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78.私を指名してくれる?

「風俗店……」


 カオルの反応が変わった。隣にいて鳥肌が立ってしまうほど、彼女からは怒気が発せられていた。

 サキュバスのルーツを探るという目的上、そういう店を探してはいた。だけど今回見つかったのは、カオルの目的とは相容(あいい)れないものだった。


「実際に見たわけじゃないんだが、まあ事実だろうな。毒婦会はそういうことを平気でやる連中だ」

「――――っ」


 カオルは今にも暴れ出しそうな雰囲気で、それは僕も同じだった。


 やり場のない怒りが身体を駆け巡る。無理やり(さら)われて、人生を奪われた子どもたちがいる。そんなことが許されて良いはずがない。


(そんなのは……僕たちだけで十分だろ……)


 今もなお戦わされているはずの仲間たちのことを想う。僕たちは崎谷薫(さきやかおる)を捕らえる名目で作られた存在だけど、用途はそれだけに限らない。「少年」の使い方は色々とある、考えるのが嫌になるくらいに――。


「話はこれくらいに。行こう、ユウくん」


 カオルは「フーっ」と大きく息を吐くと、さっきの怒気が嘘のように、サッパリとした顔で歩き出した。


 僕たちはその切り替わりに驚きながらも、つられて後を追った。僕たち3人それぞれに言い聞かせるように、カオルは言う。


「今は切り替えよう、確証が無いうちに暴れても仕方ない」


 その言葉には、確実に証拠を暴き出すという意志が宿っていた。


「……そうだね、わかったよ」


 僕は彼女の意志を信じようと思った。



 ~~~~~



 オウミさんと合流した後、僕たちは彼の事務所に集まっていた。ファクタの街は中心部に行くほど毒婦会の支配が強まっているらしく、逆に入り口の近くなど、外周側はオウミ商会の勢力圏だった。今は相手方からの監視も弱まっているし、おかげで安心して拠点を構えられる。


 事務所内はやや殺風景で、真ん中に長机と、それを囲むようにソファーが置かれているだけだ。あえて違うところを挙げるとしたら、壁にオウミ商会のマークと「仁義」の文字が入った額縁がそれぞれ飾られていることかな。


「ではまず、我々の今後の動きを確認しよう」


 大きなソファーに腰掛けながら、オウミさんが場を仕切る。彼の後ろには、いかにも理知的で、かつ戦闘能力も高そうな男性が立っていた。年は30半ばから40……オウミさんよりひと回り以上は年上に見える。眼鏡の奥に覗く目は暗く深く、「少しでも下手な動きをすれば殺す」という幻聴が聞こえてきそうなほどだ。周りを見れば、似たような屈強な人たちがみんなを取り囲んでいた。


 僕とマルカは端の席で縮こまり、大人たちの会話を見守ることにした。


「ちょっといいか? 俺たちの仕事はもう終わりだよな?」


 オウミさんを中心に会話が進もうとしていたところを、アニキがさっそく打ち切る。話がこじれる前に踏み込むあたり、さすがプロだ。


「おい金髪、今は会長(オヤジ)が――」」

「いい。彼の言う通りだ」


 オウミさんは手で後ろの彼を制し、懐から羊皮紙のようなものを取り出して数行書き添えた後、アニキたちとパーヴァートさんに渡した。


「ギルドに持って行け。無論、先の戦闘のぶんも上乗せしてある」

「あ、こういう仕事の報酬もギルドで受け取るんですね」


 やりとりを見ていたカオルが口を挟んだ。ヤクザたちに囲まれているというのに全く物怖じしてない。


「元々向こうで発行した依頼だからな。当然、ギルドを通さず個人的に声をかけて頼んでもいいが、ギルド側で依頼の成否を管理してもらうことで彼らの評価にも繋がるというわけだ」

「はえ〜」


 カオルは純粋にオウミさんの配慮に感心する。大人の美貌を持ちながらも子どものように素直な彼女の姿は、周りのヤクザすら(とりこ)にしていた。


「まあ、ギルド側で斡旋(あっせん)してくれるので人を探す手間が省ける、というだけの理由でしたが」

「なに余計なこと言うとるんじゃっ」


 ポカっ、とオウミさんが眼鏡の彼を叩く。それを見たヤクザたちは口々に「かっこつけようとすんなオヤジ」「女の前だからって張り切ってんだ」と笑った。


 物々しい雰囲気に見えて、実はゆるい組織かも。


 その空気に後押しされ、マルカがおそるおそる発言した。


