが、やりたい事ならあるんじゃないか? 目的無しに任務を受けるのはお前のやりたい事なのか? 」
使千は急にめっちゃ喋り始めた。でも確かに、俺には目的が無い。任務の目的をこなし、また任務を受ける。その繰り返しが日常だったために、やりたい事なんて急に言われても分からなかった。
「あー、俺のやりたい事。」
「任務がやりたい事なら構わない。でも、やるべき事をやりたい事と捉えるのは違うぞ。」
全く浮かばなかった。任務がやりたい訳では無いが、他に目的も無い。セックスがしたいとか、美味しいものが食べたいとか、いっぱい寝たいとか、その目的のために仕事をしている人が圧倒的に多いのは分かるんだが、どうしてもやりたい事が浮かばなかった。
「急にすまない。ただ、欲望に生きるほうが得だって事を言いたかった。」
「あー、良いんだ。考えてみるよ、やりたい事。」