「あの、そういえば……捕まえた人たちはどこにいるんでしょうか?」


 僕もそれが気になっていたところだ。馬車の中にいたのは確かなはずだけど、その後の姿が見えない。


「地下です。これ以上情報は引き出せそうにないと聞いていますが、念のため尋問を」


 眼鏡さんはさも当然のように淡々と答えた。同時に、今の今まで笑っていたヤクザたちがしんと静まり返る。


「あ、はい……」


 マルカはさっきよりも小さく縮こまって、ソファーの端に沈んでいった。


「で、そっちはどうするつもりなの?」


 今度はアレクシアが話を振る。ごく自然に振る舞っているけど、その奥底ではオウミ商会にも探りを入れているというふうに見える。


「当初の予定通り傘下の店に武器を配り、増やせるなら味方を増やして敵の出方を(うかが)う、といったところか。もっとも、当の毒婦会が出てくるかは疑問だが……そちらは?」


 みんなの視線がカオルに向けられる。


 カオルは少し口ごもった後、若干恥ずかしそうに答えた。


「そうですね、風俗店巡りをしようかと。美人な女性が多い店をしらみ潰しに」


 信じられないものを見るような目が彼女を襲う。

 サキュバス探しというカオルの目的を知っているのは僕たちくらいのものだ。何も知らない人にいきなり風俗店巡りなんて言えば、白い目で見られるのは当然。


「変な意味で言ってるんじゃないんですよ、じゃあまともな意味って何だよって話だけどそうじゃなくてですね、とにかくやましい目的ではないです。女磨きとでも言おうかな」


「カオル……まさかそっちの気があるのか?」


 沈黙を破り、絶望しきった表情でパーヴァートさんが聞いた。


「あ、いや、そういうわけでもなくて……」

「そうか! なら私にも可能性は十分あるということだね!」

「それはないかな、今のところゼロです」

「はうっ」


 バッサリ切り捨てられたのに、それでも彼は嬉しそうだった。元々マゾヒストの素質があるのと、それに加えて本気で拒絶はしないカオルの優しさが染みたのかもしれない。


(それにしても、()()()()()、か……)


 そう思っていると、カオルが僕をからかう目つきで眺めているのに気づいた。慌てて顔を伏せたけど、視線の熱はむしろ増した気がした。


 妖艶(ようえん)微笑(ほほえ)んだ後、カオルは元の話題へ戻る。


「まあこれはオウミさんのためでもあるんですよ。毒婦会はそういう店をやってるらしいし……探り、入れたくないですか?」

「それはその通りだが……」

「じゃあそういうことで。そうだ、オウミさんはどうなんですか? 娼館とか、やってたりは?」


 カオルは変に隠そうとはせず、思いっきり踏み込んでいく。

 彼女にとっては特に深い意味のない、単純な質問だったはずだ。でも、オウミさんは答えあぐねた。


 まさか? という緊張が走る。子どもたちを働かせているのは――。


 怪訝(けげん)そうな顔のカオルに、オウミさんはゆっくり答えた。


「やってない」

「な、なんですか今の間。本当にやってないんですか? というかご職業的にやってない方が珍しいくらいかと思うんですけど」

「なんか……そういうのよくわからんし……怖いし……」


 偏見のようなそうでもないような問いを受け、ヤクザのボスはボソボソ返す。

 そして、カオルがたどり着いた答えはこうだ。


「え、もしかして……童貞なんですか」


 次の瞬間、室内を笑い声が包んだ。ヤクザはもちろん、アニキたちも笑っている。パーヴァートさんは哀れみを含んだ目で見つつも、口元を押さえて震えていた。


「ガッハハハハ! 見抜かれてるじゃねえかオヤジ!」

「やっかましいわボケェ! 何が悪いんじゃあ」


 酷い嘲笑の中、悪いことを言ってしまったと頭を抱えるカオルの元へ眼鏡さんがやって来て、うやうやしく頭を下げる。


「聞かれてしまったからには仕方ありません。(あね)さん、折り入って頼みがあります。どうかオヤジを男にしてやってくれませんか」

「は⁉︎ ちょっと何言ってるんですか」


 眼鏡さんの言葉を受けて、他のヤクザも並び立つ。

 戸惑うカオルの前で、ヤクザが次々と並んでは頭を垂れる。


「お願いします! (あね)さん!」


「待った待った、勝手に先走ってんじゃないわよこのヤクザども!」

「そうだそうだ! 常識無いのか君たちは!」


 パーヴァートさんが常識を説くのはどこか滑稽だけど、とにかく彼やアレクシアの言う通りだ。唐突にもほどがあるよ。


「お噂はかねがね。あなたならば先代もお認めになるでしょう。あなたが輿(こし)入れしてくれたならば、オウミ商会もますます──」

「あのねえ、そっちの都合で進めないでくださいよ。それに男にしてやれとか言われたって、私だってそういうことに詳しいわけじゃないんですよ」

「ご謙遜(けんそん)はやめていただきたい。そこの金髪の彼を籠絡(ろうらく)した話は今や語り草、白槍を手懐ける手腕を持っているということも確かめさせていただきました」

「それは誤解で……いや誤解でもないか? まあどっちにしろヤりませんから。私は心に決めた相手にしか身体を許しません」


 覇気すら感じる語勢でカオルがハッキリそう言うと、ヤクザたちはすごすごと下がっていった。


「まったく……お前は気が(はや)りすぎだ。」

「申し訳ありません。しかし、あなたを一人前にするよう先代に仰せつかっておりますので」

「それは彼女には何の関係もないことだ。すまない、カオル。非礼を詫びよう」


 眼鏡さんはオウミさんと一緒に、先ほどとは違う深さで頭を下げる。他のヤクザもそれに(なら)った。綺麗に揃ったヤクザたちが描くアーチに囲まれて、カオルは気まずそう。


「フンッ、この人がアンタなんかと釣り合うわけないでしょう」

「そもそもこの女はただのバケモンなんだよ。簡単に騙されやがってアホどもが」

「は?」

「ンだこらピンク、間違ったこと言ったか? お?」


 謎の空気を打ち破ったのはアレクシアとアニキだ。でも今度はその2人が一触即発の空気を醸し出す。


「はいはいそこまで。とりあえず私は娼館などを冷やかしに行ってきます。それはオウミ商会のためにもなる、それでいいですね?」


 手拍の音と共にみんながカオルへ集中する。

 結局場を取りまとめたのはカオルだった。やっぱり彼女には人を支配する力があるとつくづく思う。


(眼鏡さんが彼女を欲しがるのも分かる気がするな……渡す気はないけど)


 数秒経ってから、「渡さない」という言葉が無意識のうちに出ていたことを自覚した。元々自分のものでも何でもないのに、僕は何を言っているんだ。


 急激な恥ずかしさの中、ついカオルの方を見てしまう。幸運なことに、彼女は僕の反応に気づいていなかった。


「ユウくん、どうしました?」

「う、ううん。何でもない」


 マルカにもバレてない、大丈夫だ。


「これで一旦解散、ですかね。まあ私はもうしばらくオウミ商会と一緒にいることになりますが」

「うーむ、どうしようかな。カオルがここに居るなら、私ももう少し手伝おうか」


 話が閉じかけた時、パーヴァートさんが手を挙げた。どうやらまだ護衛を務めてくれるらしい。その提案にオウミさんは喜び、カオルもお礼を言った。


 となれば、みんなの視線が注がれるのは──アニキだ。


「なんだその目は、俺はアンタらの抗争とやらにまでは興味ねえぞ」

「そうよね、じゃ解散。お疲れっしたー」

「えっ」


 悪態をついたアニキをアレクシアは容赦なく突き放す。あまりにも呆気ない幕切れに、アニキも唖然としていた。

 しかしそこに、割り込む影がひとつ。


「すんません、やっぱ俺たちも依頼継続ってことにしてもらっていいすか」


 彼はアニキの子分の1人、名前は……確かピートだ。


「お前何言って……」

「よく考えてください! ここで恩を売っといて損はないっすよ!」


 そう語る彼の瞳は、別の何かを見ている色を放っていた。


「あっ、お前まさか……!」


 そうだ、思い出した。ピートはマルカのことが好きらしいんだった。


「テメエな……」

「アニキ、ここはひとつ貸しにしといてやりませんか」


 アニキが怒鳴る直前、子分のもう一人が彼を止めた。


「お前まで……クソっ、わかったよ。そこまで言うならやってやる!」


 子分に押され、アニキたちも護衛を続行することになった。普段は意地の悪い人だけど、身内の情にはもろいみたいだ。

 子分の2人は互いに親指を立て合う。2人も決して褒められた人柄ではないけど、その友情には心を動かされないでもない。


「おー、いいなそういうの……ワシ熱い友情好き……」

会長(オヤジ)

「おっと。それでは、君たちには引き続き同行してもらおう!」


 こじれるかと思われた話し合いは、振り返れば何事もなく、すんなり片付いてしまった。



 ~~~~~



「いやー、やっぱ男ってのは勝手な生き物だねー、もう少しで極道の(おんな)にされるとこだった」

「先輩を欲しがる気持ちは理解できるけどね」


 話が済んだ後、僕たちは一旦外の空気を吸いに事務所を出ていた。


「……そうだね」

「ぷはぁーーーーっ、緊張した……」


 ヤクザの放つ気配に終始圧倒されていたマルカはようやく一安心。


「にしても、私の風俗店巡りについてあまり突っ込まれなかったのは意外だったな。あとオウミさんが童貞なのも」

「まあ突っ込んだら負けって感じだったし……というか先輩正直に言い過ぎ」

「いやだってさー、もし何も言わずに毒婦会の店に入って、後からオウミさんに知られてみ? 敵の陣地で何やってんだって話になるっしょ? オウミさんは風俗に手出してないんだから、なおさらね」


 確かにそうだ。カオルが明け透けに言ってしまった時はどうしたものかと思ったけど、あの流れがあったからこそオウミさんは娼館経営などはやっていないことを知れたし、完全に敵勢力の圏内だからこそ、結果的に情報収集という目的に大義名分が付いた。


「カオルさんはこれから『しょうかん』? に行くんですよね、そこって女の人が行っても大丈夫なんですか?」

「禁止ってことはないだろうし大丈夫じゃないかな? 最悪男装でもすりゃどうにかなるよ」

「先輩の男装なんて、学園祭以来ね」

「うわ懐かしー、そういや執事とか王子様とかやったわ」

「え! なにそれ見たかったー! カオルさんカッコいいですもんね、すごく似合いそう!」


 女性陣は思い出話に花を咲かせる。マルカは異国、もとい異世界の文化に興味津々。


 学園祭……もし僕にも許されていたら、どんなことをやったかな? 

 そもそも僕は普段の学校というものすら正確に知っているわけではないから、非日常の学校なんて想像もつかない。


(もし、カオルと同じ学校に通って、同級生になったりできてたら……)


 1人でそんな妄想に耽っていると、不意にカオルが僕の方を向いて口を開いた。


「あ、そうだ」

「な、なに?」

「ユウくん、私はこれから、娼館に潜入します」

「そうだね」

「娼館に、潜入、します」

「……ん?」


 カオルはわざわざ同じ言葉を繰り返した。彼女がそんなことをするからには何か意味があるんだろうけど、なんのことだか分からない。


「あれー? おっかしいなあ。『女が娼館に潜入』と聞いたら男は取り乱すと相場が決まってるのに」

「そりゃ客じゃなくて従業員として潜入する場合でしょ……つーか元々そういうゲームでもやってなきゃ分からないって」

「確かに……今のは私が無神経だったな。ユウくんの環境では、そういう情報は知る由も――いや待て、娯楽はけっこう与えられてたんだったよな? ユウくん、エッチなゲームやったことある?」


 なんなんだその質問。


「ない! ないよ! 町中でなんてこと聞くんだ!」


 一瞬頭が真っ白になった。声を大にして否定するけど、むしろこの必死さが痛々しくなる。それでも、僕は否定する。本当にやったことはないのだから。


「先輩のそういうとこだけはマジで憧れないわ」

「ドン引きです……」

「ああ、ゴメン。つい疑問が先行してしまって」


 せめて、いつものようにからかいで聞いてくれたなら良かったのに。科学者の性なのか、カオルはごく自然に酷い内容を聞いてくることがある。そうなると、うろたえた側が虚しくなるんだ。


「それじゃ質問を変えようか。もし私が従業員として潜入していたらどうする? ユウくんは来てくれるかな? 専属指名とかしてくれたら嬉しいけどなー」


 カオルは事務所で見せた顔よりもさらにいやらしく笑い、次の問を投げかける。確かに今、からかいを期待したけど、タイミングが悪すぎる。


「ほら、黙ってないで答えてよユウくん。私を指名してくれる?」


 カオル本人に言われると、嫌でも想像してしまう。店の知識なんてゼロに近いのに、なぜか鮮明に浮かんでくる。

 カオルの姿も、()()()も。


「……うん」


 答えて、しまった。


 目を開けると、ムカつくほどに晴れやかな笑顔のカオルがいた。


「そうかそうかそうか! ユウくんはお姉さんに会いにエッチなお店に来てくれるんだね!」


(この……この……っ)


 口をつぐむ、とにかくつぐむ。何を言ってもこのアホ淫魔には勝てっこない。


「私に会うために少年はなけなしのお金を貯めるんだよ、そして入り口でボーイに門前払いされながらも何度も何度も来店して、そのうち私を射止めるのさ」


 カオルは自分の世界に入っていく。1人でブツブツと語り続ける姿はある意味科学者らしかった。


「コホン、まあ妄想は置いといて、だ。ユウくんが指名してくれた時はいっぱいサービスしてあげるからね」


 結局何が言いたかったのか分からないまま話は終わってしまった。


 一緒に学校に行けたら、なんて考えていた自分を慰めてやりたい。


(同じ学校に通って、学園祭で何をやるか考えて、当日はカオルを指名して……いや違う! そうじゃない、そうじゃあないんだ……)


 キラキラ輝いていたはずの幻想は、ネオンサインに彩られた猥想へと堕ちていく。


 たかが想像でこのザマなのに、これからどうなってしまうのか。


「しかしまあ、今回はやはり客としての潜入だ。ユウくんが想像したようなことにはならないよ。本当に専属になれるならまだしも、キミ以外に抱かれるなんて嫌だしね」


 カオルは僕が想像を続けるように、わざと言葉を選んでいる。それが分かっていても、やはりとめどなく脳内に溢れてしまう。


「終わり! そこまで! 聞いてるこっちがキツいわ!」 

「カオルさんにはブレーキってものがないんですか」

「ごめんごめん、行きすぎた。ユウくんが可愛い反応しれくれるもんだから」

「…………」


 僕にとって唯一の救いは、彼女を止めてくれる人がついていることだった。

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